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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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スレ124 ランダム×ドロップ×エンカウント

皆さん、大変お待たせしました!



「……はあ、どうしてこうなったんだか」


 死屍累々、大量の人が積み重なってできた山を見て人々は興奮する。

 それらは粒子となって空気に溶けて消え、俺の立つ場所から離れていく。


 一方、俺の手には剣が……血塗られた剣が握られており、ビュンッと素早く振るうとそれが地面に飛び散る。


 指輪の力を借りて水魔法を発動し、同じく体中に付いた血液を拭っておく。


「ふぅ……また次か」


 息を整え、意識を切り替える。

 脳のリミッターを解除し、教わった技術を完璧に再現するために必要な分の能力を振り分けていく。


「俺に才能があれば、もっと楽ができたかもしれないな……今さらだけど」


 俺の下に現れたのは、数十人の武器を握り締めた者たち。

 若い彼らはニマニマと笑みを浮かべ、自分たちならばできると語り合っている。


 そうやって戦いの場で相手を軽く見ている者に、勝利などなく敗北が訪れる──そして最悪、経験を得ることなく死んでしまう。


 俺はそれを体を以って知らしめるため、この場に立っていた。

 だがとても面倒な縛りを設けられた以上、やる気などあまり湧いてこない。


「本当、どうしてこうなったんだろうな」


 その答えは未来にも現在にもなく、過去にしか存在しない。


 完全試合をする以上、勝利しか無い退屈な時間が訪れる──なればこそ、その理由を振り返ろうではないか。


  ◆   □   ◆   □   ◆


「おおー、やってるやってる。アルムもファウも……イケー、そこだー!」


 バトルロイヤルが終わると、次はXクラスの生徒との戦闘を行うイベントが始まる。

 倒せば報酬と言うことで、名の知れた武人も参加して寄って集ってのイジメを行う。


 それが経験になるというのもあるが、学園としても戦闘データを計っておきたいのだ。

 生徒の戦闘力も、来訪者たちの戦闘力も。


 あっ、ちなみに報酬は多勢に無勢か一対一で闘うかで当然違っている。

 だからこそ、武人との闘いでも無双プレイでも盛り上がっているわけだ。


[アサマサ]


「……っと、サーシャ様。急にどうかしましたか? せっかくクラスメイトの戦いを応援しているというのに」


[出番]


「……俺が? たしか、俺の出番は最終日だけだったはずじゃ」


 いちおうでも、序列者なので。

 本日のように突然仕事が与えられても対応できるよう、スケジュールに余裕がある。


 なので最終日は他の序列者に任せ、クラスの出し物に参加するはずだったのだが……。


[待ってる]


「……行かなきゃダメ?」


[らしい]


「はいはい、分かりましたよ。行きますよ、行けばいいんでしょ」


 俺としてもサボれる時間は最高、そう思い受け入れていたのだが……何かトラブルでもあったのかもしれない。


 今日はこれ以上揉め事も無いだろうし、平気だろう……このときはまだそう思って信じていた。


 ──そして、今に至るわけだ。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 迷宮内に響き渡る女性の声。

 与えられた台詞(セリフ)、そして本人のノリで俺たちの舞台を盛り上げてくれる実況を聞きながら、戦闘の準備を行う。


≪さぁ、何人で倒そうと彼だけは最高級の宝箱を進呈するとお約束しましょう! 誰か、誰か彼を倒してください!!≫


 現在、結界によってどれだけ人が死んでも元に戻る武舞台の上に俺は立っている。

 先ほどやって来た冒険者たちも、握り締めていた刀で惨殺して終わらせた。


 刀は制御が難しく、普通の武具よりも少し多めに容量を食うのだが……なぜか設けられた縛りの分、そうせざるを得なかった。


≪では、アサマサ君。次の宝箱をオープンしてください!≫


 一度拒否したら迷宮のシステムを使って武器を剥奪された挙句、素手で闘わされたので大人しく従う……まあ、そういう経験もしてきたので、問題は無かったんだけど。


「箱の中身はなんじゃろな、ほいっと──これは……短剣か」


≪続いては短剣! 素早い攻撃を振るってくるでしょうが、その分リーチが短くなりますよ! さて、誰か挑みませんか!?≫


 なんて放送をされるが、別に構わない。

 やれと言われているので仕方なく、短剣を振り回す。


 ビュンビュンと風を切る音が鳴り、辺りに鋭い斬撃痕が残る。

 どうやら風属性の魔具なのようで、魔力を籠めて振るうと風の刃が飛ぶらしい。


 こういう武器を振り回す動きだけでも、武人ならば俺の傾向を覚えてしまう。

 だからこそ手札を多く、誤魔化せるようにしておくべきだと習ったものだ。


 ──才が無いからこその応急処置だがな。


「さて、誰が出るんだか」


≪おーっと、ここで登場するのは1-Sクラスの精鋭たちだ!≫


「……ん?」


≪あの、序列九位であるレイル君率いるパーティーです! かつて、学園で行われた対抗戦においてレイル君に勝利したアサマサ君ですが──果たして多対一で勝てるのか!?≫


 武舞台に上がってきたのは、司会が告げた通りレイルとSクラスの者たちだった。

 先頭を歩くレイルはニコニコと笑みを、後ろを歩く他のメンバーは……殺意を向ける。


「師匠、もう一勝負しましょう」


「……俺に得、なんにもないんだけど?」


「たまにはいいじゃないですか、これはお祭りなんですし楽しみましょう」


「……はあ、計算づくか。まあいいぞ、お前も苦労しているみたいだしな」


 ありがとうございます、と一瞬後ろを見ながら言うレイル。

 クラスメイトのストレス発散に、ストレスの原因をぶつけるのもどうかと思うけどな。



それでは、また一月後に!


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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