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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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118/132

スレ118 特撮はみんなで観よう

皆さん、お待たせしました!



「……なあ、アサマサ」


「ん? なんだよ、ブラスト」


「お前さ……分かってる?」


「…………何のことだ?」


 準備期間もあと一日。

 今日という日が過ぎれば、いよいよ待ちに待った学園迷宮祭当日だ。


 思えばいろんなことがあった……特に最後の出来事が印象深いというか、今なお思いださざるを得ないというか。


「本当に、分かってないのか?」


「……いいか、ブラスト。世の中には知らなければ良かったと思うことの方が、案外多いらしいぞ」


「ああ、そうだな。それにはひどく同意だ。なんてったって──あの生徒会長をアサマサが堕とした、なんて聞きたくなかったよ!」


「誤解だから! 知らねぇよ、そんな話!」


 あれから、生徒会長はいろいろと変わってしまわれた。

 自身の『聖義』を見つめ直し、正しき道を貫くとかなんとか……。


 だがそのためには、ヒーローを知るべきとか言いなされた。

 そして、この世界にヒーローの情報を持つ者などほぼいない。


 嗚呼、そして結果はお察しの通り。

 異世界と繋がる端末を持つ俺に固執し、時折Xクラスに足を伸ばすようになったのだ。


 現在もブラストが言った通り、廊下の辺りで出待ちしている……少し前は上がり込んでいたが、サーシャによって廊下までと取り決められたらしい。


「だから、前にも言っただろう? 会長さんは俺じゃなくて俺の持っている物が欲しくてここに来ているの」


「くっ……この鈍感野郎が!」


「あのさぁ、俺だってバカじゃないんだよ。向けられているのが何に対する好意なのか、それくらい理解できる」


「……ダメだコイツ。自分がバカだって分からねぇから、理解できねぇんだ」


 スマホを渡そうとしたのだが、まだ自分には資格が無いとか言って拒否ってたな。

 まあ、その資格とやらを動画視聴で身に付けてくれれば、いづれは解放されるだろう。


「これだったら、サーシャ様に対応してもらう方が楽なんだよな。ブラスト、俺の口からは言えないから言ってきてくれよ」


「絶対やだ。お前以外を見る生徒会長の目、なんか怖ぇんだもん。やっぱりウワサ通り、元は男嫌いだったんだろうな」


「元って……変わってないだろ。俺には役員みたいに有効価値がまだあるから、ギリギリ生かされているだけなの」


「…………はぁ、もういいよ」


 何かを諦めたようだが、少なくとも俺にプラスなことではないな。

 しかし、生徒会長も諦めない……最後ぐらい集中したいので、追い払うことにする。


「何か御用ですか、会長さん」


「……そのぅ、また観たくて」


「……いいですか、会長さん。前に言いましたが、これは一日一回ではなく一週間に一回で、しかも一話だけ見る物なんです」


「そんなっ! じゃあいったい、この収まらない熱をどうすれば!」


 知らないよ、そんなこと。

 なぜか生徒会長は俺のオーディオコメンタリー的なヤツを好んでいるので、スマホだけの貸与というのは許されない。


 別に観るのは嫌じゃないんだ。

 だが、俺は無実なのに周りからのヘイトを買っているのが嫌になるだけ。


 じゃあお前たちもヒーローに付いて勉強すれば、そうすれば生徒会長も俺よりもっと詳しいヤツの所行くだろ! と言えればよかったのに……それは無理だった。


「いい加減、これを受け取ってくれれば勝手に観ることができますよ」


「! ……まだ、ダメ」


「資格なんて要らないって言いましたのに。迷惑とまでは言いませんけど、生徒会の仕事に差し支えが有ったらいけません。受け取ってください」


「……やっ!」


 この生徒会長、なぜか分からないが俺と接する時だけ子供みたいな口調に退化してしまう……イジメ過ぎたのだろうか?


 頑なに拒むのは、その精神性の問題かもしれない。

 だが教わったカウンセリング術では、どうにも不安が残る。


「会長さん、とりあえず受け取ってくださいよ。これ、別に動画を観るためだけの物ではありませんから。他の人と連絡を取り合う、それが目的の物です」


「……?」


「俺もこれを持っています、そしてこれには連絡を取り合う機能があります…………頭のいい会長さんなら、俺が何を言いたいのかもう分かってますよね?」


「……うん」


 彼女の思考では、連絡が取れるとかそういう結論に至っているだろう。

 まあ、別に(俺と)なんて一言も言っていないので取り合う気はあんまりないけど。


「でも……直接話したい」


「うーん……回数を減らしてくれれば、別に構いませんから。まあ、もし使ってくれた方が俺は嬉しいですけどね」


「……分かった」


 あとはカウンセリングをアイツにやってもらえば、生徒会長も昔同様に真面目な状態に復活するだろう。


 俺じゃあどうしようもできないのなら、他のヤツに任せればいいじゃない作戦……これにて解決だ。


「──とまあ、こういう感じで」


「お前のそれ、俺も気になってたんだが……くれねぇか?」


「なんだ、それならそうと先に言っておいてくれよ。実はもう、Xクラスの分は用意してあったんだぞ? 密に連絡を取り合うことができるから、意外と便利なんだ。サーシャのアレ、アレもこれを使っているからな」


「そんなスッゲェ魔道具だったのかよ」


 俺のは神器にしてもらったが、他の端末はハルカ製の転送式輸入品なので何かあれば壊れてしまう。


 そうしたらまた新品を提供すれば良いだけの話だし……チャットの相手が増えてよかったよかった。



それでは、また一月後に!


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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誤字脱字報告、また質問疑問なども大歓迎です。

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