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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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スレ117 悪について語ってみた

皆さん、お待たせいたしました!



『くっ……なぜだ! なぜ『悪』である君がそこまでの力を!?』


「知らないんですか? 悪役の中には、剣技に長けたヤツもいたんですよ? まあ、知らなくて当然なんだけど……要するに、こんな風にできるわけだ」


『うぐっ』


「時々銃に切り替えようとしているみたいだが、無駄だから止めた方がいいぞ。まあ、銃で勝負がしたいなら別にいいけど」


 すでに『間抜』を見せているので、それを受けるぐらいなら剣の戦いの方がマシだと理解しているのかもしれない。


 というか、わざわざ銃を使わなくても、この世界では遠距離での戦闘ができるからな。

 それを思いだしたのか、生徒会長は手を前に翳して──叫ぶ。


『喰らえ──“聖光投槍(ホーリージャベリン)”』


「……ん? 魔法も聖属性なのか…………関係ないけど」


 飛んできた光の槍を、同じく光の剣を使い弾き飛ばす。

 魔力を籠めても弾けたが、ここは目立たないように気を纏わせておいた。


『だから、どうして捌ける!?』


「気を纏えば魔法だって斬れる……って話を聞いたことがあるからな。それより、そろそろ降参しないか? 剣は俺の方が上、銃も弾かれる。魔法は斬られて……いったい何で勝てるって言うんだ?」


『う、うるさい!『悪』は黙って『聖義』の前に倒れろ!』


「……ずいぶんと本音が出てきたな」


 人は極限まで追い込まれた時、その性根を曝け出す……そうせざるを得ない。

 一方的な力への盲信、『悪』とやらの拒絶が会長を形成しているのだろう。


「ハァ……カウンセリングはあんまり上手くないんだけどな」


『く、来るな……!』


「ねぇ会長さん、教えてください。一方的に相手を甚振るのは『悪』ですか?」


 魔法を織り交ぜての攻撃を行うのだが、感情が高ぶり不安定なためか、威力はあるものの精度がいまいちになっている。


 もともと捌かれていたのだから、多少威力が上がろうと結果は変わらない。

 一歩、また一歩と俺は会長の下へと近付いていく。


「答えてくださいよ。相手は抵抗しているだけなのに、自分は『聖義』だーとか言って魔道具や魔法を使って攻撃するのは……『悪』とかそういうこと以前に、犯罪ですよね?」


『そ、それは……』


「それにほら、俺断罪云々とか言うのは好きにしてくれと言いましたが、傷つけていいとは言ってませんよ? 他者を思えない、己の意志の遂行──まさに悪の所業ですね」


『わ、私が……『悪』?』


 まあ、悪いのが誰なのかは分からない。

 勝手にヒーローの概念を歪めてしまった生徒会長なのか、それともその情報を与えたヤツなのか……そもそもの地球人なのか。


 一概に彼女が悪いわけではない。

 ただ運が悪かったのだ……彼女も、俺も。

 俺程度の言葉、普段であれば平然と返せたかもしれないが、追い詰めた今なら届く。


「会長さん、正義ってのは人それぞれのもので、会長さんの『聖義』とやらが正しいとは言い切れない。けど悪ってのは唯一無二……他人を害したヤツが悪なんだ」


『そ、それがどうした!』


「……やっぱり言わないとダメ? まあ、別にいいけどさ。さっきから言っていた通り、犯罪行為をしていた会長さん──それって、誰から見ても『悪』だからな」


『──ッ!?』


 勝てば官軍、そんな言葉がある。

 どんな残虐な行為をしようと、それが勝利という形──すなわち益となったのであればすべてが正当化されるという意味らしい。


 生徒会長は傍から見れば『悪』という存在にのみ攻撃を仕掛けないことで、周りからは正義として認定されていた。


 だからこそ、歪みにも気づかない。

 そもそもヒーローという存在について、中途半端な知識しか無かったんだろうし。


「うーん……まずはそれ、剥がそっか」


「──ッ!? あれ、えっ?」


 スーツから首より上の部分を、少々強引ではあるが引き剥がす。

 気で変質させた爪で素材を切ったので、綺麗に取ることができた。


 ……目元が少し赤くなっているようだが、今は無視しておこう。

 なぜならそれ以上に、だんだん顔が真っ赤になってきているからだ。


「服とのミスマッチ感が否めないが……俺が削ぐのは怒られるだろうし、とりあえずそのままでいてくれ」


「か、返せ!」


 手を伸ばしてくるのを叩き、勢いを流してそのまま転ばせる。

 強化された身体能力を使ってすぐに戻ってくるが、マタドール的な感覚で躱していく。


「魔法や魔道具を使えば……って、もう燃料切れか。意外と燃費食うんだな、それ」


「~~~~~~ッ!」


「だからこその短期戦か。ちなみにヒーローの戦いは短いし……巨人型のヒーローなんて三分しか闘わない」


「……知ってる」


 別に話せていたのだから、アレを被ってないと会話ができない……みたいな精神の持ち主でもないだろう。


 だが想定していなかった状況に、何かしらの変化が起きているのかもしれない。

 妙に反応がいい生徒会長を不思議がりながらも、回避を行いマスクを持ち続ける。


「……もう、止めにしないか? 俺はとりあえず『悪』でいいから……その『聖義』の執行対象に俺を含まないでくれ」


「……そうしたら、返してくれる?」


「あ、ああ、返す。返すから、もう止めてくれよな? 学園迷宮祭もあるわけだし、しばらくは勘弁してくれ」


「……うん」


 なんだか調子が狂うが、とにもかくにも約束はできた。

 最悪録音していたデータがあれば、脅しにも使えるだろう。


 ──口先だけには期待するな、そう教わっているからな。



それでは、また一月後に!


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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