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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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スレ116 正しき義を語ってみた

皆さん、長らくお待たせしました!



『『悪』を断ずる聖なる光線。我が腕に出でよ──『聖光銃』!』


「まあ……ヒーローだしな」


『『悪』を悔いて成敗されろ!』


「……俺、怪人じゃないからいいか」


 正義のヒーローと戦う怪人たちは、その体躯もあってか基本攻撃を受けてから反撃を行う……が、俺の生命力って100しかないので、強力な攻撃を受けてはいけない。


「まあでも、ただ避けるってだけだとなんだか気分が湧かないし……」


『くっ、これも避けるのか!』


「……よし、パクるか──“構造解析(スキャン)”からの“構造複製(トレース)”」


『なっ!』


 そこまで驚かれるようなことか分からないが、とりあえず魔道具だってので複製することに成功した武器を掴む。


 長剣と銃が一体化したデザインなのだが、可変式のようでコマンドを音声入力することでモードを切り替えられるようだ。


「ふーん……このままだと性能がクソ雑魚みたいだけど、まあ多少調律すれば扱いやすくなるか。ついでに光属性の銃も手に入った。うんうん、得した得した」


『それは、君のような『悪』が使っていい物じゃない!』


「なら、どうする? まさか返せ、とか言う気か? おいおい、止めてくれよ。これはあくまで魔法で創った偽物……そうだな、悪党がどうにか正義の味方に追いつこうと、努力した結果じゃないか」


『うるさい! いいから、それをさっさと放せ──“急所射(ポイントショット)”!』


 そんなにヒーローグッズをパクられたのが嫌だったのか、武技まで使って光線の精度を高めて撃ってくる。


 別に追尾機能は無いので躱せるのだが、いつまでも粘っているのも……うん、生徒会長の求める『悪』っぽくはないのかな?


「一発だ。銃技──『間抜』」


 光線ではあるが、銃には変わらないので同じ感じで引き金を引く。

 ピュンッと飛んだ光線は、彼女の手元に当たり……銃を落としてしまう。


「やっぱりしっくりこないな……魔力を通すだけにしても、もう少しできるかな? 魔力の調律はもともとやってなかったし……俺は気でやった方ができる気がしてきた。あっ、これダジャレじゃないですから」


『君はぁああああああ!』


「そんなに怒らなくても……よしっ、だいたいこんな感じかな──バキュン!」


『──ッ!?』


 生徒会長が銃を取りに行っている間に、魔力と精気を併用して回路の不具合を直した。

 それによって俺の持つ銃は、より上手く魔力を通せるようになり──威力が向上する。


 聖剣や魔剣、神器だって使い続ければ不具合が生じてしまう。

 そういった物を直すのが調律師であり──魔技師の役目なんだとか。


「威力調整、性能はバッチリだな」


『くっ──『聖光剣』!』


「なら、俺も……よいしょ」


『せ、せめて言いたまえ!』


 魔法の詠唱だって恥ずかしいのに、どうしてやらなきゃいけないんだか。

 いろんな魔法を使っていた賢者は、かつて最初に鍛えたのは無詠唱だって言ってたぞ。


 調律をしているついでに、特定の波長のエネルギーを籠めれば切り替えられるようにしておいたのだ。


 気でも魔力でも構わない、まあ力を籠めればモードチェンジが可能である。

 威力調整・無音声切り替えに調律した性能の大半を注いでおいた。


「ビーム状の剣だから、ちょっと軽いな……まあ、しばらく使えば慣れるか」


『私の剣術が君に劣ると? 私がこれまで積み重ねてきた『聖義』が、『悪』である君に負けるはずがあるわけないだろう!』


「いやいや、そりゃあヒーローごっこはずいぶんやってきたみたいだが、それと剣の腕はまた別問題だからな。ほら、文句があるなら剣で語ろうぜ」


『言われなくても!』


 切っ先を向けて剣を振るってくる。

 迷いの無いその太刀筋を見て、何かしらの剣術を習っていたんだろうなぁ……と思う。


 俺も無意識で技を使えるレベルまで叩き込まれたので、我流の動きなのか仕込まれた動きなのかぐらいかはなんとなく理解できる。


 だからこそ、武技なんかは簡単に捌けてしまう……だってやっていることが単調だし、せめて繋ぎに使うとか、わざと中断して誘導に使うとかそういうことをしてほしい。


『ずいぶんと余裕を見せ──ッ!』


「そりゃあ、余裕だし。知っているか? 正義のヒーローってのは友情の力で一方的に怪人をタコ殴りにするんだ。それってつまり、独りじゃ勝てないって言っているんだぜ」


『す、隙が無い!? なら、そろそろ本気を出させてもらおう──“全身強化”!』


「そうそう、だんだんヒーローっぽくなってきましたよ。相手は素の力なのに、自分たちだけが異なる力を他所から取り込んで使うその感じ……凄いヒーローっぽい」


 いちおう精気での強化は行っているが、戦闘中でも会話がしやすいように血流の巡りや肺活量を上げたりしているだけだ。


「俺はこの剣銃一体の魔道具を使っているだけなのに、そっちは魔法で身体能力を高めて闘う……俺が『悪』なら文句は言えない、とかそんな感じか?」


『そうだ! 『聖義』の前に、『悪』は平伏すだけでいい!』


「……ずいぶんと正体を出してきたな。まあいいや、そろそろ見せてやるよ。会長さんの言う──『悪』の力ってヤツを」


 ヒーローごっこに付き合うのもいいかな、と少し思い始めてきた。

 それほどまでに本気でやっているんだし、たまには……な?



それでは、また一月後にお会いしましょう!


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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