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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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114/132

スレ114 過去の所業は今の罪

皆さん、お待たせしました!



「──生徒会に呼び出された? なら、行ってきてくれればいいだろう」


「……お前がだよ、アサマサ」


「えっと……どういうことだ?」


 それは、一度ポイント交換を行った日の翌日のことだ。

 突然ブラストに声を掛けられたかと思いきや、突如そんなことを言い出した。


「伝えろって言われたんだよ。生徒会のメンバー曰く、生徒会長が呼んでいるらしいぞ」


「……生徒会長か」


「お前、見たことのないのか? あの容姿端麗な美人会長様を?」


「まあ、あるにはあるが……なんというか、タイミングが悪くてな」


 俺が見たのはブラストの考える美しい女性ではなく、正義執行中のヒーロー様だ。

 彼女は『聖義』を冠する序列四位、名の通り正義を愛しているのだろう。


 ……会ったときは、ヒーローっぽい恰好に身を包んでいて顔は見えなかったんだよ。


「それで、なんで俺は呼ばれているんだ?」


「さあ、あの役員も呼べとしか言われなかったみたいだからサッパリだ。というか、普通の奴は呼ばれたってだけで有頂天になっていくもんだぞ」


「……お前もか?」


「そりゃあもちろ──あっ」


 俺たちが話していたのは教室の中。

 そしてそこには、俺以外の者たちもいた。


 ブラストの背後には、幼馴染のエルフ少女であるフェルナス……とてもニッコリとした笑顔を浮かべ、水魔法を生成している。


「ねぇブラスト、とーっても楽しそうな話をしているみたいね。私も混ぜてもらっていいかしら?」


「……あ、アサマサ?」


「俺、生徒会長に呼び出されたみたいだからいかないと。フェル、それじゃあブラストのことは任せた」


「ええ、もちろんよ」


 教室を後にし、廊下へ出る。

 遠くから男の悲鳴が聞こえてくるが、それ自体は特に問題にならないのでスルーだ。


 それよりも気にしなければならないのは、このタイミングで『聖義』の生徒会長様から呼び出しを食らった理由である。


 やっぱり、入場者からポイントを掻っ攫っていたのが問題だったのだろうか?

 今もこっそり闘いたいヤツのため、時折解放しているもんな。


「……けどまあ、悪いことはいっさいしていない。それだけは断言できるんだ、疚しさもないのに怯える必要は無いか」


 正々堂々、無実を主張すれば良い。

 また、断罪云々の内容でないなら、魔法の力で万事解決といこう。


 ……さて、いったいどんな用なんだか。


  ◆   □生 徒 会 室□   ◆


「──生徒会に入らないか?」


「大変申し訳ないのですが、俺はサーシャ様に仕えていますので……無理ですね」


「そうか、なら君の主もいっしょにということならどうだ?」


「……主に訊ねてはみますが、おそらくは拒否しますよ。そういう方なので」


 こういう回答をすることを、すでに予測していたのだろう。

 そうか、と言うだけで相手──生徒会長はそれ以上何も言ってこない。


 きっちりと指定の制服に身を包み、腕には生徒会の証である腕章が巻かれている。

 見た目は金髪ストレートが背中まで伸びた端麗な少女……ブラストの言も納得だ。


「あ、あの……生徒会長?」 


「なんだ?」


「俺はいったいどうしてここに呼びだしを受けたのでしょうか? 先ほどのスカウト……では、ありませんよね?」


「もっと砕けた口調でも構わない。私が君をここに招いた理由は唯一つ──『聖義』を完遂するためだ」


 先ほどまでと何一つ変わらない姿勢で、こちらを見つめる生徒会長。

 だがその瞳が、放つ気配がその発言を境に思いっきり変化し始める。


「君が正式に序列者となる前、生徒会のメンバーを相手に大立ち回りをしたらしいな」


「……そりゃあ確かにしたけど。あれはあっちから吹っ掛けてきたこと──」


「それは重々承知している。そもそも、押しつけたのはこちら側。君が完全な悪ではないと分かっているつもりだ」


「……悪、ですか」


 アイツらの中には、悪者扱いをされた者たちも少なくなかった。

 相応の行動を取った者もいるが、やはり周りの誤解からそう判断された場合が多い。


「だが、それでも問題はいくつかあった。君ならもっとうまく立ち回れたはずだ。君の行いによって、退学者も現れた……本当にそれは、君にとって必要なことだったのか?」


「…………」


「私にはまったく感じられなかった。教えてほしい、君はあの結末しか用意できなかったのか? やり方によっては、彼女が退学せずともよかった道があったのじゃないか?」


「…………彼女って、誰ですか?」


 うーん、全然思いだせないな。

 たしかに俺に暴言を吐いてくる女子は何十人単位で居たが、俺が序列者に入ってからはパッタリだったし。


 あの結末、と言われても……そもそも死んじゃないだろうし。

 それに生きてりゃ儲けもの、いったい俺がその被害者とやらに何をしたんだか。


「そうか──君は『悪』だったか」


「はっ? あの、何を言って……」


「ダーシェスの意見を受け、まずは審判をするところから始めようとはした……だがダメだな、こうも話が通じないとは」


「いや、それこっちの台詞(セリフ)


 ダーシェスって誰?

 そんな質問にも答えてはくれない生徒会長が、何やら自身の座る机の引き出しから何か取りだして操作しだす。


 するとゴゴゴゴッと部屋の壁が動きだし、秘密の通路みたいな物が生まれる……なにあれ、凄いカッコいいんですけど。


「ついて来たまえ。君という『悪』を、この私が『聖義』の前に断罪しよう」


「……俺が何をしたって言うんですか?」


 だが何も答えず、秘密の通路を使ってどこかへ向かう生徒会長。

 ……もう、帰っていいかな?



今回の話に出てきた退学者は、スレ72を参照にしてください

それでは、また一月後に


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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誤字脱字報告、また質問疑問なども大歓迎です。

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