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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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スレ102 ペットを飼うならホウレンソウ

皆さん、お待たせしました!



 学術都市アウェイオン。


 来る者拒まず去る者追わずなこの街は、学生の無茶をある程度叶えてくれる。

 禁忌に背くような危険なヤツは当然アウトだが、他のことならばだいたい可能だ。


 ──都市内への魔物の持ち込み。

 一部差別国家などでは禁止されている行為だが、アウェイオンを許可している。


 さらにそのうえで設けられている従えた魔物──従魔に関するルールも、他の国に比べて比較的に緩い。


 しかし、誰が一夜で国を滅ぼせる魔物を連れ込まれて笑っていられようか。


 門番の男はそんなまったく目が笑っていない笑顔を浮かべて、ハイトに魔道具を当てて調査を行っていた。


「問題ないね。あと、君は学生さんだね?」


「いえ、学生であるのは私の主であらせられるサーシャ様でございます」


[よろしく]


「そ、そうかい……」


 板状の機械(タブレット)で話す少女は稀有なようで、まだ慣れていない男は価値観から外れた現象にヒクヒクと目を動かしている。


 そして一度深呼吸すると、代わりに俺へギロッと視線を向けてきた。


「従者である君が従魔を連れてきたこと、それ自体には何も問題ない。だが、それに伴う責任は君だけでなく君の主まで繋がる。そのことをしっかりと肝に銘じておくんだぞ」


「……は、はあ」


「とりあえず──仮に着けてもらうタグだ。これをどこでもいいから、装飾具として身に付けてもらいたい。そして、これから君たちには所属する学園の学園長の下へ向かってもらう。理由はどうしてか分かるかな?」


「ここで一番偉い人、だからですか?」


 やれ序列だの、やれ異世界人だのと言ってはいるが……結局のところ、俺だってまだまだ遠く及ばない相手がいた。


 本能が告げる中で勝てないと思えない相手の一人──それが学園長である。


 アキがその存在を知らなかったので、当時から生きていて膨大な時の中で精練された強さ……というわけでもないだろう。


 あくまで時間という万人共通のルールを超える、才能を持っている人物ということだ。


「従魔の許可を一週間以内に取ってくることが条件だ。もし過ぎた場合は、街中では隷属の首輪を装着することが義務付けられる」


「…………」


「こちらとて、あまりそういった手段は取りたくない。それが嫌なのであれば、早急に許可証を持ってくるのだな」


「……分かりました」


 ギュッと服の端を掴んでくるハイトの姿に父性を覚えながら、門番の男の言葉に頷きタグを受け取る。


 それを首から提げさせると、ようやく都市内へ入った。


「どうだ、ハイト。これが人族の街だ」


「…………凄い。こんなに人がいる」


「これからは、ここで生活することになると思う。まだ確定ではないが、そうでなくとも俺がなんとかする」


「アサマサ……ハイト、ここに住みたい」


 俺とサーシャは顔を見合わせ、互いにコクリと頷く。


 見た目幼女なドラゴンキッズの願い事を叶えられないほど、俺はまだ落ちぶれてはいないと思った。


 そしてサーシャもまた……先輩としての自覚に目覚め、後輩の愛らしい仕草に心奪われたのだろう。


 なんだかいつにも増してやる気に満ちた気迫を、どこからともなく出していた。


「さて、なんとかするか……」


[り]


 本来であれば、一週間以内に書類申請でもすれば問題ないのだが……アイツらとの訓練が培った第六感とも呼べるナニカが、それだけではいけないと告げている。


 これが何かを伝えている場合、高確率で無理難題を吹っ掛けられていたな。

 いやまあ、九割方回避できずにそれを乗り越えてきたわけだけれど。


「……とりあえず、相談かな?」


[報連相]


「ああ、そうだそうだ。やっておくべきか」


 嫌な予感がすることも含めて、しっかりと伝えておこう。


 ……さすがに『面倒事対処シリーズ』はスレが追加されていないので、俺の命に係わるピンチというわけではないんだろうな。


  ◆   □  学園長室  □   ◆


「──どうしてこうなったんだか」


 チャットの結果……とりあえず、可能なのであれば直接交渉が好ましいと言われた。

 普通は難しいのだろうが、幸いにして序列者という立場は俺の想定以上に優秀で、会うことが許される。


 ただ、俺独りでということなのでサーシャもハイトもついてきていない。

 騎士の方は透明になる武具を使ってでも護衛したかったようだが、今後の学園生活に支障が出ても困るので待機してもらった。


 ──その不満を、のちにぶつけられるのは主である俺なんだけどさ。


 緊張を紛らわせる呼吸法で体を落ち着かせると、ノックをしてから声を出す。


「失礼します。序列者十位、アサマサです」


『入りたまえ』


 扉の向こうから、なんだか威厳のある声が聞こえてきた。


 いちおう入学式の時の映像はあとで把握したのだが、機械越しと生声では感じるモノが違うということを認識する。


 学術都市の学園長、それは一国の長に準ずる地位と権力の保有者。

 序列者すらも従わせるだけのナニカを持っている、圧倒的強者。


 ──久しぶりに感じる、アイツらと同じぐらいの強さの波動を扉越しでも感じた。


「……失礼します」


 だが、学園長は俺の敵ではないが味方でもない……俺は生徒で、学園長はそのトップ。


 なんとしても、そんな立場も強さも上な相手からハイトが学園に居られるための許可を得ないとな。



それでは、また一月後に!


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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