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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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スレ100 ムツならぬタツゴロウ

皆さん、二重の意味でお待たせしました!



 祝詞を唱えてもらうだけ、なのだが……それが本当に面倒臭い。


『ひょー、それがクリアドラゴンの子供なのかー! 見たことのない透明感、無属性しか吸っていないレア個体! ああ見たい、すぐに見たい! どんな手段でもいいから、早く地球に持ってき──』


 一度中継を切り、呼吸を整える。

 そしてあちらから鳴ってきた接続を許可すると、再び同じ顔が浮かぶ。


『もー、ひどいじゃないか映像を切るな──クリアドラゴン! いやー、その鱗の光沢もさることながら、牙や爪の輝きもまたイイ感じにそそ──』 


 再び中継を切り、呼吸を整える。

 すると接続許可がまた出るので、今度はカメラを何もない方向へ向けてから繋ぐ。


『あれ? おーい、アサー。呼ばれて飛び出た『竜王』様だぞー』


「俺の知っている最高の『竜王』様は、ハァハァと息を荒げて他の竜を見ない」


『──さて、アサ。君がぼくを呼んだということは、つまりはそういうことだね』


「…………ああ、そうだ。祝福を、さっきのヤツに掛けてほしい。というか、この会話はとっくに済ませただろう。様式美か?」


 だからこそ、魔力入りの魔石がある。

 何もない場所から突然用意できるほど、異世界とてそこまでご都合主義なシステムでは運用されていない。


『さっきの? なんのこと──』


「切るぞ」


『待って待って! ジョーク、竜王ジョークじゃないか! もう、アサったら本気にするなんて……だから、問答無用でボタンに手を伸ばさないでよ!!』


「真面目な部分はカッコイイんだから、しっかりとしてくれよ」


 まあ、俺の出会ったヤツの大半がそんな感じだったけど。


 今ではこの世界のことをいろいろ教えてくれるアキだって、前はだいぶ荒んでいたし、シリアス空気全開だったな。


『ほ、本当かい!? こ、こほん……そういうことなら、ぼくも頑張らないわけにはいかないね』


「最初からそうしてほしかったよ」


『ご、ごほんごほん! ……アサ、暴走しないからカメラを竜の子へ』


 やる気になってくれたようなので、スマホのカメラをドラゴンへ向ける。

 数秒待ったが、特に荒げた息が聞こえてこなかったので問題ないだろう。


 俺も俺で、準備を始めるべきか。




「お待たせ。準備ができたぞ」


[おー、ようやくか!]


『君がクリアドラゴンの子供だね。ぼくは竜の王──『竜王』さ』


[? そーなのか]


 直接会うか、儀式を進めれば『竜王』だと強く意識するだろう。

 別に強要するわけでもないが、どうせなら分かってもらいたいと思う。


 なお、俺は翻訳が必要だが『竜王』である彼女には不要。

 そのため、とても円滑に翻訳が間に合わないレベルの速度で会話が進んでいる。


『それじゃあ、儀式を始めるよ。アサ、準備はできているかい?』


「ああ、バッチリだ」


『じゃあ、所定の位置に立たせてね』


 準備の間に描いておいた魔法陣。

 魔石を所々へ組み込んだソレの中心に、ドラゴンキッズを誘導する。


 そして俺は陣のすぐ傍で、カメラを向けたまま立つ。


「それじゃあ、始めてくれ」


[分かった!]


 人間には理解できない竜の言語。

 それを扱うことができる『竜王』は、異なる世界から祝福をもたらす。


 その声に応じ、魔石が輝き魔法陣が少しずつ光っていく。



『──偉大なる竜神の末裔よ、血を継ぎし者よ。旧き理を忘れ、孤を進むことなかれ』


『──汝らを紡ぐ縁、運命の糸を繋げ。汝は竜、気高き心を持つ覇者なり。其は人、強き意志を持つ挑戦者なり』


『──人竜一体。一対となり、空を翔けよ。汝らは竜騎士、王の名の下に誓い盟え。汝らへ祝福があらんことを』



 一言目を発した瞬間から、ドラゴンキッズは頭を垂れていた。

 魔力はその者の本質を表し、それだけで格差を示す。


 俺の知り合いはどいつもこいつもそれが異常で、制御していない魔力を放つだけでどこかの覇王みたいな威圧ができる。


 まあ、竜王と一般レベルの竜なのでそれがさらに強く感じられたわけだな。


「これが……竜騎士の契約か。特に何も変化はないんだが」


[うおぉー、すげぇー! めっちゃすげぇーよーーー!!]


『アサは……まあ、なんとなくその子の位置が分かるようになると思うよ。けどまあ、先にやらなきゃいけないことがあるんじゃないのかな?』


「……ああ、名前を付けるんだっけ?」


 名を与えることで契約は果たされる。

 名前を持っているヤツならもっと簡単に済ませられるが、今回は持っていなかった。


「名前、名前か……いい名前にしないと」


 ただ、虚無魔法のネーミングセンスを客観視すると、あまり俺のセンスはよろしくないらしい。


 なので俺としてはあまりよろしくないが、無難っぽい名前にするべきだろう。


「──『クラールハイト』。略してハイト、これでいいか?」


[ハイト、なんのことだ?]


「これからのお前の名前だ。構わないか?」


[ハイト……おおー、気に入ったぞ!]


 よかった、今回はどうにか満足してもらえる名称を浮かべられたみたいだ。


 ちなみに第一案は、シースルーでシースーだったのだが……まあ、こっちでよかったのなら何も言うまい。


『へー、ハイトねー。アサにしてはずいぶんといい名前にしたんだね』


「──うるさい」


『ははっ、今回のお礼はハイトちゃん(・・・)の鱗と牙と血と体毛と……』


「分かった分かった。時々転送してもらうから、もう切るぞ」


 ボタンを押し、接続を終了する。

 もう少し粘ると思ったのだが、さすがにこれ以上絡んでくることはないらしい。


「……って、ハイトちゃん?」


 俺の疑問を解消するように、先ほどまでハイトが居た場所で魔力の揺らぎを感じる。

 まさか……と思いそこを見ると──女の子が一人、そこに居た。



それでは、また一月後に!

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