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プロローグ
ここのところ、草原の緑が殖えてきている。
ぽつんぽつんと立つ台形の山に登っていた彼は、あらためてまわりを眺める。
そう言えば、空気も心なしか澄んできたようだ。
ブルゥッ
考え込んでいると、いつの間にか後ろにすり寄ってきていた一角獣が、早く来いと言うように彼の服をくわえて引っ張った。
「はは…、わかったよ。もう行くから」
いつの頃だったろう。ここから人の姿を見つけて、また戦争かと苦々しく思っていたが、どうやら見当違いだったようだ。あの時の人影は、破壊を目的として来たわけではないらしい。
それを裏付けるかのように、環境の回復も感じられる。
だが、油断は禁物だ。
せっかく〈復活〉させたこいつらを、また絶滅の憂き目に遭わせるようなことは、決してしてはならないのだから――