第2話「不安な思い出」
家に帰って、私は早速お部屋の飾り付けをしたり、おねいは沢山豪華なご馳走を作って、ママの帰りを待っていたの。
ママが帰って来る時間が早く来ないかとソワソワして、何度も何度も私は時計を確認したの。
「もうみっちゃんったら、お行儀が悪いからソワソワしちゃダメだよ?」
「うー、ごめんなさーい」
そう注意したおねいも、何だかいつもより落ち着きがなくて何度も携帯の時計を確認してたっけ。
でもママがいつも帰って来る時間を過ぎても、ママはまだ帰って来なくて…お仕事が長引いてるのかなって思ってたけど、それからずっと待ってもママは帰って来なかったの。
「みっちゃん、明日も早いから、もう寝た方がいいよ?プレゼントは明日の朝一緒に渡そう」
「やだっ、今日渡すの!きっと帰りの道で車がいっぱいで、中々帰って来られないんだよ!」
本当は凄く不安で、このままママが帰って来なかったら…っていう不安を打ち消すように自分に言い聞かせるように言ったんだ…。膝の上に置いた手でスカートの裾をぎゅっと握り締めて涙を堪えてたの。
「取り敢えずママの会社に電話してみるね」
おねいも凄く不安だったんだろうけど、私を安心させるようにいつもより優しい笑顔で髪を撫でてくれた。
でもママは随分前に会社を出て帰っていったって言われたの。
それでも待てども待てどもママは帰って来なくて、私はついに泣き出してしまったの。
「うぅっ、くっ…ママぁ…どこに行ったの…」
「お母さん…」
先まで私を安心させるために髪を撫でてくれおねいも、不安そうに携帯を見つめていたの。
何度もママの携帯に電話しても繋がらなくて、おねいはおじいちゃんや、おばあちゃん、親戚のおばさん達に連絡する事にしたの。
おねいからの電話を受けて、おばあちゃん、おじいちゃん、親戚のおばさん、おじさん達が慌てて駆け付けて来てくれて、警察に連絡したら知り合いに電話をしたり、おじさんやおじいちゃんや男の人達は近所を回ったりして…皆、必死にママを探してくれていたの。
こんな大変な時なのに私は部屋の隅で膝を抱えて泣く事しか出来なかったの。
もしかしたら、もうママは帰って来ないかもしれないという不安が私の中で、ぐるぐるまわっていて…どうする事もできなくて泣いてばかりいたの。