2話
詩織は運命の彼を見つけた。
それは、詩織が本屋さんで本を探していたときの事。
「あの、これ落ちましたよ。」
急に声をかけられた。
それは、他校の男子らしかった。
手には自分の定期。
「あ、ありがとうございます。」
ぱっと、彼を見上げた。
彼は、身長が180センチは超えるぐらい長身だった。
…だが、横にもすごくでかかった。
眼鏡をつけて、姿勢も少し猫背気味。
詩織を見ても、無表情で「いえ」と言うだけだった。
その時は、もう二度と会うことはないだろうと、詩織は思っていた。
それから次の日、詩織は電車の中でで彼を見つけた。
彼ほどの身長と体格の人はそういなく、つい昨日のことなので、まだ彼の印象が残っていた。
彼は一人で漫画を読んでいるのか、真剣そうだった。
(何を読んでいるのかしら?)
詩織はそれとなく彼の近くまでいった。
彼は、自分のことなんて気づいていないのだろう。
(…『地球サミット』)
どんな話なのだろう、と翌日本屋に行き、買ってみた。
以外におもしろい。
また次の日。
彼を電車の中で見つけた。
彼は今日はゲームをしていた。
(何をしているのかなー)
また、彼の近くまで移動した。
彼はゲームに夢中で周りは眼中にないみたいだ。
いつしか、詩織は彼を帰りの電車で見るのが日課になった。
制服からして、隣のKという男子高校のようだ。
彼は、詩織が下りる駅より一つ前で下りていく。
(どこに住んでいるのかしら)
詩織の彼への欲求は日増しに増えていく