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1話
山口詩織は一言でいうと可愛い。
目は大きくぱっちり二重で、笑うとえくぼがでる。
胸もほどよいCカップで、髪も黒髪ストレート。
女性なら誰もがあんな美女になりたいと思い、
男性なら誰でも声をかけられたいと思うだろう。
…だが、詩織にはこの顔がコンプレックスだった。
(誰も、本当の私を見てくれない)
友達は、計算で詩織に近づく。
詩織みたいな女友達を持っていると自分の価値が上がると思っているのだ。
しかし、合コンには誘ってもらえない。
詩織が行くと、男子が全員詩織しか見なくなり、面白くないのだ。
そして、詩織には男友達というものもいない。
詩織が話しかけるとなぜか、男子はびびって逃げてしまう。
詩織は高嶺の花であって、だれかのものになることは許されない、これが男子たちの暗黙のルールのようだ。
さらに、詩織ほどの女が自分の隣で歩くのは恐れ多いと男子全員思っている。
詩織は結局、モテないのだ。
彼氏もできたことがない。
ただ、人並みに友達と恋バナして、恋をして幸せになりたいだけなのに…。