表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第3話

…今日も(あたりまえだけど)来てしまった、学校…。


自転車小屋にはまだわたしの自転車はなかった。


昨日は日野くんを一人(いや、わたしの自転車と一緒に)取り残して裕鷹の車で帰っちゃったし。


怒ってるかなあ…。


「カエ!」


「あ、優ちゃん。おはよう」


「おはようじゃないわよっ!どーゆーことよ!」


「…なにが?」


意味不明発言をする優ちゃんに問掛けた瞬間、メグちゃんが勢いよくドアを開けて教室に入ってきた。


「カナちゃん、ものすっごい噂になってるわよ!」


…なにが!?なんの!?


「日野くんという人がいるってのに…。」


優ちゃんがわたしに向かって呆れた風にそう言った。


??日野くん?


「今日カナちゃんさ、どうやって学校にきた?」


メグちゃんがニヤニヤしながらわたしに聞いてきた。


「車、だけど…」


「やっぱホントの話だったんだ!」


ニヤニヤ笑いを深めるメグちゃん。


「カエ…。」


さっきより一層呆れましたという顔でわたしの名前を呼ぶ優ちゃん。


いやふたりとも、車で来たくらいでなに…?!


そう思ったとき、優ちゃんがうつむきながらすごいことを言ってくれた…。


「すーっごいカッコイイ人の車からカエがおりてきたとか。それで、そのカッコイイ人にカエが学校に入る間際『愛してるよ』とか言われてたとかって噂は、ホントだったんだね…。」


「えええええええぇっ!?」


それが【噂】!?


事実だけどっ!!


ちがう、違うのぉぉ…。裕鷹は兄、だし…


まさか、まさか見られていたとは…!!!


「裕鷹は…」


「えーっ!その人ゆたかって名前なの?呼び捨てぇ?…ってゆうかあたし達、カナちゃんから聞いてなかったよ…その人のことも、日野くんのこととかも!」


「友達でしょ?言ってくれればよかったのに。」


「いや…」


相談もなにも…。


うわあ、こんがらがってきたあ…。


「二股なんてヤルわね、カナちゃん!…でも今日ので日野くんの方に二股バレちゃったんじゃない?」


…二股もなにも、日野くんとも付き合ってないような…。いや、付き合ってるのか!?


「でも、二股はよくないわよ。ちゃんとどっちかに決めなきゃ…っ、あ。」


優ちゃんがわたしの後ろの方を見て、固まった。


メグちゃんもその方向を見る。すると、優ちゃんと同じように固まってしまった。


「メグちゃん、優ちゃん…?」


…嫌な予感。


「おはよう立花さん、林さん、…華苗」


立花さんはメグちゃんの名字、林さんは優ちゃんの名字…で、この学校でわたしを『華苗』なんて呼ぶ人は…!!


わたしは勇気を振り絞って、後ろを見た。


「日…野、くん。」


そこには、いやというほどニコニコした日野くんがいた。


こ、こわいー!!


「ちょっと、いい?」


…日野くんがわたしを『ちょっといい?』といって呼び出すとき、いいことがあるとは思えない。


「うん、なに?ここでもいい?」


ここなら他の人もいるし、安全だし…っ!!


「いや、ここじゃなんだし…学習室、行こうか。」


うわあ、笑顔、四割増してるよ…。


…逆らわない方が身のためかもしれない…。


わたしは優ちゃんとメグちゃんに力無く微笑んで、日野くんの後にトボトボとついていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ