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第1話

「あっ、教室に体操服忘れてきた!」


「カエ、遅いよ…。ここまできてから気付く?」


ここは、自転車小屋。生徒玄関から出てしばらくしたところにある。


「…しょうがない。待っててあげるから、はやくね!」


「ありがとー!スグ行ってきます!!優ちゃん、メグちゃん!」


わたしは急いで教室に向かった。


あ…


教室のドアをあけると、机につっぷして寝ている人物がいた。


日野くんだ。


席が一回横になっただけで喋ったこともないから、日野くんのことはあんまり知らないんだけどね。


でもカッコイイしテストの番数は一から下に下がったことがないしっていうので、かなり有名。


…起こさないようにしないと。


わたしはそっと自分の机に向かう。



ガタガタッ


「ギャーーーー!!」



日野くんの横を通り過ぎようとした瞬間、わたしは大きな音と声を出して何かにつまづいて転んでしまった。


その騒音に反応したのか、日野くんが顔を上げる。


「あの、ごめん、起こしちゃって…。」


「−−−−ウルサイ。」


急に制服のリボンが引っ張られた。


「…え?」


わたしは両腕をつかまれ、無理矢理キスをされてしまう。


「ん…んっ!?」


引き離そうとするが、男の力には敵わなかった。


それから数秒間、キスは続けられた。


「ぶはっ!」


「…」


「な、に、す…っ」


わたしはそれ以上何も言えなかった。


「「………」」


2人で沈黙。


わたしは自分の机まで走って体操服を入れた袋をとり、教室から出た。


ふぁーすときす、なんですけど…。











「遅いよー!何してたの?カエ。」


「ゆ、ゆうちゃ…な、なにって…。」


「「……?」」


「せ、せんせいにね。ちょっとね…!」


日野くんにキスされてました、なんて…言えないよ………!!


「…?よく分かんないけど……じゃあ帰ろっか。」


わたしはいつものように帰りに3人で寄ったマックで変にどもりまくって……………


2人にものすごーくいぶかしがられたのだった。


明日…学校行きたくないよぉぉ………。


どうか、日野くんに話しかけられませんように…っ!!











「ごめん、ちょっといい?榎本さん。」


よくないよ、日野くん…。


今日は朝からずっと日野くんと目もあわさないように避け続けてきたのに…ついに(!?)昼休み、あちらから声をかけられてしまった。


優ちゃんとメグちゃんは、目を見開いてビックリしている。


確かに…今までわたしと日野くんは喋ったこともないハズなのに、いきなり喋ってるからね…。


「いや、今は…。」


今どころか一生ムリです。


「ほんの少しでいいんだけど…ダメ?」


「うう…じゃあ、ハイ…」


押しに負けてしまった…。(たいしておされてもないけど…)


わたしは黙って日野くんについてゆく。


着いた所は、誰もいない学習室だった。











「昨日のことさァ…」


「誰にも言ってないですっ!!」


なんにも聞かれてないのに答えてしまった…。


「そう。…でさ、あれは既成事実として…」


ん?


「付き合おうか。」


「…え?」


「既成事実。すでに起こってしまって、変えることのできないたしかなできごと。」


そんな、既成事実の意味なんて聞いてない。


「…ごめんなさい、むりです。」


「何が?」


や、笑顔で「何が?」と言われても…付き合うことが無理なのです…。


「昼休み、もうすぐ終わるな…。じゃあこれからよろしく、華苗。」


カナエ…?


なんで、名前で呼び捨て………?


…これからよろしく?なににですか?!


わたしはチャイムがなるまで、呆然と学習室に立ち尽くしていた。


初投稿でした。感想等お待ちしてます。

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