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幸運値ー99999?!異世界で出会った彼は『最凶不幸転生者アラタくん』  作者: ひととせ そら


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25/29

25.『今』のアラタ。そして…


街の外れの緑の多い場所。

そこにポツンと佇む小さな一軒家。


ひなた(ここにアラタくんがいるって画面の情報には出ていたけど…。)


少し離れた位置から様子見する。


すると、一軒家の裏手の方から歩いてくるアラタを発見した。


ひなた(あ、見つけた。)


ひなた「アラタくん♪」

名前を呼び、小走りで駆け寄る。


アラタ「…あ、ええと…キミ、俺のこと知ってるの?

どこかで会ったっけ?」

私のことを不思議そうに見つめる。


ひなた「私のこと…覚えてない?」

不安げに小首を傾げて尋ねる。


アラタ「…あ~…ごめん。俺、こういうことたまに起きるんだ。」

申し訳なさそうに頭を掻いて謝る。


ひなた「…ぁ。」

その時、ふと思い出した。


アラタは転生直後に、

記憶喪失や記憶の混濁を起こすことがあるってことを。


ひなた「あ…う、うん…そっか。こっちこそ、急にごめんね。」

困ったように苦笑いする。


アラタ「いや、多分、俺が悪いと思うし、

そんなに謝らなくていいよ。

お詫びといってはなんだけど、よかったらお茶でも飲んでいかない?

さっき、中央通りで買ったんだ。」


ひなた「あ、ええと…」

返事に迷い、視線を泳がせる。


丁度、庭のテーブルに置かれた果物カゴや洗濯物が目に入った。

なんだかとても穏やかで、平和そうなその空気感に、

またふと思い出す。


ひなた(そうだ…そういえばアラタくん、言ってたな…

『ただ、平和で穏やかな日常を普通に過ごしてみたい』…って。)


ピチチチーー。


小鳥の鳴き声が聞こえてきた。

優しい風が吹き抜けていく。


改めて、ここの穏やかで平和な空気感を全身で感じた。


ひなた(せっかく会えたし、また一緒にいられたらって、

ちょっとだけ思ったけど…。)

アラタの服装をゆっくりと全身見ていく。


ひなた(前とは違って、武器も防具も装備してない。

まるで、戦闘なんて一切関係がない『ただの村人』みたいに…。)


『今』のアラタを魔物との戦闘が起きるような日常に、

本当に連れて行ってもいいんだろうか…。


ただ、『普通の生活』がしたいと望んだ、あのアラタを…。


ひなた(一緒にいた前の時だって、あんな、魔王と戦って倒して…。

私と一緒にいたら、きっと…

アラタくんは『普通の生活』なんてできない…)

アラタの今の姿をただぼーっと見つめながらそんなことを思う。


ひなた(だったらいっそのこと、アラタくんにこのまま、

私のこと思い出さないでいてもらった方が…)


無意識にポケットの上から『ヘキラの想い』を

ぎゅっと握りしめていた。


アラタ「…あの?」

アラタが不思議そうに顔を覗き込んできた。


ひなた「あ…」

アラタ「都合悪かった?別に無理にとは言わないけどさ」

ひなた「…あ~。うん、ごめんね。ちょっと、用事あって無理かも。」

苦笑いして断る。


アラタ「そっか。残念。」

ひなた「ええと…長居しても悪いし、もう行くね。

ごめんね、お邪魔しちゃって。」

アラタ「いや、こっちは大丈夫だ。」


ひなた「それじゃあ…アラタくん。

…元気でね」


『さよなら』とは言いたくなかった…。

でも、『またね』なんて無責任な約束もできないと思った…。

だから…

精一杯、普通に微笑んでそう言った。


アラタ「え…? あ、あぁ…そっちも、元気で。」

よく分からなさそうな表情で合わせるように返事をする。


ひなた(これで、いいんだよね…)

心の奥の小さな引っかかりを胸に抱きながら、

アラタに背を向け、私は彼の元から去っていった。


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