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幸運値ー99999?!異世界で出会った彼は『最凶不幸転生者アラタくん』  作者: ひととせ そら


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18/29

18.港町シーベルク02


アラタ「はぁ~、食ったな♪ この後はどうする?」

食べ終えて2人で満足そうにお店を出てくると、

アラタが歩きながら私に尋ねてきた。


ひなた「食後のお散歩行こうよ」

アラタ「いいな、それ。」


そして2人でブラブラと港町をゆっくり散歩する。

しれっとまた、アラタに降り注ぐ不幸を退けながら。


ひなた「あ、砂浜!!」

目の前に浜辺が見えてきて、思わずそっちへ駆けていく。


アラタ「ははっ、そんなにはしゃいで転ぶなよ~」

私の様子を見て楽しそうにクスクス笑い、後から歩いてついていく。


浜辺に到着すると、全体をぐるっと見渡した後、

いそいそと靴や靴下を脱ぎ始めて裸足になった。


アラタ「ひなた?何する気だよ。」


不思議そうにこっちを見て小首を傾げるアラタを気にも留めず、

砂浜を小走りで駆けていくと、

波の打ち寄せる浅瀬へ躊躇いなく入っていった。


ひなた「ひゃっ、冷たい~」

楽しそうに水をパシャパシャと跳ねて進む。


アラタ「おい、ひなた?!

あんま遠く行くなよ?! マジで危ないんだからな!!」

心配して浅瀬のそばまで近寄って叫ぶアラタ。


ひなた「アラタくん~えいっ!」


パシャンッーー!!


両手で海水をすくってアラタに向けて勢いよくかけた。


アラタ「うわっ?!冷たっ!! おい、何すんだよ!!」

ひなた「ほらほらほら~♪」

驚くアラタに構わず連続で海水をすくってはかけまくる。


パシャパシャパシャッーー!!


アラタ「やったな、このっ!!!」

ニヤリと笑ってアラタも反撃を開始する。


ひなた「ひゃっ!!あはは、このこのこの~~~♪」

海水を浴びて叫びながらも楽しそうに応酬する。


しばらく2人で海水のかけ合いっこをして思いきり遊んだ。


おかげで2人とも全身びっしょりと濡れたのだった。


ひなた「あはは、ずぶ濡れだね♪」

アラタ「ほんとだな」

ひなた「あっちで乾かそうよ」

少し離れた場所にある座れそうな岩場を指差した。


アラタ「そうだな」

2人で一緒に岩場に行くと、軽く服と髪を絞ってから座った。


ひなた「ふぅー、遊んだね~」

アラタ「マジそれな。

こんなに遊んだの、子供の頃以来かもしれないわ」

ひなた「楽しかったね」

アラタ「あぁ。楽しかった」

そんな他愛ないことを話して、お互いに笑う。


少しの沈黙。


ひなた「海、綺麗だね」

両膝を抱えて座り、膝に腕と顎を乗せ、

ぼーっと前方に広がる海を眺めてぽつりと呟く。


アラタ「…あぁ。」

アラタもゆっくりと前方の海を眺める。


しばらくそのまま2人でただ海を眺めた。


アラタ「…なぁ、ひなた」

ひなた「うん~?」

アラタの呼びかけに、気の抜けたような声で返事をする。


アラタ「…俺さ、本当に…初めてだ。この世界に転生してきて、

今日みたいなこんな平和でのんびりした日、過ごしたの。」

ひなた「…うん。」

ゆっくりと頷いて聴く。


アラタ「こっちの世界きてからこの幸運値のせいで、

不幸なことばかり起きてさ…。

ひどいとその場で死んでまたすぐ死に戻りさせられたりもしてた。」

海を眺めながら淡々と話す。


アラタ「痛くて苦しい思いを何度も何度も繰り返して…

転生して、死に戻って…。

嘆いたりもした。なんで俺ばっかって…。」

ひなた「…うん。」


アラタ「それを何十回、何百回って繰り返して死に戻っても

一向に終わらなくて…。

もうなんか、色々嫌になって…自暴自棄になってた。

でさ、誰かに聞いて欲しくなって、ユーザー掲示板に投稿したんだ。」

ひなた「そうだったんだね」


アラタ「でも誰もあの時まともに取り合ってくれなくて。

あれ、ほんときつかったなぁ~マジ。」

ははっと乾いた笑いをする。


ひなた「死んだら普通は死に戻ったりしないからね。

みんなきっと信じられなかったんだよ。」

アラタ「そうだな。そうかもしれないな。

でもその中で、聖女様だけは唯一、俺の話を信じてくれたんだ。」

ひなた「そっか。」


ひなた(私もそのユーザー掲示板、あの時見てたけど…

ほんと、『見てた』だけだったもんね…)

あの時のことをふと思い出して、そんなことを内心で思う。


アラタ「聖女様が俺に会ってくれるって言ってくれた時、

ほんと救われた気分になったわ」

ひなた「さすがアリシア様だよね~」

クスッと微笑む。


ひなた(あんな批判の中でも平然と名乗りを上げて、

協力するって言ったんだもんね。聖女ってみんなああなのかな?

…いや、この世界だと聖女って1人かもだけど。)

海を眺めながらアラタの話に耳を傾けつつ、そんなことを思う。


アラタ「…あのさ…ひなた。」

ひなた「ん?」

急に躊躇いがちに話しかけてきたアラタを不思議そうに見つめる。


アラタ「お前は…あの時、俺の投稿…見た?」

ひなた「え?…ええと…なんで?」

ふと気まずくなり、思わず戸惑って聞き返す。


アラタ「あ、いや、その…。」

頭を掻いて目を逸らし、明らかに動揺すると、

躊躇いがちに続けた。


アラタ「…お前も、俺の投稿…見てくれてて…

それで…もしかして、俺のこと心配して聖女様とともに

俺の元に来てくれてたんだったら…その…

嬉しいなって…思って…。」

目を逸らしたまま、少し顔を赤らめて恥ずかしそうに言う。


ひなた「…」

意外なアラタの言葉と反応に、

目をぱちくりさせ、キョトンとアラタを見つめた。


アラタ「あ、いや…な、なんでもない!!

俺が勝手に思っただけっていうか…ほんと、忘れてくれ!!!」

顔が更に赤くなり、動揺してパタパタと手を顔の前で振って

必死に誤魔化そうとするアラタ。


ひなた「…」

そんなアラタの行動を、まだ目をぱちくりさせて見つめると、

今度はクスクスと笑い出した。


ひなた「ふっ…あはは」

アラタ「…な、なんだよ…そんなに笑うなって…。」

恥ずかしそうにアラタが顔を赤らめながら文句を軽く口にする。


ひなた「あはは…うん…ごめんって。」

尚も笑いながら謝る。


アラタ「まだ笑ってるじゃん」

そう言いつつも、私を見てクスッと微笑む。


少しの間、2人で笑い合い、私の笑い声が辺りに響いた。


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