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幸運値ー99999?!異世界で出会った彼は『最凶不幸転生者アラタくん』  作者: ひととせ そら


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15.勇者とアラタの因縁


どれくらいの時間が経っただろう…。


しばらくそうしていると、アラタが顔を上げ、

ゆっくりと私から体を離し、恥ずかしそうに照れ笑いする。


アラタ「あ…その…長々と…ごめん。

それと…嬉しかった…ありがとう。」


ひなた「うん。落ち着いたなら良かったよ♪」

にこりと微笑んでこくりと頷く。


アラタ「うん…とても。」

恥ずかしそうに顔を赤らめ、目を伏せる。


アラタ「あの、さ…朝ごはん…食べに行こうか」

ひなた「うん、そうだね。行こう」


そうして2人で支度を済ませ、宿屋の2階の部屋から出ると、

1階のロビーに隣接した食堂へと向かった。


何事もなくのんびりと朝ごはんを食べ終えると、

宿屋から出て、朝のアークベルを2人並んで歩く。


ひなた「これからどうしようか。

聖女のアリシア様の神聖力が効かないとなると、

なにか他のことを試さないとだね。」

アラタ「あぁ、そうだよな。なにを試せばいいだろう…」


ひなた「う~ん…聖女がダメなら…同じ神聖力を持ってる勇者とか?

あ、でもこの世界って勇者いるのかな?

私、一度も見たことないんだけど…。」

アラタ「あ~…まぁ、いる…けど…」

やけに言葉を濁すし、ばつが悪そうにする。


ひなた「いるんだね。…なんでアラタくんはそんなに嫌そうなの?」

アラタ「あいつは…。いや、いい…。勇者は試さなくていい。

別のことをしよう、ひなた」

言い淀み、首を横に振る。


ひなた「でも、きっとこの世界で一番強力な神聖力を持ってるよ?

もしかしたらその幸運値も元に戻せるかもしれないし…」

アラタ「いいって!ほら、今日はあっちの大通りにでも行こう」

ひなた「え?アラタくん…?」

手首を掴まれ、引っ張られるようについていく。


しかし、大通りの手前の道で、

不自然な人だかりを見つけた。


ひなた(なんだろう…あれ。)

不思議そうに小首を傾げてそっちを見つめる。


ちらっと人の間から見えたその人だかりの中心には、

豪華な鎧とマントを身に着け、周囲に美女をはべらせる

金髪のイケメンな青年が立っていた。


ひなた「ねぇ…もしかして、あれが勇者様?」

掴まれた手首をクイクイしてアラタに尋ねる。


アラタ「え?…げっ…あいつ。」

勇者を見た途端、眉に皺を寄せた。


ひなた「せっかくだし、お願いしてみようよ、アラタくん」

アラタ「いや、やめとけって。あいつは…」

途中で辞め、耳打ちをする。

アラタ「女癖悪くて性格も悪いって評判なんだよ…」

ひなた「へぇ…そうなんだ?」

目線を移して勇者をちらっと見やる。


…勇者と目が合ってしまった。


勇者は一瞬、口角を上げたかと思うと、

人だかりをかき分けてこっちに寄ってきた。


勇者「やぁ、とても綺麗なお嬢さん。

お会いできて光栄だな。

僕はフィオ。この世界の勇者だよ。

よろしくね♪」

クスッと爽やかな笑顔を向ける。


ひなた「はい。私はひなたです。

よろしくお願いします、勇者様。」

微笑んで挨拶する。


勇者「あぁ。それと…」

ちらりとアラタに目を移す。


アラタ「…」

いかにも不機嫌そうな顔をして勇者を睨みつけた。


勇者「そこにいるのはアラタじゃないか。

久しぶりだな、アラタ。会えて嬉しいよ。

…相変わらず不幸そうな顔をしてるなぁ~アラタ?」

嘲笑うような顔で皮肉を言い、アラタを見下す。


アラタ「…あぁ、久しぶりだな、フィオ。

俺は会いたくもなかったけど。」

より不機嫌そうに勇者を睨みつける。


勇者「はははっ。まぁ、そう怖い顔するなって。

ところで、僕になにか用事があるんじゃないのかな?

ね、綺麗なお嬢さん?」

私の方に視線を映し、魅惑的な笑みを浮かべる。


ひなた「そうですね…

では、こちらのアラタくんに

勇者様の神聖力を使ってみてくれませんか?」

平然と受け流すと、手を向けアラタを示し、

ストレートにお願いしてみた。


アラタ「おい、ひなた、やめろって!!

こんなやつの神聖力なんて必要ないって!!!」


勇者「うーん…使ってみても構わないけど、

キミが僕に『報酬』をくれるのなら…ね♪」

私にウィンクを投げてきた。


ひなた「『報酬』…?」

勇者「そう、『報酬』。

僕がアラタに神聖力を使おう。

代わりにキミはその見返りとして、僕の恋人になって欲しいな。」

私の手を取り、魅惑的な笑みを浮かべて見つめてくる。


ひなた「…」

黙ってただ目をぱちくりさせる。


アラタ「はぁ?!ふざけたこと言ってんじゃねーぞ、フィオ!!」

こっちに近づいてくると間に割り込んで私と勇者を離し、

私を背に隠すように立ち、勇者を睨みつけるアラタ。


勇者「はははっ。なにをそんなに目くじらを立てているんだ?

別にキミはこの綺麗なお嬢さんの恋人ってわけでもないのだろう?」


アラタ「なっ…?! こ、恋人…ではないけど…も…っ」

悔しそうな顔をし、勇者を睨む。


勇者「なら僕がこのお嬢さんの恋人になったって

なにも問題はないじゃないか。」

アラタ「…ぅぐ…っ」


勇者「キミたちは僕に神聖力を使って欲しい。

で、しかもお嬢さんはその上で、

この『勇者でイケメン』な僕と付き合える。

ほら、最高の条件だと思わないかい?」

アピールでもするかのようにこっちを見つめ、前髪をかきあげる。


ひなた(…そういうの、自分で言っちゃうんだね…この勇者様。)

勇者の言動に内心でほとほと呆れる。


アラタ「おい、ひなた!

あいつのむちゃくちゃな条件なんて、

全く聞く必要ないからな?!」


ひなた「え?…う~ん…」

悩むようにコテンと小首を傾げ、

アラタの背中越しに勇者を覗き見る。


アラタ「もういい…行くぞ、ひなた」

ひなた「あっ…アラタくん?」

私の手首を掴んでさっさと勇者から離れていくアラタ。


勇者「おや、もう行くのかい?

残念だね。そんな無能なアラタより、

勇者である僕の方がキミのそばにいる価値がある。

気が変わったらいつでも歓迎するからね、ひ・な・た」

離れていく私とアラタの背後からそんな余裕そうな声が聞こえたが、

アラタは気にせずその場からスタスタと足早に離れたのだった。


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