11.黒いローブの男たち(再戦)
元の姿を取り戻したそこには、
誰もいないただ静かな空間の広がる大聖堂の広間があった。
ひなた「…」
無言でただその広間をじっと見つめる。
アラタ「誰もいないな…」
アリシア「おかしいですね…。
大聖堂はいつでも一般開放されているはずですが…」
アラタ「なら、たまたま今、誰もいないだけとか。」
アリシア「分かりません。
ですが…この奥から、ひどく歪んだ気配が感じられます。」
アリシアが祭壇のずっと奥の扉の先を、曇った顔で見つめる。
ひなた(戦闘前…)
黒ローブの男たちと出会う前の時間に戻されたことを実感する。
ひなた「…」
再び繰り返されたその光景に、
無言でスタスタと奥の扉の方へと向かう。
アラタ「おい、ひなた?」
アリシア「ひなたさん?!危険ですよ、その先には…!」
バーンッ!!ーー
派手な音を立てて、私は豪快に扉を開け放った。
黒ローブの男01「あ?なんだぁ?」
黒ローブの男02「これはまた美味しそうな血の人間たちが
やってきたなぁ~」
一斉にこちらを振り向いた黒いローブの男たちの手には、
血の滴った短剣や鈍器が握らている。
アリシア「ひっ…彼らです。
あの、『ひどく歪んだ気配』の持ち主は…」
不安げに片足を一歩後退させて、
黒いローブの男たちを見つめるアリシア。
アラタ「なんだよ…あの変なやつら…」
動揺して後退する。
ひなた「…」
また無言のまま、今度は双剣を腰から抜剣し、
軽く下に振り下ろしながら黒ローブの男たちに近づいていく。
アリシア「ちょっ…ひなたさん?!」
アラタ「おい、待てって!!」
黒ローブの男01「おやぁ?
お嬢ちゃん、俺らと遊んで欲しいのかぁ~?」
黒ローブの男02「ヒヒヒ…!
いいねぇ…とても美味しそうなお嬢ちゃんだ…」
黒ローブの男たちがこっちを見て下卑た笑みを浮かべる。
ひなた「地獄で悔いろ…
『青き王の絶対なる裁き』」
前回とは違い、サクッと詠唱し、スキルを発動させる。
そして、こっちは前回と同様に…
クロスさせた双剣を左右に斬るように振ると、
そこから放たれた巨大な衝撃波が黒ローブの男たちを襲い、
それに触れた全員が冷気に氷漬けにされ、
その後すぐ、ガラスが砕けるような音とともに、
黒ローブの男たち全員の体が粉々に砕け散った。
そしてその場にはただ、雪のように周囲に
キラキラと氷の破片だけが静かに舞った神秘的な光景が広がった。
アリシア&アラタ「…」
2人はその神秘的な光景に、ただ息を吞んで呆然と見つめた。
しかし私は2回目の経験のため、
落ち着いた雰囲気でそのまま双剣を鞘に収めた。
ひなた(確かに…今度は私も死なないし、神の介入も無し、か。)
アリシア「す…すごいです…ひなたさん…」
アラタ「ひなた…お前、こんなに強かったのか?」
ひなた「それより、今はほら、生存者を探さないと…」
アリシア「あ、そうでした!はい。探しましょう!」
アラタ「そうだな。探そう」
こうして3人で、黒ローブの男たちの襲撃を受けた大聖堂を
あちこちと捜索したが、生存者はもう見つけられなかった…。
3人で落胆すると、仕方ないのでアークベルの騎士団を呼び、
事情を話して対応をお願いした。
騎士団長「別の大聖堂より神官の派遣を急ぎ依頼しましたが…
聖女アリシア様、この大聖堂にその者たちが到着するまでの間、
ご滞在願えますでしょうか?」
アリシア「分かりました。お引き受けいたします。」
こくりと頷く。
アリシア「そういうわけですので…
すみません…ひなたさん、アラタさん。
ここで私はお別れとなりそうです。」
こっちを振り向いて、申し訳なさそうに謝って頭を下げた。
ひなた「あ、いえ、全然そんな…」
首をブンブンと横に振る。
アラタ「俺の方こそ、聖女様にこんなに付き合ってもらって
申し訳なかったっていうか…」
アリシア「ですが…私は全然お役に立てませんでしたが、
ひなたさんはとてもお強いですし、
私なんかよりもきっと、アラタさんのお役に立ってくださいます!
現に、先ほども大聖堂の黒いローブの男たちを
倒してくださいましたし。」
2人がこっちを見やる。
アリシア「ひなたさんがおそばにいるだけでも、
アラタさんを不幸からたくさん守ってくださいますよ」
胸元で手を組み、こちらを見てクスッと微笑む。
アラタ「ほんと、そうだな。
ひなたがいるってだけでも、俺の生存率が上がりそうだ」
アラタもこちらを見てクスッと微笑む。
ひなた「そうだね。うん、任せて♪」
2人を見て微笑むと、
お茶目に両手で小さくガッツポーズをしてみせた。
少しの間、3人で微笑み合って和やかな空気に包まれた。




