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カオス・ライフ ~転生特典で貰った魅了の魔眼が厄介すぎる~  作者: 霧島樹
第一章

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35/50

35 機知に富んだ巧妙な

 転生者であることを言い当てられ、驚きに目を見開く。


「わかるのか?」


「鎌を掛けただけだが……まさか、本当に転生者だったか」


 レイナ自身も驚いたのか、ソファの背もたれに寄り掛かったあと呆然としたように俺を見つめ、少ししてから口元に拳を当てて笑い始めた。


「フ、フフフ……今まで婆が紹介してきた男とは随分と毛色が違うと思ったが、なるほど……そういうことだったか」


「レイナ?」


「いや、こちらの話だ。貴君としては先ほど同様、なんでわかったと聞きたいのだろうが、すまんな、これも国家機密なので言えん。そちらの秘密は一方的に暴いておいて、こちらが何も言わないのは不公平だろうとは思うが……」


「大抵は信じてもらえないから言わなかっただけで、特に秘密ってわけじゃないから、それは別にいいよ。ただ、ひとつ聞きたいことがある」


「なんだ? 私に答えられるものなら、なんでも答えよう」


「レイナは──」


 俺は彼女の表情をよく観察しながら、その質問を口にした。


「──もしかして、転生者なのか?」


「私が、転生者?」


 レイナはキョトンとした表情で言葉を繰り返した後、心底おかしそうに笑いだした。


「フ……フフフ! いいな、それはいい! そうだったら、さぞ運命的だったろうな!」


「……ってことは」


「ああ。残念ながら、私は転生者ではない」


 レイナは穏やかに笑いながら、酒のグラスを傾けた。

 その表情に違和感はない。嘘をついているようには思えなかった。


「だが……私は貴君に運命を感じているぞ」


「……なんで?」


「さぁ、なんでだろうなぁ」


 レイナが酒のグラスを空にしてテーブルの隅に置くと、クラリスさんがすかさずおかわりを注ぐ。それを見て俺も自分の酒を飲み干し、一声かけてお願いしながら3杯目の酒を注いでもらう。


「それも国家機密?」


「フフッ……かもしれんな。だが、もし私と結婚することになれば、全部教えてやるぞ」


「俺は結婚する気ないって、最初に言っただろ」


「そうだったな。まあ私も今のところないが」


「ないのかよ」


 思わず食い気味に突っ込む。

 なんだか気分がよくなってきたな……いい感じにアルコールが回ってきてる。どうやら加護があっても酒には酔うようだ。

 一人だったらここからが本番だが、今日は人がいるからな。残念だが、飲むペースを落とすか。


「ああ、まったくない。すでに察しているとは思うが、私は理想が高いらしくてな。婆から『結婚は妥協』と言われてはいるのだが、妥協してもいいと思えるほどの男がいない。他の男より運命を感じる貴君も含めてな」


「へぇ……それじゃ、後学のために聞いておきたいんだけど、俺の場合はどこがダメだったりするんだ?」


 女神様から恵まれた容姿を貰っただけあって、外見は恐らく大丈夫だろう。

 そうなると他の要素は性格だが、今のところ何がダメなのか見当がつかない。そんなお互いが深くわかるほど、大して喋ってもないし。


「まず一番わかりやすいところで言うと、顔だな」


「マジかよ」


 まさかの顔面だった。


「見た目の醜悪は基本、気にしないのだが……貴君は顔が良すぎるのがダメだ。正確に言うと、私よりも美形なのがダメだ。私と貴君が結婚したら、二人で並んだとき人が貴君の方を見て、貴君の方が美しいと思うだろう?」


「……えっと、それがダメなのか?」


「ダメに決まっている。なぜ男の貴君が、女の私よりも美しさで人の目を惹くのだ。理不尽だろう。正直に言うと、そんな光景を想像するだけでイライラする。吐き気がする。殺したくなる」


「正直すぎるだろ!」


 っていうか理不尽なのはそっちじゃないか?

 あと、後半が普通にヤバい奴すぎる。

 すでにかなり飲んでるし、普通に見えて実は結構酔ってるだろ。


「まあでも、なら俺は結婚相手としては不合格ってことか」


「今のところはな。しかし他の者よりはマシなのも確かだ。引き続き見極めさせてもらうぞ。婆の顔を立てる必要もあるしな」


「マシって……見極めたところで、俺は結婚しないんだけど」


 仮に魔眼の問題が一切なくてフラットな状態でレイナとお見合いをしたとしても、俺は結婚しないと思う。だって二人並んで人前に出るたび、殺したくなるほどイライラされたくないから。お互い罰ゲームじゃんそんなの。


「フ……つれないことを言うな。互いに相手をよく知れば、やがて何かが変わることもあるだろうさ。人間の意思ほど不確かなものはない。数分前に思っていたことが数分後に変わることなど日常茶飯事だ。そうだろう?」


「大体はそうだろうけど、変わらない意思だってあるんじゃないか?」


「そんなものは今までついぞ見たことがないな」


「なるほど……」


 そういうこともあるか。

 まあいいや。大婆様の顔を立てる必要があるのはこっちも一緒だし、レイナとは酒を飲んで楽しく会話ができれば、それでいいだろう。


「あと貴君の二番目にダメなところだが」


「その話まだ続いてたのか」


「聞きたくないか?」


「……聞きたい」


 次はなんだろう。気になる。

 マナーとか、仕草とかだろうか。それともまた外見系で身長とか?


「話が面白くない」


「……………………」


 それ、ガチなやつじゃん……。

 確かに面白い話とかはしてないけど、そんな改めて言われるほどだとは思っていなかった。こっちは酒のおかげで割と楽しく会話してたから、ちょっとへこむわ。ショックを受けたせいか、いつの間にか手に持っていたグラスも空になってる。


 少し悲しくなっていると、クラリスさんが酒のおかわりを注いでくれた。俺の方が飲むペースを上げてどうする……って、レイナも酒を飲み干して、おかわりしてるよ。大丈夫か……?


「ふぅ……貴君、いける口だな。この酒でここまで飲める男は初めて見た。……おい、なんだその顔は。言っておくが、私は帝国で一番酒に強い女だ。私の心配をするぐらいなら、先に自分の心配をすることだな」


「はいはい、わかったよ……ちなみになんだけど、レイナが面白いと思う話ってなんだ?」


「面白い話? ふむ……」


 レイナは口元に拳を当てて考え込むと、うんうんと唸り始めた。


「あ、いや、具体的にないなら、それはそれでいいんだけど……」


「待て、あるぞ、ある……そうだ。クラリスだ」


 急に名前を呼ばれたクラリスさんがピクリと眉を動かす。


「クラリスはこう見えて、機知に富んだ巧妙なシャレが得意でな」


「クラリスさんが……?」


 テーブルから少し離れた場所に立っているクラリスさんが、胸に手を当てて目をつぶる。


「恐悦至極に存じます」


「なるほど……」


 確かに、こんなクールビューティーなクラリスさんから機知に富んだ巧妙なシャレが出てきたら、それはかなり面白いかもしれない。


「クラリス、言ってみろ」


「かしこまりました」


 クラリスさんは深呼吸して目をカッと見開き、心持ち普段より真剣な無表情で言った。


「トレントが……取れんど」


「………………」


「フフッ!」


 レイナが口元を手で押さえ、笑っている。

 ……え、こんなので?


 機知に富んだ巧妙なシャレって言うから、捻ったオシャレなジョーク系かと思ったら……シャレはシャレでも、まさかダジャレとは。


 こんなのでいいなら、俺だっていけるのでは?

 そう思い、懐に入れた革袋から金貨を一枚、取り出して言う。


「お金は、おっかね~」


 ──そして、静寂が訪れた。

 レイナはポカンとした顔で固まり、クラリスさんも無表情のまま微動だにしない。


 やってしまった。レイナ的にこういうのは、クールビューティーなクラリスさんが言うから面白いという感じだったか?

 そりゃ超くだらないもんな。

 こんなのでいいんだったらチョロすぎるし……と、反省していた次の瞬間。


「フ……フフフッ!」


 レイナが両手で口元を押さえ、とても楽しそうに笑った。

 えぇ……これでいいのか。チョロすぎだろ。

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