表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フリージア王国備忘録<第二部>  作者: 天壱
頤使少女とショウシツ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

437/1000

Ⅱ281.騎士達は回収する。


数十分前。


「ップライド様に何かあったってことだろ⁈」

「だから待てと言っている!まだ騎士団に通達が来ていない」

「緊急事態であれば通信兵か、そうでなくても何かしらの合図がある筈ですが……!」


ステイルがアーサーと共に瞬間移動から、アラン達も当然ながら他人事ではいられなかった。

ステイルが顔色を変えアーサーまで連れて行ったということは、間違いなく彼個人の急用ではない。それは近衛騎士全員が理解できたことだった。プライドからの指笛に気が付き、何かあったと判断したステイルが他でもないアーサーを選んだ。二人の関係を考えれば当然の流れである。

それからすぐに騎士団にも何か通達は来ていないかとアラン達は部屋を飛び出したが、外は全くの異変どころか警報の一つも聞こえてこなかった。

今も扉を全開にしたまま三人で壁際に立ち、アランの部屋と騎士団演習場双方の変化を待っている。

いつ同じ騎士館の騎士が通り過ぎるか聞かれるかもわからない為声こそ潜め合っているが、深刻な表情だけは互いに隠さなかった。

ステイル達が戻ってくるとしたら、間違いなく自分達と飲んでいたアランの部屋だ。しかし、五分以上経ってもアーサーすら戻ってこない。つまりはやはり勘違いではない何かがあったのだとアランは判断した。カラムもエリックもそれは同意見ではある。しかしここで騎士団長もしくは王居に向かえば、何故異変に気が付いたかも言わなくてはならなくなる。本来であれば気軽に訪れて良いわけがない第一王子がアランの部屋で飲んでいたなど、ステイルの立場を悪くする。城からの報せがあるまで、あくまで騎士である彼らは動けな



「夜分遅くにごめんなさい‼︎」

「失礼します‼︎」

「ッすみません戻りました‼︎」



突如として、聞き慣れた三人の声がアランの部屋から放たれた。

息も止めて振り返ったアラン達は予想外の人数に目を疑った。直後には一番近くに居たエリックが全開にしていた扉を大慌てで閉じた。ガッチャン‼︎と急ぎ過ぎて乱暴になってしまったことを自覚しながらも、第一にこの状況を他の騎士に見られないことを今は優先する。

ステイル一人なら未だしも、三人もの王族にエリックだけでなくアランやカラムも彼らを呼びかけた口を無理やり閉じた。今この場でその名を響かせれば大変なことになる。

いま部屋に居るのはステイルと、寝間着姿のプライドとティアラなのだから。


「ここはっ……⁈兄様、どうして近衛騎士の方々がみんなここに……?」

「以前話しただろう。学校潜入中は近衛騎士達も情報共有をしていると。今なら集まっていると思って〝アラン隊長の元へ〟瞬間移動しただけだ」

「あっ、じゃあここはアラン隊長のお部屋でしょうか……?ごめんなさい、突然押し掛けてしまって」

目を丸くして周囲を見回すティアラに、ステイルはあくまで偶然を装う。

近衛騎士達と頻繁に飲みに参加していることはティアラにもプライドにも隠し通している。ステイルの意図を理解したアーサーも敢えて下手を言うまいと閉じる顎に力を込めたが、それからは近衛騎士三人の行動が早かった。


「あ⁈い、いいいいえ⁈すみません‼︎はい‼︎それは全然⁈大丈夫、です⁈はい‼︎すみませんちょおッと片付けますね⁈」

ハッと、自分の部屋にプライドが訪れてしまった事態に後から気がついたアランが、大慌てでステイルが飲んでいたグラスを空き瓶と一緒に片付ける。アーサーならまだしも、今この場に飲んでいた数がもう一人多いことに気付かれたらまずいと真新しい長テーブルから滑り落とすように回収する。


証拠隠滅に努めたアランと同時に、カラムとエリックは急いで自分の上着を脱ぐ。

部屋訪問されたアランとはまた別の理由で、今は彼らも相当焦っていた。何故ステイルのみならずプライドやティアラまで現れたのかも事情を聞きたいと思ったが、それ以上に完全寝衣姿の王女を隠すべくそれぞれ上着を背後から羽織らせる。

失礼しますと声を掛けられれば、プライドもティアラも今気が付いたように交差した手で羽織る服を引っ張り、薄い布地を隠した。慌てていたとはいえ、せめて上着くらいは自前で用意すべきだったと反省する。

ステイルとアーサーも、ティアラの部屋が暗がりで気付かなかったとはいえ配慮にかけていたと今更になって顔ごと目線を外してしまう。


「お気遣いなく。それよりもちょうど良かったです。急ぎ近衛騎士の皆さんの力を貸して下さい」

急ぎグラスと酒瓶を証拠隠滅するアランへ声を掛けながら、プライドは声色を強めた。

凛としたその声に顔が熱った近衛騎士達も表情を引き締める。「はっ」とひと声を返してから素早く彼女達の前へと整列する。

ステイルがわざわざ相棒のアーサーだけでなく自分達も必要としてくれたのはプライドの意思もあるのだと理解すれば、騎士としての意識に頭も冷えた。何なりとの意思を込めて騎士達が姿勢を正せば、プライドは一人ひとりに目を合わせた。


「ティアラが予知をしました。説明よりも〝見て貰った方が〟早いと思います。……ティアラ、お願いできる?」

はいっ!とプライドからの頼みにティアラも強く返す。

丸い瞳を凛々しく開く彼女の頷きと視線に、ティアラの予知能力を知る彼らも思わず口の中を飲み込んだ。既に彼らも一度その身に受けた覚えがある。

あまりにも現実味の強いアレに緊張も走ったが、今は状況把握を優先しティアラへと目を合わせた。彼女の特殊能力を受けるべく身構えたその直前。


「あっ。わりっ、ちょっと待ってくれ」

ふと、思い出したようにアーサーが手を上げる。

突然の制止に声だけでも思わず身が強張るティアラに、プライド達も一気に彼へと振り向いた。すみません、と先輩達にもぺこぺこと謝罪するアーサーは慌てるようにステイルの肩に手を置き、目を合わす。


「ハリソンさんも呼びてぇンだけど」

頼めるか?と、夜中に大声で呼ぶわけにもいかず居場所もわからないハリソンの元へと瞬間移動を頼むアーサーにステイルも頷いた。



……




ピィィイイイイイイイイッッッッ……


「ッアラン。見つけたか」

「お疲れ様です!」

指笛を鳴らしてから、アランの元にカラム達が瞬間移動で訪れるのはすぐのことだった。

ティアラの予知を目にしてから、レイの顔とそして状況を正しく理解した近衛騎士達はすぐにステイルの手により中級層へと放たれた。

城下の地図を広げ、細い月の見えた方向と中級層の中でも裏通りと林のある候補地へ一人ずつを放てば、見つけ出すのも難しいことではなかった。一ヶ所ごとに捜索時間を縛り、数分ごとに見つからなければステイルがまた違う候補地へと順々に彼らを瞬間移動し続けるだけだ。

結果、ステイルと実質近衛騎士達四人だけでレイの発見も叶った。

〝ジャンヌ〟〝フィリップ〟〝ジャック〟としての変装の時間を惜しんだ結果、ここは近衛騎士にお任せをと説得されたプライドだったが、彼女自身も捜索を託すことには不安はなかった。間に合うかというタイムミリットさえ気にしなければ、自分よりも遥かに城下に精通しているのは騎士達なのだから。

むしろ正体を隠さないといけない自分達と違い、適正な人選とすらある。


「あ〜なんとかギリッギリ間に合った。ちょっと燃えたけどこれぐらいなら大丈夫だよな?」

瞬間移動で現れたカラム、エリックそしてハリソンに、アランは笑いながら軽く手を振った。

背後の林が足元から幾分燃えたが、レイが意識を手放したと同時に消えた為殆ど被害は無く澄んだ。そしてアランの足元には武器を携えていた男達が十人近く転がっていた。

全員生きてはいるが一般人を襲おうとした現行犯の為、このまま衛兵に突き出すことになる。彼らが気を失っている内に衛兵達を呼ぶのと自分達四人で運ぶのとどっちが楽かなと考えながら、アランは裏稼業達とは少しだけ距離の離れた影を目で指した。裏稼業同様、完全に気を失っているレイにアランが何をしたかはカラム達も聞くまでもなかった。

念のため背後に回した手に特殊能力者用の枷をアランにより掛けられたレイは、今は炎も出せない。


「連行か?」

高速の足で一瞬の内にレイの傍についたハリソンは、短く尋ねながら乱暴にレイの頭を鷲掴む。

折角のアーサーの呼び出しとプライドの指名だったというのに全く自分が関与できなかったことで、些か機嫌が悪くなる。アラン達と一緒にレイの未来を見た彼にとって、レイも十分現行犯に近かった。

だが、実際は裏稼業に絡まれての正当防衛と、本格的に能力を使おうとしたところでアランが仲裁に入った為、今回に関してはレイに連行するほどの余罪はない。

それでも有罪と言わんばかりにレイを乱暴に掴むハリソンに、アランが慌てて「待て待て待て‼︎」と止めに入る。ここで下手にレイが目を覚ましてハリソンを刺激すれば、最悪数日間病院のベッドで目を覚まさなくなる。


「アーサーも言ってただろ⁈今回はそいつを止めに来たんだって‼︎」

「ハリソン。あくまで我々は〝通りがかっただけ〟ということを忘れるな。それよりも詰所から衛兵を呼んできてくれ」

「アラン隊長、彼はどれくらいで目を覚ましますか?」

レイの頭を掴み上げるハリソンの手をアランが止める。更にカラムから指示をされれば、それくらいしか今はできないのかと不満に思いながらも仕方なくハリソンも従った。一瞬の風がカラム達に短く吹いた後、返事もしないまま闇夜に溶ける。


エリックの問いかけに、アランは頭を掻きながら今回は手加減できた筈と思い出す。

ステイルから数回目の瞬間移動をされた後、建物の上から駆け回ってレイを探した。男達の騒ぎ声と、更に近付けば予知と同じ黒い炎が見えた。そのまま建物の上から男達の頭上を超えて跳ね、レイの背後へ過ぎざまに後ろ蹴りで不意を突けば簡単に黒炎も消えた。彼が既に炎を放ちかけていたのは少し焦ったが、それでも自分に気付いていない分背後を取ってから攻撃するまでに余裕はあった。

少なくとも以前相手にした炎の特殊能力者よりはずっと楽だったと思う。


「そんな強く打ってねぇし、起こそうとすればすぐ目ぇ覚ますと思うぜ。どうする?俺が説明しとくか?」

「あくまでジャンヌの親戚として、だ。偶然ということを忘れないように」

「では自分達は、彼らを拘束しておきますね」

まだ目は覚まさないと思いますけど、と言いながらエリックは早速一番近い男から両手を纏めて締め上げる。

カラムも同じく彼らが目を覚ましても逃げられないようにと対処していく中、途中で一人顔に火傷を負っている人物に気付く。「これはっ……」とティアラの予知と全く同じ顔と火傷に声を漏らすカラムに、レイを起こそうと腰を下ろしたアランも振り返った。


「あ、わりぃ。そいつはちょっと間に合わなくてさ。まだ応急処置してねぇから頼む」

「アラン。まさかお前、火を取り巻いている状態の彼に特攻したのか」

また、と。その言葉を飲み込みながら、カラムはアランを睨む。

以前、炎の特殊能力者相手にこれ以上なく手痛い目に合った筈のアランに全く反省の色がないことを目で咎める。しかし、アランもアランでその眼差しすら「いやだってまだ火もちょっとだったし」と笑って流してしまう。慎重にならないのは悪いと思うが、一度死にかけたぐらいで怖じけるのも自分の性に合わない。


ペチペチとレイの頬を軽く叩きながらカラムに返すアランに、エリックもいつものことだと全く気にしなかった。

カラムから気を紛らわすように「おーい大丈夫かー」と気の抜けた声でレイに呼びかけるアランの声を聞きながら、作業を続ける。

必要ならば強制的に起こす方法もあったが、アランからの呼びかけと連続する小さな刺激でレイも目を覚ますのに時間はかからなかった。

ちょうどエリックが最後の一人を拘束し終えたところで、レイが小さく呻き目を覚ます。


「あ、起きた起きた。悪いな、ちょっと今だけ拘束してるけどちゃんと外してやるから怒るなよ?」

目を覚ましたレイが気付く前に、拘束の事実を語りかけるアランはしゃがんだままレイの顔を覗き込んだ。

目の前の騎士と、そして転がる男達。更には拘束されている事実に目蓋をなくして首を動かすレイだが、両手が封じられている中ではうまく起き上がることもできない。「これはッ一体……なんで騎士が‼︎」と自分の状況を飲み込みきれないレイに、アランは「落ち着け落ち着け」と気楽な声で宥め、腕を貸して身体を起こさせた。


「俺様はっ……ッ、俺は、何もやっていません。こいつらがただ襲って……」

「わかってるわかってる。見回り中に全部見たから。襲われてるの見かけて止めに入っただけだし。でも、お前の方も十分やべぇ特殊能力だったから、一応今は封じさせて貰ってる。あのままだと全員火傷じゃ済まさなかっただろ」

むしろ骨も残さず焼き殺していた、という事実を伏せてアランは笑う。

レイも気を失う直前まで頭に血が上っていたことを覚えている為、すぐには否定もできなかった。自分の中ではっきりと殺意が膨らんだ感触が残っている。

アランから目を逸らし、試しに特殊能力を使ってみる。だがやはり全く火は出なかった。しかも見られていたとなると、かなり面倒なことになったなと考える。まさか裏稼業どころか騎士にまでこんな裏通りで見つかるとは思わなかった。ここで元々自分が雇っていた連中だと正直に話せばこのまま自分も連行されるだろうかと考えたところで、聞き捨てならない言葉がアランから放たれる。


「あー、あとお前のこともジャンヌ達から聞いて知ってる。レイだろ?俺、あいつらの親戚な」

「は⁈」

思わず、素の反応で声を上げた。

ジャンヌに騎士の親戚がいることは知っていたが、まさかよりにもよってと。アランの見回りや偶然通りがかったという言い分は疑わなかったレイだが、流石にこの偶然には疑念を抱く。一体何がどうなっているのか、まさかこの裏稼業の連中も騎士も、双方を自分のところに招き寄せたのもジャンヌの罠だったのではないかとまで疑いそうになる。反応におかしそうに笑うアランがそのまま人探しをしているということも今日話を聞いたと説明すれば、どこまでが一体仕組まれていたのかとレイは頭中を忙しく回し続け


「いや〜、まさかアイツがお前の探し人だったとはなぁ。偶然って怖いよなぁ」

「⁈奴を知っているのか⁈」


止まる。

様々な疑念が混ざり始めていたレイの頭が一瞬で全て取り払われた。

相手が騎士ということも、自分の立場も状況も忘れ前のめりに顔を近づけてくるレイにアランも少し背中を反らした。落ち着け落ち着けとレイの両肩を掴み、一定距離を保つアランだがそれでもレイは止まらない。


「奴はどこにいる⁉︎教えッて下さい‼︎奴は生きているのですか⁈」

途中で思い出したように遅れて言葉を整えるレイに、これだけ必死なら確かに裏稼業達の失言は導火線に火をつけるようなものだったなとアランは思う。

アーサーが火傷したのも、特殊能力関係なく彼のこの熱量なら頷けた。今も自分へ目を血走らせてぐいぐいと詰め寄ろうとしてくるレイに、アランは「生きてるって」と強めに言い返した。それだけでレイの勢いがいくらか削げる。


「結構最近会ったことがある。居場所も調べてるところだ。明日の放課後ぐらいには居場所もわかると思うから。だから今日はもう帰れ。なっ?また襲われたら困るだろ」

詳しいことは明日ジャンヌ達に聞いてくれ、と一つ一つ言い聞かせるアランにレイは瞬きの余裕もなかった。

ライアーが生きている、と存命を知る生き証人がいると思えばそれだけで瑠璃色の両眼が強く光った。今すぐにでももっと情報は貰えないかと願うレイは、自分を気絶させたのが目の前の騎士であろうこともどうでも良くなる。


「もっと話を聞かせて下さい!俺様は、俺は奴をずっと探していました……‼︎せめて本当にライアーに会ったのか納得できるまでは帰れない‼︎」

「じゃあお前ん家まで一緒に帰るか?なっ、そしたら話せる部分までなら答えてやるよ」

「わかりました……‼︎」

馬車も止めていると、方向はわからずとも自分が馬車を置いてきた場所を口頭で説明する。

それを聴きながら、アランは落ち着かせるように背中を摩り「結構距離あるなー」と軽く返した。興奮が鎮まらないレイに、取り敢えずは熱が冷めるまではこのままにさせてもらおうと手錠をしたまま彼を立たせた。

転ばないように彼の肩に腕を回し友人のような組み方で歩かせるアランに、レイも今だけは文句は言わなかった。いつもなら気安い、近づくなと言いたくなるところだったが、今はなるべく目の前の情報源から機嫌を損ねたくない。

もう他の人間が目に入らないように自分に意識を集中させてくるレイを連れながら、アランはカラムとエリックにこの場を任せる。取り敢えずコイツ送ってくる、と言いながら一応自分も道すがらにレイの事情聴取もある程度は取らないとなと考える。今のレイなら素直に答えてくれるだろうとも。


「取り敢えず俺が一個答える代わりにお前も一個質問に答えるで良いか?」

「なんでも答えます。だからライアーのことについて詳しく……‼︎本当に奴に会ったのですか?一体いつっ……‼︎」

「それ、一個目の質問でいいか?」

普段は絶対にしない言葉遣いもレイは迷わない。

レイと直接話すのは初めてのアランだが、確実に今のレイはプライド達が見たら別人だと言い出すのだろうなぁと思う。

アランの問いに一度口を噤んだレイは、歩きながらも少し考える。

最終的には全て答えさせたいが、最初に聞きたいことはと自分の疑問を整理する。本当にこの騎士がライアーを知っているのか、口から出まかせで自分を丸め込もうとしているだけじゃないのか、どう聞けば本当にライアーを知っているか確認できるのかと考えを巡らせ続け、今度こそ問うべき第一の質問をアランへと投げかけた。


「貴方はライアーとどういう関係ですか」

「……まぁ、炎の槍で鎧ごと腹を貫通させられそうになった仲だな」


実際は間違いなく貫通したが、当時のことはアランも助かった理由すら知らない。

苦笑いを浮かべながら言うアランの表情と、ジャンヌに渡した資料にも載せていなかったその細かい能力に、レイはこの場で疑うのをやめた。


そんな芸当ができるのは、自分が知る限りライアーぐらいのものなのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ