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フリージア王国備忘録<第二部>  作者: 天壱
私欲少女とさぼり魔

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320/1000

〈コミカライズ重版出来2-2・感謝話〉現代王女は参じ、

ラス為コミカライズ2巻が二度目の重版を頂き、第三刷が発行されました!

本日は再重版の感謝を込め、特別話を書き下ろさせて頂きます。

少しでも楽しんで頂き、作者の感謝の気持ちが伝われば幸いです。


本編と一切関係はありません。


IFストーリー。

〝キミヒカの舞台が、現代学園物風だった場合〟

今回は〝2巻〟再重版感謝話の為、コミカライズ2巻に合わせた登場人物主軸の物語になります。御了承下さい。


※あくまでIFです。

登場人物達は本編と同じような経過を経て同じような関係性を築いていますが、一部呼び方を含む関係性や親密性が本編と異なります。

本編で描かれる登場人物達の関係性は、あくまで本編の世界と舞台だからこそ成り立っているという作者の解釈です。

友人、師弟、主従、恋愛等においても本編と全く同じ感情の種類や強さとは限りません。


※現代をモデルにした、和洋折衷の世界観です。

特殊能力は存在せず、日本をベースに王族・騎士が存在します。年齢も違います。


※時間軸は第一作目解決後です。


※あくまでIFです。

※ 本編と一切関係はありません。

簡単に現パロの感覚でお楽しみ下さい。


「俺、なんかしたっけか……?」


放課後、部室塔へ向かおうとしていた高等部三年生アーサーはその足をくるりと向きを変え廊下を歩く。

校内放送で突然騎士科全棟にかけられた呼び出しに、アーサーは全く見当がつかない。呼び出し教師名からして部の関連だろうと思うが、部長である自分は書類の提出期限もちゃんと守っている。

今日行う校内戦の一つでもある大学部との交流戦についての打ち合わせが一番可能性としては大きいが、もう話すことは全部打ち合わせた。まさか試合の代表選手が怪我をしたかも考えるが、少なくとも携帯には部員から何の連絡も来ていない。

部員の問題行動などでも部長である自分が報告の為に呼び出されることはあるが、基本的に騎士部でそういった行為を行う者は自分の代にいない。

頭を掻き、鞄を小脇に一人眉を寄せる。ただでさえ最近はその打ち合わせや調整で忙しかったから、何か忘れ抜け落ちている可能性も充分あると考える。


「プライド様達にも殆ど会えてねぇし……」

ぼそり、と独り言は口の中で留まった。

放課後は当然ながら、早朝も休み時間も殆どが騎士部関連で埋まっている。自分がもっと要領が良かったら予定をもっと合わせられたのだろうとは思うが、部長を任され請け負った以上は言い訳など許されない。以前のようにステイルと手合わせやプライド達と昼食や外に遊びに行くのも勿論したいが、それ以上に自分が任されたことを真っ当したい。

騎士部に所属する騎士科の生徒は九割以上。高等部とはいえそこの頂点を任された限り自分に責任もある。今もすれ違う騎士科生徒の殆どが自分に挨拶を掛け、同年齢でも頭を下げてくる生徒もいる。恐ろしいことに騎士科に限ればその高等部生徒全員の上に自分は立っているようなものだった。

大学部へと移り、四年後騎士として認められた者はフリージア王国の誇る騎士団に入団することが許される。部長になったからといってそれが確約されたわけではないが、将来騎士になることが夢であり目標でもあるアーサーにとっては臨むべき重責だった。

今日もこの後部室へ行って着替えて整列させ準備を済ませ、それから模擬剣で軽く全員打ち合いを行ってから合流する大学部騎士部と交流試合をと思考を回す。

階段を降り、職員室前で一度両足を止めてから姿勢を正しノックを鳴らした。失礼します!と覇気のある声と共に扉を開ける。しかし



「へ……?」



自分を待ち侘びていたであろう顧問の席に、最初は気の抜けた声しか出なかった。





……




「……ンで、~~っ……以上、です。後は本人からお願い……します……」


ぶわぶわと熱風でも浴びているように顔の熱が冷めないのを感じながら、アーサーは上がり過ぎた両肩のまま口をそこで閉じた。

いつものように更衣室で着替え、すぐ高等部の騎士館ホールへ到着したアーサーに、部員全員が揃った挨拶と共に整列した。部長であり主将でもあるアーサーを前に誰もが姿勢を正す中、今だけはその視線が彼に向いていない。

いつもは緊張感こそ帯びながらもハキハキと自分達に発声するアーサーが、今日は顔を真っ赤にしたままモゴモゴに近い形で舌を回し、それを誰も疑問に思わない。むしろ他の部員達の方がアーサーよりも遥かに緊張感を張り詰め硬直していた。

まるで特別講師として王国騎士団の騎士団長が訪問した時のようなピリピリと電流が走るような緊張感が張り詰める。顔の熱よりも遥かに背筋の冷たさが勝っていた。顧問の教師すら、今は背筋が伸びたまま容易に息も吐けない。アーサーの隣に佇む生徒二人に流石の彼も冷や汗が止まらなかった。



「社交科二年のプライド・ロイヤル・アイビーです。マネージャーを担当します。精一杯頑張りますので宜しくお願いします」

「社交科一年のステイル・ロイヤル・アイビーです。同じくマネージャーを担当させて頂きます。主務も必要あれば兼任します。ご迷惑を掛けないように努力し、騎士部の皆さんが全身全霊で活動できるように微力ながらお手伝いさせて頂きます」



いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、……と。

口を硬く結んだ騎士科生徒達の心は一つだった。一体何の冗談かどっきりかと本気で思う。今こうして自己紹介されれば、間違いなく目の前で頭を下げているのが自国の王女と王子だと思い知る。いっそ他人の空似であればとも考えてしまう者もいる。

いつものように部が始まると思い、準備運動を済ませていた彼らへ姿を現したのは部長のアーサーだけではなかった。騎士用の運動着でもなければ騎士科のジャージでもない、社交科だけが袖を通すことを許される運動ジャージに身を包んだ社交科生徒だ。

同じ学校に通っている彼らだが、社交科、普通科、騎士科の彼らは所属も違えば制服もジャージも棟も授業内容も全てが違う。全く別世界だと考える者も多い。しかもその中で、よりにもよって今マネージャーという名の〝新入部員〟として紹介されたのは自国の王族だ。

将来自分達が騎士になり、護衛すべき対象でもある二人にまさか逆に補助を受けるなど意味がわからない。真っ赤な顔の部長だけでなく、隣に立つ顧問教師も顔色が正直に血の気が引いていた。しかし、部活は基本的に全校共有。社交科の生徒が入部を希望すれば断る理由はどこにもない。あくまでこれは授業ではなく〝部活動〟なのだから。


ちょっぴり緊張するように身体の正面で下ろした手で指を結び、照れ笑う愛らしいプライドがもし見学や応援に来てくれただけであれば、彼らも拳を握ってやる気を漲らせた。

にこやかな笑顔でその隣に並び、騎士部員以上に整った背筋で挨拶をするステイルがもし見学か〝騎士部選手〟として入部してくれたのならば、彼らも声を上げて歓迎した。

しかしどちらでもなく両者共にマネージャー。女子であるプライドが実力はさておき入部できないのは納得できるが、ステイルに関しては絶対マネージャーも主務もおかしいだろと全員が心で叫ぶ。王族として剣や護身格闘術の腕も優れ、アーサーが部長就任するまでは休み時間に校庭で手合わせをしていることも有名だった彼の実力を知らない者はいない。

プライドに関しても彼女の伝説は騎士科でも初等部から大学部に渡って有名な話だ。

高等部の騎士部員相手に試合で勝利もできるだろう腕前の二人が、まさかのマネージャーだなどすぐに飲み込める話ではない。

茫然とする部員達に、二秒ほどの沈黙が流れてから顧問が先に気が付いた。ゴホンッと咳払いをすれば、アーサーも慌てて「注目‼︎」と声を上げる。次の瞬間には揃い行き届いた「宜しくお願いします‼︎」が全員から轟いた。


「今日は校内戦があります。二時間後には大学部の先輩方が交流試合にいらっしゃいます。……ので、一度ホール内を掃除してから選抜騎士を主軸に打ち合いを行って下さい」

同じ学内敷地内でも建物ごと違う大学部。自分達から大学部の騎士館ホールへ向かう場合の方が多いが、今回は大学部からの訪問だった。その間に迎えるに相応しい準備と身体を温めるように練習メニューを告げるアーサーに、部員達も声を張る。

続いて自分も含めた十人の大学部との交流試合選出選手を呼び上げる中、その横端にちょこんとプライドとステイルも姿勢を正して控えた。自分達の紹介を終えた今、選手としてではなくあくまで補助員として指示を待つ。


アーサーの所属する騎士部は騎士科の生徒の殆どが所属する大所帯の部ではあるが、社交科や普通科と異なり全員が男子生徒で構成されている。そして騎士科の生徒全員が騎士になることを志している為、騎士部に入る部員は当然全員が選手志望。わざわざマネージャーになろうと考える部員などいない。

社交科や普通科の女子生徒にも人気や注目が高い部ではあるが、同時に未来の騎士が所属するその部への敷居の高さからマネージャーや主務に名乗り出ようとする度胸を持ち合わせた生徒もいなかった。……今日、この日までは。


「それでアーサー、先生。私達はマネージャーとして何をすればいいかしら?」

「いえっ、その…………」

「先ほど職員室でお聞きした内容ですと、雑務としては洗濯や用具掃除に部室掃除、あとは飲料水準備に記録と書類整理といったところでしたね。取り敢えずあと一時間後には先輩方が来られますし、ホール内の掃除は部員の方々ならば、僕らは部室から始めるのはいかがでしょうかアーサー〝主将〟⁇」

「プライドさんステイル君、君達は本当に一日見学ではなく、この先マネージャーをするつもりなのか⁇」

アーサーが言葉を詰まらせる中、変わってステイルからの提案に顧問も首を捻りながら強張った笑みで確認をとる。

新入部員、規定にさえ問題なければその入部を断る理由のない顧問だったが、未だに王族相手に雑務を押し付けるのは気が引ける。何らからの情報に尾ひれがついて王族への嫌がらせや侮辱とネットや雑誌で叩かれかねないと悪い予感ばかりが頭に過る。いっそこの後来るという中等部のティアラと同じように見学だけであれば、王族が騎士部に感心を持っているという形で胸も張れた上に部員達にも気合が入る要員になった。が、これでは気合どころか全員の集中が乱されている。

今も掃除用具を片手にホールを掃除しにかかる部員達がちらちらとこちらへ首や視線を向けているのが嫌でも熱の視線でアーサーには伝わった。ステイルからの悪戯めいた話しかけ方にも言い返せないほどに今は余裕がない。仲良く「勿論です」と顧問に笑顔で返す二人に、なんでこんなことになったのかと疑問までもが頭に浮かぶ。


『は……え⁈ふ、二人がマネージャーってどういうことっすか⁈』

『言葉の通りだ。姉君がマネージャーに名乗り出られた以上、俺も補佐として一緒に入部させて貰う。これからは宜しく頼むぞアーサー主将?』

『ごめんなさい、先生に入部届を提出しただけだったのにまさかアーサーが呼ばれることになるとまで思わなくて……』

この後携帯で入部についても連絡しようと思ったんだけど、と眉を垂らして弁明するプライドと意地の悪い笑みで笑いかけてくるステイルに、最初は顎が外れた。

顧問である教師も、本来ならマネージャー志望の二人くらいならわざわざ部長兼主将を呼び出さずとも自分が騎士館の部室まで連れて行ってアーサーへ一言紹介し任せるだけだったのだが、相手が相手だった為にそうもいかなくなった。

あわよくばこの二人と昔から仲が良いと評判のアーサーに、引き留めて説得してくれればと淡い期待も抱いたがアーサーが二人からの厚意を断れるわけもなく押されるままに結局四人でホールへ訪れることになった。


アーサーと顧問の了解を得てステイルとプライドが早速部室へと掃除でもとその場を後にすれば、瞬間にどっと騎士部全員から肩のこわばりが抜けた。手だけは変わらず動かす中で、何故突然王族二人が入部なんてと近くにいる同士で囁き出す。

ステイルもプライドも騎士部で人気の高い人物ではあるが見学ならまだしも、という気持ちは強い。マネージャー業って何やるんだっけ?と、二人の去っていった方向を見ながら誰かが呟けば、これからの交流試合よりもそちらの方に興味が先立った。アーサーも顧問と打ち合わせと自身も身体を軽く伸ばし緩めてから他の部員達と同じように前準備の掃除へと加わり始めれば、アーサーのクラスメイトでもある部員の一人が早速彼へ呼びかけた。


「主将!今プライド様……じゃなくてマネージャー達は何処に⁇」

「あー、取り合えず飲み物はもう昨日と今朝準備して足りてますし先に部室の掃除に行ってくれてます……。私物に触れなければ掃除の為にある程度動かしても良いって言っておきましたけど」


「「「「部室に⁈‼︎‼︎」」」」


ガタガタガタガタタタッ!!!!

直後、アーサーの何気ない台詞に周辺にいた部員が手のモップや箒を手放し振り返った。

耳だけを傾けていた筈の部員も、その大声に反応し身体ごと向け目を丸くし手が止まる。嘘だろ⁈と驚愕と焦燥も滲ませる様子の彼らにアーサーも居心地の悪さから両肩がまた強ばり上がる。そのまま「もう向かってますけど……」と心もとない声量で返した。

どの階、部屋からだと。大勢の部員が所属する騎士部の部室棟の内、どの場所からかと問い詰める部員達にアーサーもそこまではわからないと首を捻る。どこからも何も、騎士部の棟の合鍵を纏めてステイルに預けた為、あとは「交流試合まで無理のない範囲で」としか言っていない。どうせ、一、二時間では掃除しきれない範囲なのだから。

アーサーの返答に、次の瞬間部員の半数以上が「忘れ物を‼︎」と言い訳めいた言葉と共に全速力で駈け出した。流石の逃亡にアーサーも「先に掃除を‼︎」と強めの声で命じたが、途端にそれぞれから「三分で戻る!!」「罰則受けますから‼︎」「悪い‼︎戻ったら倍動きまッす‼︎」「すみません本当に申し訳ありません‼︎」と謝罪が返って来た。

一度に別の言葉を同時に発せられた為全部を聞き取ることはできなかったが、途中から「先輩‼︎まさか貸したあの本いまっ」「わりぃお前のロッカーつっこんだ!」「上からか下からか⁈」「落ち着け俺らの二階は一番最初の可能性が低い‼︎」と謝罪とは違う騒ぎも聞こえる。

プライド達の後でも追うように数秒で視界から消えていく部員達に、アーサーも口が開いたまま頭だけが痛くなった。

もともと大して汚れても散らかってもいないホールを掃除するの自体は、彼らが戻ってきてからでも間に合うとは思う。しかしこういう時に一言で止めたり制御できないところが、自分はやっぱり未熟だと痛感させられる。今まで自分が所属していた時にこんな風に部員の大勢が業務を放り出して逃走なんて一度もなかった。……正確には、今まで王族が部室へ抜き打ち訪問という珍事がなかったというだけであるとは気付かない。


残りの掃除を続ける部員に声を掛け、アーサーも彼らが戻ってくるまでの時間を測りながら手を動かす。

顧問をちらりと見たが、いつもなら厳しく怒ることもある顧問も今は怒るどころか部員達の去った方角に不憫そうな眼差しを向けている。なら、部員達が戻って来た後も罰則はいらないかなと考える。しかし、それでは主将としての威厳も、残って掃除を続ける部員への示しもつかない。じゃあ校内戦後のホール掃除を抜けた彼らに全部任せるぐらいで止めるかと。そこまで考えたところでもう一つの疑問が頭に浮かんだ。


「…………っつーか、部室とかロッカー見られて困るもんとかあんのか……?」


まさか王族相手に貴重品盗難の心配でもしてるのか。

しかし騎士の部員達を考えても、そんな疑いを持つ者はいないと思う。大体、最新鋭の設備を備えた学園では監視カメラも部室の前に備えられている。面倒がって部室に鍵がかかっていることを理由にロッカーの鍵は使わない部員は確かに多いが、もともと貴重品を気にする人間であれば常日頃鍵は閉めている。アーサー自身、ロッカーの鍵は毎回規定通り閉めている。しかしそうでなくても騎士部に人気の高い王族二人に対し、盗難を疑う人数があれだけいるとは考えにくい。

ならば部室を見られるのがか、とも考えたが、それもやはりしっくりこない。

他の運動部はどうかと言われれば確かに女子生徒に見せるのには躊躇う部室があることをアーサーは知っているが、騎士部の部室はどこもそこまで散らかっていない。もともと騎士部としてある程度の規律がある上、今までマネージャーもいなかった為に各自や新入部員が通過儀礼として掃除はこまめに行っている。飲食どころか菓子を開けること自体も禁じられており、散らかしとしても脱いだままの制服がロッカーに入れず椅子にかけてあるか、読みかけの本や雑誌が置いたままにされているくらいだ。あと汚れた印象があるのはと考えれば、壁に貼られた古びたままの騎士団関連のポスターや記事、歴代部員の写真くらいだがあれくらいならば別にだらしないと思われる心配はない。他の部室も入ったり使ったことはあるアーサーだが、別段汚れた印象もなかった。

なのに何故あんなに焦っていたのだろうと一人何度も首を捻る中、他の部員達は僅かに遠い目でその背中を見つめた。

ロッカーを毎回必ず閉め、開けたままでも綺麗に整頓され、自分用のタオルも制服も毎回畳んで収納しているアーサー部長にはきっと彼らのように慌てふためく理由はないのだろうなと理解する。美人女子生徒、しかも社交科で王族、何より騎士部憧れの女性であるプライドに自分のだらしなさの片鱗を見られる恐れなど。そして更に


「……俺の部室、プライド様の取材記事貼ってあるんだよな……」

「俺んとこも。今朝なんか先輩達がプライド様の記事乗ってる週刊誌貸し借りしてたけど、あれ絶対出しっぱだ」

「こっちなんか皆で撮った写真に偶然プライド様入り込んでるの。アレ、記念に部室に張り付ける馬鹿いてさ。今走っていった」

「ロッカーの内側に張ってる馬鹿よりマシだよ……」

「あのっ、アーサー主将が使っている部室では他の方々もそういうプライド様の雑誌や記事は……?」

「張ってるけど、あれ何年も前の記事だからなぁ。プライド様が子どもの頃にやった、件の。あの記事だけなら張ったままでも誰も隠さねぇよ……。どうせ騎士部じゃ全員知ってる伝説だし」

「あれ、主将のお気に入りだから」


こそこそこそっと残った部員達で話しながら、ロッカー施錠を習慣づけていた自分達は勝ち組だと思う。


アーサーが「そういやぁ他の部室ってプライド様関連の記事とか結構張ってる人いたっけ」と呑気に思い出すのは、大量の汗を拭き出した部員達が間一髪免れたらしい顔で駆け戻ってきてからだった。


Ⅱ111コミ重1-2

再重版本当にありがとうございます。

これからもどうか宜しくお願い致します。


文字数の関係により、明日に続きますが何卒御容赦下さい。

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