第88話 伝記の解読
図書館に通うこと3日。やっと半分まで読めた。
進みが遅いのは仕方ない。古代文字が使われていて、文字が滲んでいる部分があるという、本自体の理由もあるんだが、余計なことをする奴らと一緒に旅をしているからだ。
シュアはなぜか次男のことを気に入ってしまい、次男と一緒に寝たいから帰りたくないとごねた。
次男も、俺に可愛い弟ができたぜ。とでも言っているように、羽でシュアを囲い込んでしまったから、仕方なく次男に任せることにした。
レオンはバルムンクと一緒にワイバーンの食事を調達に行ったんだが、ドランがいつの間にか消えていた。
ちなみにアリサとココは街で買い物をしたり、カフェに行ったりして、とてもとてもとーっても楽しそうだ。俺もそっち側に行きたい……
日が暮れても帰ってこないから、仕方なくドランを探して、俺とレオンは夜の森を駆け回ることになった。
そのせいで寝るのが遅くなり、必然的に朝も遅くなり、図書館で伝記を読む時間が減ったんだ。
「なんで日が暮れても戻ってこなかったんだ?」
「戦い足りずに奥まで行って、まあそんなところだ」
「迷ったんだな?」
「そうだ」
開き直るなら最初からそう言え。奥まで行ったら迷子になって帰って来られなくなったと……
迷惑な話だ。
ドランは1人にしてはいけない。長女を目付け役にして、ドランの面倒を見てもらうことになった。ワイバーンなら、例えドランが暴走しても、引っ掴んで連れ帰ることができるからな。そして上空に飛び上がれば、あとは膨大な魔力を持つレオンを目印に帰るだけだ。
そんな感じで俺の時間が奪われ、翌日も今後の話し合いをするとかで更に時間が奪われ、伝記の解読が全然進まなかったんだ。今後の話し合いが一番酷かった。
「魔王ってさ、倒したらどうするの? 倒して終わり? 倒したらさ、もしかして俺が魔王になっちゃわない?」
「それ冗談に聞こえないんだけど。今でもテイムしてないのにワイバーン従えてるし、レオンが魔王とか笑える〜」
アリサ、それ本当に冗談に聞こえないぞ。
「俺は魔王になってみたい。強い奴が挑んでくるんだろ? それはいいな」
ドランは人間やめて魔王を目指すようだ。とうとう脳が筋肉に支配されてしまったらしい。
「魔王ってのが何なのか分からないけど、私は自由に旅を続けられるなら何でもいいかな」
まあココはこの中では一番まともかもしれない。まだギリギリ人間の域だしな。
そんなバカな話をしていたせいで、俺の時間が取られたというわけだ。
半分まで読んだんだが、そこにはまだ魔王は出てこなかった。勇者が旅をしながら仲間を増やし、ダンジョンに潜ったり、異世界の色々な知識を広めたらしい。
なんと公衆浴場や、公衆浴場にあるボタンを押すと湯が出る魔道具も勇者が考案したのだとか。料理に使う火が出る魔道具のコンロもそうだ。勇者ってこの世界を便利にしたという意味で、この世界に貢献した人なのか?
コーヒーという豆を焦がして煮出したものを好んだと書かれているが、それはよく分からないな。栗同様、当時はこの世界の各地に広まったと書かれているが、俺は見たことがない。なぜ各地に広まったものが今はないんだ?
ところどころ、勇者が広めたらしいものが、現代には残っていない。
便利そうなものも、消えているものがあるのが気になった。
最後まで読めば、何かが分かるんだろうか?
ふぅ、まだ何日かかかりそうだ。他のメンバーが大人しくしていてくれればあと二日ほどで読めそうだが、あまり期待はしないでおこう。
閲覧ありがとうございます。




