第86話 進化
光が収まると、明らかにでかくなったシュアがいた。
シュアだよな? 俺はちょっと怖くて近づけなかった。
「トト、痛くなくなったよ」
「シュアだよな?」
「うん。トト、小さくなった?」
「いや、シュアがでかくなったんだ」
そうだ、レオンに鑑定をもらっていた。恐る恐る鑑定してみる。鑑定するまでもなくその正体は明らかだったが、それでも鑑定するまでは信じたくなかったんだ。
『ブラッディオーガ』
そうだよな……
見た目通りの鑑定結果だ。オーガJr.だったシュアは、ブラッディオーガに進化してしまったらしい。
「シュア大きくなったの?」
「大きくなった。進化したみたいだ。ブラッディオーガになってる」
これはレオンがシュアに経験値増量を与えたからだろうか? それともいずれは進化したんだろうか?
分からないが、進化したものを元に戻すことはできない。
「ブラッディオーガ!? なんでこんなところにいるのよ!」
そんな声が聞こえて振り向くと、ココとアリサがいた。臨戦態勢に入っている。
「待て! シュアだ! 攻撃するな! 進化したシュアだ!」
なかなか俺は大声など出さないんだが、大声で叫んだ。じゃないと人間辞めている奴らならブラッディオーガなど一瞬で殺してしまう。
「シュアなの?」
「嘘、魔物って進化なんてするんだ」
「シュア、大きくなったよ」
なんか言葉も少し流暢になっている気がする。
「本当だ、シュアだ。シュアって感じの話し方だし」
「はぁ、びっくりした。まさか庭にブラッディオーガがいるなんて思わないじゃない」
俺もまさかシュアが進化するなんて思ってなかったんだから仕方ないだろ?
これ、召喚していない時に進化してたらヤバかったな。いきなりブラッディオーガが呼び出されたら怖すぎる。
レオンは面白がっていたが、ドランは戦いたがった。仕方ないから木剣を渡して、ちょっと模擬戦をやらせたんだが、思った以上にシュアは強かった。シュアも戦力としてパーティーメンバーに組み込めそうなほどだ。
「シュア、お前最高だな。毎日俺と模擬戦するか?」
「する! 剣するの楽しかった!」
ようやく戦える相手を見つけたドラン、シュアは渡さないからな。シュアは俺のだ!
そんなこともあったが、無事俺たちは南西にあるという魔王が暮らす城に向けて旅立った。
今回は出立を国に知らせていなかったし、凱旋はなく、森に出かけてワイバーンでさっさと旅立った。
南西ってただの方角しか教えてもらっていないし、曖昧だな。本当に辿り着けるのか?
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