第82話 ココの実力と修行
「……これが勇者パーティー」
ココが唖然とした表情で呟いた。
目の前にはレオンがバルムンクと共に倒してきたというか、狩り尽くしてきた魔物の山がある。
そしてそれをスパスパと切って、俺はまた肉焼き係だ。今日もちゃんといい感じで塩をかけてやったのに、一度ハーブをかけてやったら、もうその味を覚えたらしい。
ハーブもかけろと脅してくる。
仕方ないからハーブもかけて焼いてやったが、大量の肉を消費するワイバーンの飯にハーブを使っていたら、どれだけハーブがあっても足りん。俺は仕方なくココが無茶苦茶な修行をさせられている近くでハーブを摘みまくった。
「レオン、俺も鑑定が欲しい」
「いいよ〜、はい」
そんな気軽にスキルをもらっていいのか? 「その串焼き肉一口ちょうだい」と言った時と同じトーンでホイホイ渡してはいけないと思う。しかしとても助かった。
人間の食事で消費する分なら、頑張って探せばいいんだが、ワイバーンの食事分のハーブの調達しようと思うと、地べたに這いつくばってハーブを探すのは大変なんだ。
レオンの鑑定だから凄いんだろうと思っていたが、まさか広範囲に対応しているとは。
俺は森を駆け回りながら、鑑定と索敵を飛ばしつつ、風魔法で刈り取って更にサクサクと刻んで乾燥までさせて、手元にある袋にハーブをダイブさせるという技を編み出した。
これは楽だ。地面に這いつくばったり中腰で疲れたりもしない。
俺は森を駆け回りながら、自作のハーブ摘みの歌などを歌って森に生えていたハーブを刈りまくった。
「アデル、随分と機嫌がいいな。変な踊りをしてちょっと気持ち悪いが」
ドランに声をかけられて、他の奴らの視線も感じ、動きを止めた。
誰が気持ち悪いだ。俺はみんなの食事の質を向上させるため、日々こうしてハーブ摘みを頑張っているんだ。
「それ、雨乞いの儀式ってやつ〜?」
レオンにそんなことを言われて、ちょっと傷ついた。
シュア、俺を癒してくれ。
「俺はしばらくシュアと昼寝をするから邪魔しないでくれ」
もうこの辺りのハーブは刈り尽くしたから、俺の仕事は終わった。ワイバーンが近くにいると可哀想だから、少し離れた位置まで行くと、シュアを召喚した。
「トトー、シュキ」
「うんうん。俺もシュアが好きだぞ」
「ケンスル?」
「今日はお昼寝だ」
もしゃもしゃの毛が暖かいな。決して風除けにしているわけじゃない。
あぁ、癒される。シュアが力を込めないようにそっと包んでくれるから、布団に入って寝ているようだ。
一応危険があったら困ると思い索敵だけ薄く広げて、夢の中へ旅立った。
しばらく寝ていると、何かがすごい勢いでこちらに向かってくる気配がした。
そしてその後ろからレオンたちが追ってきているようだ。何を追っているんだろうな?
そしてなぜこっちに向かってる?
「トト、ナニカクル」
「そうだな。レオンたちがいるから大丈夫だろう」
「コワイ」
「大丈夫だ。俺がいるからな」
念の為とシュアも含めて結界を張ってやった。これで何が来ても大丈夫だ。俺の結界を破れるのは神であるエルミーツだけだ。レオンも本気でかかってきたらヤバイか? でもまぁそれくらいだろう。その辺の魔物の攻撃じゃ俺の結界は破れない。
ーーと思っていたが、ガキーンとでかい音がして慌てて起きた。
結界は破られていないが、ココが俺の結界に向かって攻撃を仕掛けている。
は? 一体なぜ? 裏切りか?
「ココ、何をしている。俺を殺そうとしているのか」
「アデル、逃げろ!」
「は? なぜ? お前が攻撃を止めれば逃げる必要はない」
「魔物から離れろ」
もしや、俺がシュアに襲われているとでも思ったか? シュアもココの鬼気迫る顔に怯えている。
「シュアは俺が召喚した魔物だ。攻撃するな」
「は? 召喚? なんだ」
やっとココは攻撃をやめてくれた。
「アデル〜、大丈夫? シュア、相変わらず見た目は怖いね。アデルと昼寝してたの〜?」
「レオン、シュアネテタ」
「うんうん。いい子いい子」
「シュアイイコ」
レオンにヨシヨシしてもらって、怯えた様子が少し収まった。
「ごめん。アデルが襲われてるのかと思った」
「はたから見たらそう思うよな〜、シュアはこの見た目だからな」
ココが申し訳ないと頭を下げて、ドランがフォローしているが、俺が先に言っておくべきだったか。
「俺は元々魔法師団の召喚士なんだ。こいつはオーガJr.のシュアだ。他にシュピリツァイクベアのヴァイスがいる」
俺はヴァイスも召喚した。
「ヴァイス〜、久しぶりだね〜、相変わらずフワフワだね〜」
レオンがヴァイスに抱きついて撫で回している。
「もしかして、あのワイバーンもアデルがテイムしてるの?」
「いや、あいつらは単純にレオンに完全服従しているだけだ。レオンとアリサはワイバーンとも話ができるが、俺はできない」
「餌やってるのアデルだから、アデルに従ってるのかと思った」
餌をやってるというより、肉を焼かされている。むしろいいように使われていると言った方が正しい。
しかし、レオンたちを置き去りにしてここまで走ってくるということは、かなり足が速いんだな。
それに、結構離れているのに、俺がシュアと一緒にいることが分かったのか。
危機察知能力か? 仲間の危機も? それって凄いんじゃないか? まあ俺は危機ではなかったが。
「トトー、ケンスル?」
「シュアは剣がしたいのか?」
剣が楽しかったのか。ココとやらせてみてもいいのかもしれないな。
まずは俺が久々にシュアと戦ってみるか。アイテムボックスから木剣を2本出すと、シュアに渡した。
「アデルって、魔法剣士なの?」
シュアとの訓練が終わって汗を拭いていると、ココが近寄ってきた。
「いや、俺は召喚士。俺は完全後衛だが、剣は万が一接近された時のために少し鍛えているだけだ」
「勇者パーティーって、個々の実力も凄いのね」
「ココもシュアと戦ってみるか? 魔法は無し。スキルや身体強化も無しで、攻撃は木剣だけだ」
「分かった」
ココとシュアを戦わせて分かったことがある。
俺は思った以上に強くなっていたらしい。シュアのおかげ。あと、シュアもたぶん強くなってるな。危なくなったら結果いや障壁で防ぐことも考えたが、それは必要なかった。
「しばらくココの相手はシュアにお願いしようよ〜」
「それがいいな。俺はもう人を相手にすることができない気がしている。加減しても殺してしまいそうで怖い」
ドラン、実はお前が魔王か? 加減しても殺してしまいそうなんて、恐ろしい奴だな。
しかし、そんなことないと言えないところが怖い。
レオンも木剣がすっぽ抜けただけで、魔法で強化された訓練場の壁に刺さったしな。
もしかして俺たちは人ではなく悪魔か何かになろうとしているのでは?
こうしてシュアはココの訓練のために毎日召喚されることになり、俺は毎日シュアに癒されながら昼寝できるからまぁいいとしよう。
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更新が遅くてすみませんm(_ _)m




