第76話 異世界の食糧事情
「とりあえずさ、山とかで修行してみる?やっぱ雪山が良くない?」
「え〜、あたし寒いの苦手なんだけど。」
レオンとアリサは同郷だからか、仲がいい。
2人にしか分からない話もたまにしている。別にいいんだが。
「じゃあ毛皮のモコモコのやつ買えばいいじゃん。それに魔法あるし。」
「あ、そっか。魔法万能だね。それならいいよ。登山とかしなくてもいいんだよね?ワイバーンに連れてってもらうんだよね?」
「そうそう。登山とかしんどいの俺無理だし〜」
俺も無理だ。雪山など俺が登ったら死ぬ。たぶん。まだ少しは人間の部分があるからな。
雪山などに行ったら寒さと疲れと、雪に埋もれて死ぬと思う。
ワイバーンよ、頑張って働け。
「有名な雪山、なんだっけ〜?」
「エベレスト?」
「あ〜それそれ。そういえばさ、モンブランって山なかった?」
「あったと思う。ヨーロッパだっけ?」
「そこまでは知らない。俺、世界の地理とか大学受験終わったら全部忘れたし。」
「そんなもんよね。あたしは大学受験とかしたことないけど。」
「モンブランたべたいよね。」
「食べた〜い。この世界に栗とかあんの?」
さっきモンブランという山があると言っていたのに、食べる?
レオンとアリサがいた世界では山を食うのか?
山に生えているキノコや果物ではなく山を?
美味しい食材でできた山があるんだろうか?そんなものがあればみんなが食い尽くして山がどんどん削られて、平地になってしまうのではないか?
本当に不思議な世界から来たものだ。
「アデル〜、栗ってある?」
「あるぞ。山に行けばな。花が臭いやつだろ?」
「そうなの〜?それは知らないかも。」
「栗がどうした?」
「栗食べたい。」
「は?あんなの食うのか?小動物の餌だろ。硬いぞ?」
レオンのいた世界では、あんな硬い実を食うのか?文明が発達しているように見えて意外と食生活は質素なのかもしれないな。山を食うし栗も食う。俺には無理な世界かもしれない。
「でさ〜、栗どこにある?」
「山だろ。どこの山にあるかは知らん。ドランなら山に詳しいかもな。」
俺は知らん。食べたいとも思わない。ドラン、あとは頼んだぞ。
こういう時はドランに丸投げするに限る。
「ドラン〜、栗ってどこの山にある?」
「栗?その辺の山じゃないか?」
「え〜、ドランも知らないの?困る〜」
「ねぇレオン、ワイバーンのが詳しいんじゃない?」
「そうかも〜、アリサナイス〜、聞いてくる。」
そう言うとレオンはワイバーンの家族に突撃するように走っていって、そのまま長男に乗って飛び立って行った。
行動力ありすぎだろ。どこに行ったんだろうな?
「どこまで行ったのか知らんが、俺らはいつまで待てばいいんだ?」
「そんなこと俺が知るわけないだろ。ドラン、ワイバーンたちに聞いてみてくれよ。」
「は?俺はワイバーンと会話なんかできない。」
「じゃああたしが聞いてあげる。」
「アリサもレオンみたいにワイバーンと話せんのか?」
「うん。話せるよ。みんなも話せるんだと思ってた。アデルとかワイバーンと仲良いし。」
それ、早く言ってくれよ。アリサもワイバーンと話せるのかよ。
それに俺はワイバーンと仲良くなんかない。ただ飯の世話をさせられているだけだ。
アリサがいてよかった。レオンがいないとワイバーンを止められないから怖かったんだよな。
レオンがいないうちに俺たちが襲われたりとか・・・。
振り向いてワイバーンたちを見ると、ニヤついているように見えてゾッとした。
頑張って肉を焼きますよ。だから俺を襲うなよ?
「なんか東の山に行ったんだって。たぶん今日中に帰ってくると思うって言ってるよ。」
「それならここで待てばいいな。」
「おいアデル。ワイバーンたちの飯はどうする?レオンが狩ってくるのか?」
「俺は知らん。」
まさか俺たちが狩りに行くのか?俺たちそんなに大量の魔物を狩ってこいと言うのか?
無理だろ。俺たちはまだ辛うじて人間だから、ワイバーンが満足するほどの魔物を狩ってこられない。
いや、アリサならいけるか?それともワイバーンたちに自ら狩ってこさせるってのはどうだ?こいつらも暇してるだろ。
長老なんか地べたに寝そべって足の付け根をボリボリ掻いているしな。完全に暇してるおっさんだろ。
「今日は仕方ないから自分たちで狩ってくるって。だけどアデルに焼いて塩振ってほしいらしいよ。」
「アデル焼いてやれよ。」
「分かった。」
俺の今日の仕事は、ワイバーンの肉を焼くことだ。勇者パーティー万歳!
泣きそう。
おっさんのように転がっていたワイバーンたちが一斉に飛び立っていった。
取り残された俺とドランとアリサ。
「地図あったよね?」
「あるぞ。」
ドランが地図を広げると、アリサはそれを眺めている。
「雪山ってどの辺?」
「このへんじゃないか?」
「そっか。その前に温かい服買いたいよね。この辺の街に寄って買うか〜
とりま魔物倒してギルドでお金稼がないとね。
ワイバーンに食べられちゃうから、今のうちに倒しにいく?」
「いいぞ。アデル索敵してくれ。」
仕方ないな。索敵を巡らせると、トロールがいた。
「トロールならいるぞ。」
「えー、トロール売る部分ないじゃん。オークとかコカトリスは?なんだっけあの大きい鳥、あれでもいいよ。」
「無茶言うなよ。大きい鳥ってコンドルか?それともロック鳥か?コカトリスは飛ばないからいいが、飛ぶやつは難しいぞ。」
「俺はオーガかリザードマンがいいな。剣で戦いたい。」
「ドランは戦いたいだけじゃないか。」
バトルジャンキーめ。分からなくはない。強くなればどれだけ強くなったのか試してみたくなる。その辺の強い人間じゃあ、もう相手にならないしな。
索敵の範囲をどんどん広げてみる。
「オーガの集落ならあるぞ。」
「俺はそこに行きたい。アデル、どっちだ?」
「あたしもそれでいいや。オーガなら革と角が売れるし。装備品とかも。」
「じゃあ行くか。」
俺も大概麻痺してんな。オーガの集落なんかに3人で行くなど。
1体でもキツいのに、集落など魔法師団と騎士合わせて100とか200で行く案件だろ。
こうなったら、ガッポリ稼いでやる。
そう決めて俺たちは森の奥へと進んでいった。
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