第64話 6階層の悪夢
明けましておめでとうございます。
1月からは1日1話投稿になります。
「そろそろ6階層へ挑戦しよう。」
そう言ったのは誰だったか?
今俺たちは魔物から必死に逃げている。
レオン、俊足スキルをくれてありがとう。
「聞いてないよ〜、お化け出るなんて〜
俺無理なんだけどマジで〜」
「ドラン、6階層に行ったやつに聞いてなかったのか?」
「ギルドに6階層の討伐依頼が無いことをおかしいと思うべきだった。だから高ランク冒険者でも6階層に行った奴がいなかったんだよ。」
そう、6階層の魔物はゾンビ、スケルトン、アンデッドがうじゃうじゃといたんだ。
「確かにお化けなんて食べないもんね〜
革とかないし、武器にもならないから討伐依頼とかないよね〜」
「そういうことか。」
「階層が上がる毎に魔物のレベルも上がるのかと思っていたが、そうではなかったようだ。」
「このまま帰るのも何だからさー、とりあえず5階層でなんか適当に探して戦っとく?」
「だな〜」
「それでいいんじゃないか?ってやべーぞ、囲まれた。」
ドランが言った時にはもう前にも進めず後にも引けない状態だった。
「あー、しくった。お化けって何が効くんだっけ?光?と火?だっけ?」
「そうだ。」
「俺が退路を切り開くから、レオンとアデルは時間稼ぎと5階層に向けて後退しながら魔法撃ちまくれ!」
「りょうか〜い」
「分かった。」
ドラン、いつの間にそんな光を帯びた剣を手に入れたんだ?
それはまた後で聞こう。今はとにかく、このゾンビの異臭とガチャガチャと煩い骨どもを撃ちまくる!
ダダダダダダ
サーン
俺が炎を撃ちまくっている間に、サーンって何の音だよ。
こんなわけの分からない音を出すのはレオンしかいない。とチラ見すると、薄暗かった森に天の光が見えた。
えー?俺要らない気がする。
「あれ?この森6階層だけ幻影?光振り撒いたけどどんどん元に戻ってくじゃ〜ん。」
「ヤバイな。お前ら離れるなよ!」
「分かった。」
レオンが森の木々ごとアンデッドを薙ぎ倒したと思ったら、次の瞬間には森がどんどん元に戻っていった。森だけじゃない。アンデッドたちもだ。
ということは、近くにかなり強いリッチがいるということか?
倒しても元に戻るんじゃあ、終わりがないじゃないか。
リッチを見つけて倒すのも手だが、探しているうちに森の奥深くに誘われそうだ。
こんなところは撤退に限る。
「もう一回大型の光撃つから、ドラン退路お願い。」
「分かった。アデルも退路の方を手伝え。」
「分かった。」
「ダメだ〜、さっきより元に戻るのが早い。何回か連続で撃ってもすぐ追いつかれちゃう。」
マジか。レオンの大型を何度撃っても平気とか、どうなってんだよ。光が差してはすぐにまた暗くなるという状態を繰り返しながら、本当に少しずつ後退していった。
そしてやっと、やっと、やっとの思いで俺たちは何とか5階層に辿り着いた。
「疲れた〜」
「だな。」
「あぁ。」
俺たち3人は5階層という高ランクの魔物が闊歩する場所にいながら、大の字に仰向けになって寝転んだ。
もう言葉を発する気力もない。
かなりHPもMPも減っているし。
「俺、もう2度と6階層には行きたくない。」
「俺もだ。」
「俺も。」
「もう今日は疲れたから何も倒さず帰りたい。」
「あぁ。」
「だな。」
そして俺たちは俊足スキルに身体強化をプラスして烈火のごとく森を抜けて帰宅した。
「ねーねー、さっきの何?何で倒してんのにすぐに戻るの?」
「たぶん高位のリッチがどこかに潜んでいたんだろう。それに森も幻影だったんじゃないか?全部かは分からんが。」
「あー、なんかかなり強い魔法使いが死んだ後になるとかいうあれ?」
「それだ。」
「なるほどー。魔法で回復させたり幻影使ったりして元に戻してたんだ・・・」
「そういうことか・・・」
「なんだ、ドランも分かってなかったんだ〜?」
そして俺はその後、夜中に延々とアンデッドに追い回される夢を何度も見ることになった・・・。




