第63話 仲良し3人組
仲良し3人組というのは、俺とレオンとドランのことではない。
レオンとドランの姉のレイナ様と、俺の妹ミアの3人だ。
レオンが休みの日になると、毎回この2人が屋敷に来るんだ。
初めはお兄ちゃんに会いたかったとか嬉しいことを言ってくれていたミアも、今では俺には軽く挨拶をするだけだ。
なんでだよ。
それでこの3人が何をしているのかというと、化粧だ。
正確にはスキンケアとか言っていたか?化粧の前の段階らしい。
前の段階って何なんだよ。
そして俺は暇を持て余してドランと共に椅子に座らされて実験台にされているというわけだ。
ハーブウォーターのようなものを顔に塗られたり、オイルを塗られたり、とにかく顔に色々なものを塗られているわけだ。
紅などをつけられないだけマシかもしれないが、顔に得体のしれないものを塗られるのというのはなかなか恐怖を伴うんだ。
そのうちに、石鹸職人や化粧職人?化粧道具を作っている人まで呼んで、色々と作っているようだった。
俺もドランもそれを毎日使うよう強要され、確かにカサついて痒かったところは潤うようにはなったが、それが良いんだと力説されてもよく分からなかった。
「汚いより綺麗な肌の方がいいでしょ〜?」
「そうですわ。」
「アデルお兄ちゃん、格好よくなったよ。」
ふぅ。妹にそんな嬉しいことを言われたら、顔に液体を塗るということを続けたくなるではないか。
「アデル・・・お前、単純だな。」
ドランが呆れた顔で俺に言ってくるが、ドランだってちゃんと毎日顔にこの謎の液体を塗っているのを知ってるんだからな。
そしていつの間にか、王都の貴婦人の間で、勇者が作った石鹸と化粧水とかいうやつが人気になった。
レオン、お前は勇者のはずだが何をしているんだ?
「アデルー、俺出掛けたいんだけど〜」
「あぁ、一緒に行こう。どこへ行くんだ?」
「クリスさんのところ〜」
「誰だ?」
「魔道具屋のおじさん。」
「そう言えば何か頼んでいたな。」
「指輪。」
レオンが宝飾品に興味があるなんて知らなかった。しかしなぜ魔道具屋なんだ?
「指輪?魔道具屋にか?」
「魔力を抑える指輪、作ってもらってんだよ〜
なんかさ、どんどん魔力増えてコントロールが
キツイって話してたらクリスさんが作ってやるよって〜」
「あぁ、なるほど。俺もかなり魔力が増えたからコントロールがキツイ気持ちが分かるようになってきた。俺も欲しい。」
「うん。だと思ってアデルとドランのも頼んでおいたよ〜」
「そうか。助かる。」
顔に塗るおかしなものを作って遊んでいると思っていたが、ちゃんと勇者としての使命も忘れてはいなかったようだ。
「あ、そう言えば今度の休み、ミアちゃんがアデルの顔貸してほしいって〜
今度は化粧品を作るって言ってたよ。」
「は?終わったんじゃないのか?」
「スキンケアは終わったけど、今度は口紅とか作りたいんだって〜」
「紅・・・」
紅を俺に塗るのか?嘘だろ?
「レオンは?ドランは?」
「俺はドランとヘアワックスとかシャンプー作る予定。あ、えっと、髪立てたりケアとかするやつね。」
はぁ・・・ドランもそういえば髪には拘ってたな。アイロンとかいう魔道具使ってるしな。
こうして俺の休日は好き放題顔に化粧をされて、妹に弄ばれながら過ごすことになるのだった。
「アデルお兄ちゃん、いつもありがとう。」
「いや、いいんだ。ミアが楽しいなら。」
そう格好つけて言っているが、今俺は化粧品を顔に塗りたくられて、とんでもない顔になっている自覚はある。




