第56話 俺もかよ・・・
翌日の朝にドランを屋敷に呼び出した。
何も知らずのこのこやってくるドラン。
しめしめ、この後どういう反応をするか楽しみだな。決して逃しはしないぞ。ようやくレオンの譲渡か。長かったな。
はっはっはっは
「アデルー、なんか楽しそうだね。面白いことでもあったー?」
「面白いことはこれから起こるんだ。」
「へ〜そうなんだ。魔眼の予知?」
「魔眼の予知はそんな先までは見通せん。せいぜい攻撃を防ぐ程度だな。」
「そっか。なんか分かんないけどさ、ちょっと悪い顔してるよ。ドランに怒られても知らないからね〜」
怒られる・・・
それは想定していなかったな。
いやしかし、怒られるとしたら俺ではなくレオンの方だろう。断じて俺ではない。
・・・はずだ。
「アデル!お前ふざけんなよ!途中からなんか怪しい気はしてたんだよな。
冷たい地べたに座って反省しろ!」
「・・・はい。」
どうしてこうなった?
なぜレオンではなく俺が怒られているのか。
しかもこの冷たい石の床の上に座らされ、芯から冷えていくようだ。
俺が冷たい床に座っている間、レオンはドランにスキルの説明をしていた。
そして、それを説明するためには、コピーというスキルがどういうものなのかも説明しなければならないが、レオンの『コピペ』という謎の呪文のようなものでちゃんと理解したようだった。
ドラン、やはりお前はレオンと同じ世界の人間なのか?
「もう仕方ねーから俺がレオンの勇者パーティーに入ってやるよ。
どうりで最近経験値が増えやすいと思ってたんだよな。レベルだけじゃなく攻撃力も防御力もぐんぐん上がってる気がしてたし。
この前なんか力が有り余って1人で6階層行ってみようかと思ったもんな。」
「ドラン強いもんね〜
俺が見た中ではたぶん1番強い。騎士団長とかいうゴリマッチョのおじさんより強いし。」
「騎士団長!?・・・レオン、何でそんなことが分かるんだ?」
「体幹のブレ?」
「俺にも分かるように説明してくれ。さすがに今のは分からん。」
そうかー、ドランにも分からないことがあったか〜
何となく分ればいいとか言っていたがさすがにタンカブレ?とかいうのは分からなかったようだ。俺も分からんが。
「説明すんのは難しい。
体の軸?がしっかりしてるっていうの?あのゴリマッチョおじさんは、筋肉は凄いけどそれだけ。あの人重くて動き遅そうだし。」
「分かったような分からんような・・・。」
「そっか。でもとにかくドランは強い。アデルもね。」
「は?」
大人しく空気に徹していたのに、いきなり俺に振られて戸惑った。
「何だ〜?アデル、自分には関係ないとか思ってないよな?」
恐ろしい笑顔を貼り付けてドランがこちらを見てくるが、何のことだか分からん。俺は分からんぞ。
「レオン、勇者パーティーのメンバーは何人決まってるんだ?」
「ん?今のところ俺とドランとアデルだけだねー」
「アデル、そういうことだ。逃れることができねーのはお前もだな。はははは」
笑いながらドランの馬鹿力で肩をドンドンと叩かれてものすごく痛い。骨が折れそうだ。
「・・・嘘だ。俺は勇者パーティーに入れる実力なんか無い。」
「そんなことないよ〜
エルミーツさんに教えてもらってから魔法の腕が格段に上がったよね〜?MPかなり増えてんのも知ってるんだからねー」
「アデル、そういうことだ。諦めろ。」
俺もかよ・・・。
俺はがっくり肩を落とし、冷たい床を見つめた。
いや、まだ抜けるチャンスはある。
俺より強い奴なんかいくらでもいるんだ。
そいつに代わって貰えばいいだけじゃないか。
なーんだ。そっか。
そう思ったら途端に気分が楽になった。
「アデル、面白いことってこのこと?
そっか。勇者パーティー発足ってこと?
そんなに嬉しかったんだ?これからみんなで頑張ろうね〜」
「アデル、逃げられると思うなよ。お前の代わりなど誰もできんのだ。何より勇者であるレオンの指名だからな。いい加減覚悟を決めろ!」
「ぐっ・・・」
こうして不承不承ながら俺の勇者パーティー入りが決まった。
とうとう、決まってしまった・・・。
クソゥ。
そしてそれを国に報告するとパーティーメンバーならと、ドランも屋敷に一緒に住むことになった。




