第54話 実力差って残酷
レオンとドランと共にCランクの魔物討伐を済ませてギルドに戻ると、何やら揉めているようだった。
「私に貸してみなさいよ!」
「レオンじゃないと無理だ!」
「私は聖女よ?それくらい治せるわ!」
「お前のような自称聖女には無理だろ!」
「そんなことない!自称なんかじゃないわ!やらせてみなさいよ!」
「じゃあやれよ。治せなかったり悪化したら殺すぞ!!」
「できるわよ!!」
あの例の自称聖女と言い争いをする男の前には血だらけで横たわる男がいた。
あいつの名前は何だったかなロイだったか?
どうやら聖女はヒールをかけ始めたようだ。
出血も止まらないしとても治っていっているようには見えないが。本当にヒールか?ん?魔法、かけてるんだよな?
「なになに〜?何騒いでんの〜?ってロイ!!?
お前どけっ!」
レオンはロイに駆け寄り自称聖女を突き飛ばすと、すぐにロイにエクストラハイヒールをかけた。
「ふぅ。間に合った。」
「ん、、んん・・・レオンか。助かったぜ。」
「「「おおー」」」
パチパチパチパチ
意識もなく真っ白だったロイの顔色に血の気が戻り目を開け、ゆっくりと上体を起こすと、周りから拍手があがった。
「ロイ、大丈夫〜?間に合ってよかったよ〜」
「あぁ、すまんな。下手うった。お前らもすまなかった。」
「レオン、ありがとう。もう少し遅ければロイは助からなかったかもしれん。」
さっき自称聖女と言い争っていたロイの仲間たちも泣きそうになりながらレオンに頭を下げた。
「さすが勇者!」
拍手の中でどこからともなく聞こえた声に反応したのは例の自称聖女だった。
「あんたが勇者?」
「誰ー?バラしたの〜
ハァー、まあね。俺が勇者。それが何か?」
「何で私のこと迎えにこないのよ!」
「何でって、必要無いからだけど?ところであんた誰?」
「必要無いわけないじゃない!勇者パーティーに聖女は必須よ!」
「そうなの〜?なんで?」
「何でって、治癒とか浄化とかする人が要るでしょ?」
「んー。要らない。だって俺、治癒も浄化も自分でできるし。
さっきチラッと見たけどさ、あれ何してたの?止血もできてなかったよね。」
「ぐぬぬ、、」
レオンの指摘に何も答えられない自称聖女にレオンは畳み掛けた。
「聖女ってよく分かんないけどさ、俺のパーティーには必要無いから別の勇者当たってくんない?」
「それでも私は付いて行くわ!」
「ちなみに戦闘はできるの?」
「聖女なんだからできるわけないでしょ?」
「だったら付いてこないでね。迷惑なだけだし。戦闘力がAランク以上で尚且つエクストラハイヒールが連続で何回か使えるなら付いてきてもいいよ。じゃなければ邪魔なだけ。邪魔って分かる?自分の身も自分で守れないような役に立たない奴なんて要らないってこと。」
自称聖女は言い返すことができずに号泣しながらギルドを走って出ていった。
「レオンも言う時は言うんだな。結構厳しいこと言ってたけど。」
「えーだってあの子に死んでほしくないじゃん。好きじゃないとしても子供に対して死んでもいいとは思わないし。死ぬと分かってるところに連れて行くわけにはいかないよね〜」
「なるほどな。レオンはやっぱり優しいな。」
「レオンはいい奴だな。」
「さすが勇者だな。」
「アデルー、ところでさっきあの子がかけてたのって、ヒールだった?それとも魔法すら出てなかった?俺さ、最近魔力の流れがちょっとだけ見えるようになってきたんだけどさ、あの子の見えなかったから。」
「俺もそれ思った。ヒールをかけているのかと思ったが、魔力を感じなかった。弱いヒールでも聖女と名乗るくらいの者なら止血くらいはできるはずだが、止血もできていなかった。」
「やっぱアデルもそう見えたんだ〜
じゃあ何してたんだろうね?」
「マジかよ。自称聖女って詐欺じゃねーかよ。」
「あんな奴に頼ったら怪我が治るどころか死ぬかもしれんぞ。」
「あぶねー奴だな。」
「冒険者ギルドには入れないようにしよう。」
「「「そうだそうだ!」」」
「冒険者じゃねーし入れる必要もないよな。」
「レオンも断ったんだから別にいいよな。」
「「「そうだそうだ!」」」
「騙される奴が出て手遅れになってからじゃ遅いからな。」
冒険者たちは一致団結したようだ。
確かに瀕死の奴のところへ自称聖女を連れていったところで死にゆくのを見守るだけになるしな。
そもそも戦闘力が無いんだから森なんかに連れて行くこともできないか。




