第51話 勇者パーティー?
「ある意味勇者はレオンの付き人としておさまったが、まだこれからもあんな奴が挑んで来るんじゃないか?」
「もうホントにフラグ立てるのやめてよ〜」
「ここに勇者がいると聞いたのだけど。どの方かしら?」
次に現れたのは美女だった。
胸の谷間を強調して、太腿がほぼ全て出ているような短いズボンを穿いて、妖艶な微笑みでギルドに入ってきた。
「はーい!俺が勇者がでーす。」
「あら、可愛らしい方だこと。」
レオンよ、胸の谷間を凝視して鼻の下を伸ばすのはやめろ。
「それで綺麗なお姉さんは俺に何の用?」
「勇者パーティーに入れてもらおうと思って。どう?そこそこ魔法も使えるわ。それに夜の相手もしてあげるわよ。」
「へ〜、勇者パーティーって何?俺別にパーティー開く予定ないけどな〜
あーでも、今の屋敷は広いからみんなで庭でバーベキューとかいいよねー
アデルー、バーベキューパーティーやろうよ〜」
また美人局か?それか勇者を手玉に取ろうとしているのかどちらかだな。
レオンは学習したのか上手く美女の誘いを撒いた。
「バーベキュ?レオンそれは何だ?」
「外でみんなで肉焼いたりする感じ〜
お酒飲んだりウェーイみたいな?」
「よく分からんが肉を焼いてみんなで食べるってことだな。それならいいんじゃないか?」
「みんなも来るー?来るなら今からミノタウロス倒しにいくけど〜」
「いいなそれ、俺も討伐一緒に行く。」
「俺も〜」
「俺も行くー」
「アデルは薪とか酒とか色々用意しといて〜」
「分かった。」
「俺もアデルを手伝おう。」
「俺はレオン様に付いて行く!」
「ある意味勇者は足手纏いだからやめておけ。アデルを手伝え。」
「そんな・・・。」
「メワク、アデルのこと手伝ってあげて〜」
「分かりました!レオン様が言うなら全力で手伝います!」
メワクは相変わらずだな。
そして美女はそんな周りの男たちに圧倒されて、徐々に蚊帳の外へ押し出され、そして最後には肩を落として静かにギルドを出て行った。
大した実力もない奴を勇者パーティーに入れる気はない。ましてや争いの火種となりそうな奴を入れるわけにはいかない。
「バーベキュー、バーベキュー、バーベキュ〜♪」
森から戻ったレオンはえらくご機嫌で火を焚いている。
まだ解体はできないので、ドランや他の冒険者が庭の隅で必死にミノタウロスの解体をしている。
レオンから先ほどバーベキューというものの説明を受けた。バーベキューというのは料理らしい。外で肉を焼いて食べることをレオンのいた世界ではバーベキューと呼ぶらしい。室内で焼くのはヤキニクと呼ぶらしい。どこで焼くかで名前が変わるのは面白い。
暗くなってくると、レオンは庭の周りを囲うように生えている木々に小さなライトをたくさん纏わせた。
前にエルミーツという魔法使いのじいさんに見せたのと似たやつだ。
「おおー、スゲー、綺麗だな。」
「スゲーな。」
「こんなことできるんだな。」
ガタイのいい男たちが並んでボーッとライトを纏わせた木を眺めているのは少し面白い。
しかし時を忘れて見入ってしまうのは分かる。俺も初めて見た時はその景色に心奪われてしばらく動けなかったからな。
そして、レオンは2本の木の棒を器用に使ってタレとかいうやつに漬けた肉を鉄板で焼き始めた。
辺りに漂ういい香りに、皆の意識は肉に向かった。
「さーみんな!パーティータイムだよ〜!」
そういうと、木々に纏わせたライトが一際強い光を放ちチカチカと点灯し始めた。
「「「おおー」」」
「あれー?ヴァイスもお手伝いしに来てくれたの〜?君は相変わらずフワフワで可愛いのぅ〜」
荷運びのために召喚していたヴァイスを見つけると、レオンは駆け寄ってヴァイスを撫で回している。
適当に串に刺して肉を焼いたり、エールやワインも大量に用意して、大騒ぎしながら肉を焼いて楽しんだ。
「ミミちゃんも来てくれたんだね〜
お酒大丈夫〜?ジュースもあるよ〜」
レオンが見つけるたびに可愛い可愛いと連呼している猫人族の女の子も来ていたし、農家のベフおじさんの家族も呼んでいたらしい。
魔道具屋のおやじも見かけたし、公衆浴場で先日レオンが何かの話で盛り上がっていたおじさんもいる。
パン屋のお姉さんも来ていた。
冒険者だけでなく、様々な人を呼んだらしい。
勇者の人脈恐るべし。
「アデル、勇者様は素晴らしい方だな。」
「『俺はお前が勇者など認めん』と何度も戦いを挑んだ奴が何を言うか。」
メワクもこの景色に感動していたらしい。
たまにはこんな日があってもいいよな。




