第47話 勇者のライバル出現!?
もうレオンは魔法の練習のためにギルドでヒールをかけることなどしなくてもいいんだが、なぜか続けている。
「俺、世界救うんでしょ?
大きな夢も小さな一歩からって言うし、楽しいからやってるからいいの。」
とか言いながらヒールのサービスを続けている。
これには俺も頭が下がる思いだ。
今日も討伐とドランによる剣の稽古が終わるとギルドでヒールをかけながら冒険者達と談笑していた。
「最近さー、レオンの噂聞きつけて外からくる冒険者が増えたよなー」
「だなー、そのうち勇者、お前を倒して俺が勇者になる!とかいう頭湧いたやつ出てくんじゃね?」
「ちょっと〜フラグ立てないでよねー」
たまにレオンは訳のわからない言葉を使うが、もう誰もそこには突っ込まない。
そしてそれは起きた。
『たのもー!勇者とかいうやつ!俺と勝負しろ!俺の方が勇者に相応しい!』
筋肉の塊のようなゴツい男で、茶色の髪はボサボサでヒゲも伸び放題のグレートソードを背負った男がギルドに入ってきた。
「も〜、だからフラグ立てないでって言ったじゃん。俺知らないふりするから皆んなバラさないでね〜」
そんなことを言うレオンに皆が乗っかると、その男は誰にも相手されず無視されて可哀想な感じになっていた。
「なんだ、いないのか。ではまた後日出直そう。」
誰に向けて話しているのか、それとも大きな独り言なのか分からないが、その男は去って行った。
そして翌日の朝、その男は現れた。
『たのもー!勇者とかいうやつ!俺と勝負しろ!俺の方が勇者に相応しい!』
大声で叫んだが、混雑してザワザワとうるさい朝のギルドでは、ほとんど声がかき消されていたし、我先にと依頼掲示板に集中する者たちばかりだから、そいつはまたみんなに無視されて、何か呟くとギルドを出て行った。
そしてそいつは翌日の朝にも来た。
そして同じセリフを叫び、誰も相手にしないと分かると、その辺にいた奴に声をかけた。
「邪魔すんな!お前のせいでいい依頼が取られたらどうすんだ!」
そう怒鳴られると、まさか怒鳴られるなどと思っていなかったのか、ビクッと体を揺らして深々と頭を下げて去って行った。
迷惑な奴だと思い、一応国には報告しておいた。
報告した日を境にギルドには顔を見せなくなったから、国が何かしらの対処をしたのか、ギルドが何かしたのかもしれない。
そして数日は静かな日を過ごしていた。
しかし奴は諦めていなかったらしい。
ギルドがダメだと気付くと、街の人たちに聞いて回っているらしいと近所の人が知らせてくれた。
「レオン、気をつけろよ。何をしてくるか分からない。1人では行動するなよ。」
「分かった〜」
そんな話をしていた翌日、夜になると誰かが尋ねてきた。また国の関係者かと思ってドアを開けると、そこに立っていたのはあの「俺の方が勇者に相応しい」とか言っていた奴だった。
「誰だ?何の用だ?」
「ここに勇者がいると聞いた。お前か?」
「誰に聞いたか知らんがうちは関係ない。人違いだ帰れ。」
「そうか、すまん。」
男は意外にもそう言うとすぐに引き下がった。
しかし家が知れているのは不味いと思い、すぐに国へ知らせると、俺とレオンは国が用意した貴族街の屋敷に移ることになった。
なんだよ。勇者なんだから初めから屋敷を国が用意してくれればよかったじゃないか。
家具も揃っており、使用人が数名と、騎士団わ魔法師団から派遣されたであろう護衛まで数名付いた。
「ストーカー怖いね〜
これが俺に恋する可愛い女の子なら嬉しいんだけどな〜
あんなゴリマッチョの男に好かれても嬉しくもなんともない。」
「そうだな。」
ゴリマチョというのは前にレオンが騎士団長を表現するときに使っていた。筋肉が凄い人のことだと言っていたから、そういう体格の者を指す言葉なんだろう。
しかしあいつの目的はなんなんだ?
俺の方が勇者に相応しいと言っているということは、それなりに強いんだろう。
勇者パーティーに入れろというならまだ分かるが、勇者に成り代わるなどあり得ないのに、何を考えているのかが分からない。
特殊な職業やスキルをもった者なのか、もしくは頭がおかしいのか、魔族の襲来か。
先日大人しく引き下がったところを見ると魔族の線は無いだろう。




