第43話 生け贄はお前だ
「勇者殿、ご挨拶が遅れました。私はこのギルドのギルドマスター、ガリオンです。」
「俺はレオンです。ギルドマスター?」
「ギルドを管理しております。管理者とでも言いましょうか。」
「偉い人だ〜」
レオンらしい反応だな。
ギルマスは少し困った顔をした。
「ドラン、お前が自分から手を出すなど珍しいな。」
「え?」
思わず俺は驚いて『え?』と言ってしまった。
いや、だってそうだろう?ドランだぞ?暴力沙汰を何度も起こして、そのせいでAランクの実力がありながらBから上げてもらえないとか言われているじゃないか。
「すみません。」
「ドラン、アデル殿に説明してないのか?」
「説明?」
「勇者殿は知っているように見えるが。それともお前の噂自体を知らんのか?」
「何のこと〜?」
レオンは相変わらずだな。それより説明とは何のことだ?
「別に説明も何も・・・」
「アデル殿には誤解されているようだぞ?仕方ないから私が説明してやろう。」
なんだか気恥ずかしそうにしているドランを横目にギルマスが説明してくれた。
ドランのあの暴君だという噂は、ドランに恨みを持つ者が広げたただの根も葉もない噂だそうだ。
ドランは正義感が強すぎるんだとか。それで良からぬことをする奴らを見つけると注意して回っていたら、恨みを買ってよく絡まれるようになってしまい、しかし強いため返り討ちにしていたのだとか。
Aランクにならないのはドラン自身が俺の強さではまだだと断っているらしい。ギルマスとしてはAに上げたいのだとか。
なんだ、そうだったのか。ランクアップを断るなんてことがあるんだな。
「へ〜、そんな噂があったんだ?知らなかった〜
ドランは初めからいい人だったよ。蜜蝋とか教えてくれたし〜
美味しいお店も教えてくれたし〜」
レオンは噂など知らないだろうし、ドランのことは面倒見のいい兄貴という感じに思っていたんだろう。剣も教えてもらっていたし。
「アデル殿は仕方ないだろう、魔法師団としてドランが相手を返り討ちにした現場も何度か見ているだろうし、乱暴者というのも全く当て嵌まらないわけでもないからな。」
「・・・ドラン、誤解をしていた。すまない。」
知らなかったとはいえ、ドランは俺やレオンに対していつもよくしてくれたのに、あんな噂を真に受けるとは・・・。
だからさっきもギルマスはドランに何があったのか説明をさせたんだな。
「別にいい。気にするな。」
「分かった。」
なんだ、本当にいい兄貴ってやつだったのか。
それなら、レオンのパーティーメンバーにいいのでは?正義感が強い、そして面倒見がいい。レオンも懐いているし、そして何より強い。
今この場で決めなくてもいいが、俺の中でやっと勇者パーティーの候補が1人決まった。




