第32話 神様かもしれない
「レオン、お主面白いスキルを持っておるな。」
「ん〜?何?」
じいさんにステータスを確認してもらいながら、そんな話をしているレオンのステータスを覗いてみると、召喚した時に見たステータスから大幅に変わっていた。
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名前:レオン(怜音)
種族:人間
年齢:20
職業:勇者(元大学生)
レベル:5
HP:1,053,629/1,120,000
MP:180,056/508,000
攻撃力:120,000
防御力:70,000
運:128
魔法:基本生活魔法、水、火、風、土、光、聖、空間
スキル:言語理解、無詠唱、アイテムボックス∞、鑑定、経験値増量、コピー、速読、超回復、粉砕、聖剣
称号:冒険者ギルドのお医者さん、破壊王、ドランの舎弟、バルムンクの主、エルミーツの弟子
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いつの間にかレベルが5まで上がっている。
何も倒してはないないが、訓練場を更地にしたり、ヒールや浄化をかけたり、ドランに剣を習ったりしていたのがレベルアップに繋がったのかもしれない。
それにしても、スキルに粉砕とあるのが気になるな。
「アイテムボックスも面白いが、コピーはかなり有用だと思うぞ。」
「そうなの?アイテムボックスって宝箱みたいなもの?」
「いや、アイテムボックスは空間に物を収納しておけるスキルじゃ。鞄を持ち歩くのは面倒だろう?重い荷物も、倒した魔物も、様々な武器や食料なども入れておけるぞ。∞の文字が入っておるからどれだけでも入れておけるんじゃろう。」
「へー、旅するときにいいかも〜
それでコピーってのは何をコピーできるの?本とか文書〜?」
「それはできんじゃろ。他人のスキルをコピーして自分のスキルとして使えるんじゃ。勇者じゃからの、腕を磨けば自分のスキルを誰かにコピーして与えることもできるようになるやもしれん。」
「へ〜そうなんだ。やってみていい?」
「わしが持っている隠匿をコピーして取り込んでみるか?」
「いいの?やってみる〜」
「コピペ〜、コピペ〜。
おおーできたっぽい。それで隠匿ってどんなスキルなの?」
「鑑定持ちの奴らにステータスを覗かれないように隠すことができるんじゃ。」
「へー、そっか、覗かれちゃうと俺が勇者ってバレちゃうもんね〜
でも、別に困らないかも。隠した方がいいのかな?よく分かんない。」
「その覗く相手が敵だった場合、有用なスキルがバレてしまう。それに称号は時に恥ずかしいものがつく場合もあるからの。あまり覗かれるのは良くないじゃろ。」
「そっか、あれだ個人情報漏洩ってやつ?確かに〜勝手に知らない人に見られんのは嫌だね〜」
「そうじゃろ?」
普通に話しているが、コピーだと?
人のスキルを自分のものとして取り込める?それは恐ろしいものなんじゃないか?
それに、その相手にも与えられるようになったとしたら、国が放っておかないだろう。好戦的な国からしたら喉から手が出るほどほしいだろう。
貴重なスキルだと思われていたものが、大量に出回る可能性があるのだと思ったら、恐ろしいことだと思った。
俺の召喚魔法はスキルではないが、このように珍しいスキルを持っているからと召し抱えられた者が価値を失うことになりかねない。
どれだけ金を積んでも欲しいと思う者も多いだろうし。
だからじいさんはレオンに隠匿をコピーさせたのかもしれない。
「長いこと生きてきたが、勇者を指導するというのは初めてじゃ。楽しいものじゃのう。アデルもなかなかじゃったぞ。」
「そう?俺もエルミーツさんに教えてもらって楽しかったし、魔法もちゃんと使えるようになったから凄い嬉しい。ありがと〜」
「俺も勉強になりました。ありがとうございます。」
このじいさんに教えてもらってかなり上達した。そこは本当に感謝している。
「エルミーツさんって、旅してんの?王都に家ないんだよね?」
「あぁ、たまに旅はしておるが、住んでおるのはずっと北の方じゃな。わしには空間移動があるからどこへ行ってもすぐに家に帰れるからの。」
「そっか〜、それ便利だね〜、なんかエルミーツさんって俺よりチートっぽいね。
何者?」
「わしはただ人よりも長く生きておるだけのじいさんじゃよ。」
「ん〜そっか。分かった。それ以上は聞かないことにしておく。ずっとここにいるわけじゃないんだよね?またいつか会える?」
「レオンが会いたいと思ったら会えるかもしれんな。」
「そっか。会いたい。俺、こっちの世界に家族いないからさ、エルミーツさんはおじいちゃんみたいで好き。だからきっとまた会えると信じてる。」
「そうか。それは嬉しいのう。」
「今日はもう帰ろう。もう日が暮れてきた。」
「そうじゃのう。」
「だね〜、日が暮れると電灯とかないし、この世界は暗いよね〜」
「レオンなら光魔法があるから小さいライトを浮かべれば暗くはないぞ。」
「そっか〜、俺、魔道具なくてもライト出せるんだね。便利〜
じゃあちょっと試してみていい?」
「なんじゃ?光魔法なら危ないこともないじゃろうし、やってみるといい。」
じいさんがそう答えると、レオンは小指の先ほどの小さなライトを大量に出して1本の大きな木を取り囲むように浮かべた。
「おおーできた!エモい。
まだちょっと明るいけど、もうちょっと暗くなったらもっと綺麗だと思う。
森の木にイルミネーションってよくない?カラフルにしたらクリスマスツリーみたい。それだとやっぱ冬がいいかな〜」
「綺麗じゃのう、ライトにこんな使い方があるのは知らなんだ。
今までただ明かりをとるためにしか使っておらんかったのは勿体なかったな。これはいいものを見せてもらった。レオン感謝するぞ。」
レオンが何を言っているのかは全然分からなかったが、ただその美しさに俺は圧倒されて、何の言葉も出てこなかった。
きっとこんなに綺麗なものを見るのは、これが最初で最後なのだろうと思った。
俺たちは、この美しい光景をいつまでも眺めていて、気がつくと辺りは真っ暗だったため、じいさんが空間移動で防壁の側まで送ってくれた。
マジか。森から一瞬にしてこの見慣れた防壁と門。空間移動を体験する日が来るなど、思いもしなかった。このじいさん神様か?
そんなことを思いながら食堂で夕飯を食べ、早めに就寝すると、翌朝じいさんはどこにもいなかった。
布団やじいさんが使ったカップなども無くなっており、あれは幻だったのではないかとも思った。
「あ〜やっぱり行っちゃったか〜
ちゃんとお礼したかったな。最後にイルミネーション見せて喜んでくれたのはよかったけど、やっぱりちゃんとお別れの挨拶くらいはしたかった。」
「レオンはあのじいさんがいなくなるのを予測していたのか?」
「まあね〜、そろそろかなって思ってた。だから木にライトつけるやつやったの。
お別れの挨拶くらいはしてくれるかなって思ったけど、いなくなっちゃったね。
そーゆーの苦手なのかも〜」
「そういうものなのか・・・。凡人の俺には分からないな。」
「さぁ、エルミーツさんに教えてもらったことを無駄にしないためにも、今日も薬草採集と魔法や剣の練習と、ギルドでのヒール頑張ろう。」
「そうだな。」




