第28話 剣聖?マジか。
「アデルー、早く昇格するといいね〜」
「なんでだ?この前までFランクの荷運びを喜んでやっていたじゃないか。」
「あれは荷運びが楽しかったんじゃなくて、野菜農家のベフおじさんと話すのが楽しかったんだよー」
「そうなのか。」
「早くCランクになってリザードマンってのと戦いたい。」
「リザードマン?なんでだ?」
「あの青い革を剣のグリップに巻くと格好いいから。」
「あぁなるほど。ってそれだけの理由で?」
なんと言うかレオンらしいと言えばレオンらしい理由だな。
「んー、あと、やっぱ強いと格好いいよね。ギルドでヒール使ってるとさ、格好いい話よく聞くから、早く俺も強くなりたいなーって。」
「あぁ、確かにな。」
本当なのか盛っているのか分からないが、武勇伝を聞くことは多い。
たぶんレオンが「スゲー!」とか「格好いいっすね!」とか褒めちぎるから、冒険者なんて単純な奴らは気を良くしてレオンに色々聞かせてやってるんだ。
魔物との戦い方については結構詳しく教えてくれるし、素直に何でも聞いてくれるレオンは冒険者たちからしたら可愛い後輩なんだろうな。
レオンがまともに剣を振れるようになり、魔法も使えるようになれば、彼らはどんな反応を示すのか気になるところだ。
武勇を語っていた彼らより圧倒的な力を得る、というかもう数値的には誰をも上回っているレオンだ。脅威と見られるのか、尊敬なのか、それとも嫉妬なのか、気になるところだ。
しかし、レオンは今でも力を持っているにも関わらず、驕ることがない。
だいたい誰とも分け隔てなく話しているように思う。
きっとレオンがいた世界は平和なところだったんだろうな。
「でさー、昨日ドランに剣教えてもらったら、スキルだっけ?あれ取得したよ。ケンセイって言ってた。」
「は!?剣聖?マジか〜」
と思わずレオンのような口調になっていた。
聖剣か。またそれはヤベェ。勇者ってやつはスキルを得やすいのかもしれんが、それにしても剣技のレベル1〜5をすっ飛ばして聖剣とは恐ろしい。
なるほどな。さすがレオンというか・・・。
もしかしたらもう5階層に挑んでも剣さえ持っていれば大丈夫なのかもしれない。
とりあえず昇格を目指して薬草採集に勤しむか。
革鎧のサイズ調整をしてもらうと、ちょうど剣が仕上がる時間になっていたため、武器屋へ向かった。
「おじさーん、俺の剣できてる〜?」
「おう、できてるぞ。磨いて研いだらなかなかいい剣に見えるな。
お前さん、いいもの選んだな。」
「そうでしょ〜?なんかこの剣、俺に合ってそうって思ったんだよね。インスピレーション?運命感じちゃったんだよね〜」
勇者が運命を感じる武器か。それは気になるな。
まぁただレオンの好みに合っただけかもしれんが。
「裏の鍛冶師が、これはいい剣だとしきりに言っていた。」
「へーそうなんだ。あとさ、ナイフも買いたいんだけどお勧めある?」
「何に使うナイフだ?解体か?戦闘か?」
「んー何だろう?森に入った時に草を刈ったり?あと解体ももしかしたらするかも。戦う予定はないかな。この剣があるし。」
「じゃあその棚のサバイバルナイフがいいんじゃないか?そっちは戦闘用のダガーだからな。ダガーでも使えなくはないが。」
「ダガーってやつのが頑丈そう。それに格好いい。俺こっちにしよっかな〜
この模様入ったやつがいい。」
「それはダマスカスだな。錆びにくいから解体用として買っていく奴も多い。」
やっぱり見た目重視なのか?それだとしたらあの錆びてボロボロだった剣を選んだのは不思議だな。
それにしても、磨けば剣ってものは綺麗になるんだな。汚くてさっきは見えなかったが、ガード(鍔)の付近に濃い青色の石が嵌め込まれている凝ったデザインの剣だった。
確かにこれはリザードマンの青い革をグリップ部分に巻いたら、石と合わさって格好いいかもしれない。
お洒落にこだわるレオンらしい気がした。
「おじさんありがとね〜、剣を磨いてくれた鍛冶師にもよろしく〜」
「おう、また手入れが必要になったら来てくれ。」
「うん、分かった〜」
こうしてレオンは剣と防具を手に入れて、いよいよ防壁を越えて森での依頼を受けることになった。




