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召喚士アデルの災難 〜なんで!?俺が召喚したのは最強勇者のはずだったのにアホっぽい男がきた〜  作者: 武天 しあん


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第104話 20階層のゴーレム


「へえ、これはなかなかいい景色だね。古代ローマの遺跡って感じ」

 レオンが感心したのは、20階層の階段を下りた先に広がっていた景色だ。

 白い石造りの見上げるほどに高い柱がずっと先まで等間隔で立っており、まるで古い神殿のようだ。石を切り出して作ったような壁には、古代文字のような模様が描かれており、何を意味するのかは分からない。

 古代文字の辞書を持っておくべきだったか? しかしここは古代遺跡ではない。ダンジョンだ。その意味を知っても役に立つかどうかは分からない。


「20階から22階は各種ゴーレムが闊歩していて、各階で誰もいない玉座を守っているんです。その玉座の裏に下へと向かう階段があるので、少し大変かもしれません」

 大変かもしれないというのはなんだ? アシュレイは俺たちの実力を全ては知らないにしても、弱くはないということは分かっているだろう。


「ゴーレムってどうやって倒すの〜? 俺、見たことないんだけど〜」

「体のどこかにある魔石を壊せば動きは止まる」

 ドランが意外なところで知識を出してきた。

「あ〜なんかそんなの本で読んだ気がする。個体によって魔石の場所が違うけど大抵は胸とか腹のあたりだって、その本には書いてあった」

「そうだ。だが、岩でも金属でもなんでも、体内が透けているわけではないから魔石を探すのは難しい」

 なるほど、それでアシュレイは大変かもしれないと言ったのか。玉座を守るように、ということは下の階に行くためにはかなりの数と遭遇することになるんだろう。

 シンと静まり返った廊下のような部分を歩きながら、どうやって倒すのかを考えた。


「魔石の位置か。それなら楽勝だね〜、俺たちには魔眼があるし〜」

「そうだな。俺は魔眼を使わず戦いたい。その方が楽しそうだ」

 ドラン、お前は戦いを楽しむことしか頭にないんだな。死ぬ可能性があるとは微塵も思っておらず、ウキウキとした気持ちが漏れ出ている。

 でも俺は知っている。夜中にみんなのために25階層の火山地帯に挑むためのマスクをちまちまと縫ってくれていることを。それも自分が楽しみたいためかもしれないが、思惑はどうであれドランが俺たちのために時間を使ってくれていることは事実だ。クソッこれだから嫌いになれないんだ。


「魔眼、そうでした。私もレオンからいただいたのを忘れていました。冒険者が20階層から22階層を抜けるのは結構苦労するのですが、このパーティーなら問題なさそうですね。

 ゴーレムは同じ場所を行ったり来たりするので、階層の間のスペースでなくてもフィールド上で休憩を取ることができるんです。なので、休憩をしながら時間をかけて攻略していくのが通常の方法なんですが、そんなこともする必要がないと……」

 普通の冒険者はそうなんだろうな。この階層の途中でも休憩できるというのはなんとも冒険者に優しい仕様だ。ゴーレムであれば匂いなどに寄ってくることもないんだろう。


「みーっけ、あれがゴーレムか。この建物がやけにでっかい理由はゴーレムがでかいからなんだね〜」

 見上げるほどに高い柱の意味が俺にもやっと分かった。二足歩行のゴーレムの身長は、俺たちと比べると倍かそれ以上に見える。あいつらが余裕で歩けるよう大きく作られているんだな。


 魔眼を発動させてみると、向こうから歩いてくる茶色い岩のゴーレムは、胸の中心辺りに魔力が集まっていた。そこに魔石があるんだろう。

 しかし魔眼を使うと目も頭も疲れる。早く終わらせるか、ドランのように魔眼を使わず倒すか、ゴーレムを確認したら一瞬だけ確認のために発動するか、どれかがいいな。常時発動していたら疲れ果ててしまいそうだ。


「どれくらい強いのか魔石を壊さずに戦ってみていいか?」

 ドラン、楽しそうだな。

「いいよ〜、俺たちはそれを見学して対策考えるし〜」

 レオンが言うと、ドランは背中に背負ったでかい剣を構えながら走っていった。


 ガキーン、ガラガラ


「……魔石の位置、分かんなくても倒せそうだよ」

「ゴーレムって思ったより脆いんだね〜」

 アリサとレオンが呆れたようにそう口にした。ドランが放った脳天から下に向けての一撃で、ゴーレムは脆くも崩れ去ってしまったんだ。たったの一撃でだ。観察にもならない。


「私は予想していたわ。こんなことだろうと」

「私もそんな予感はしていました」

 ココとアシュレイも同じように、驚くことなくそう口にした。


「岩のゴーレムは面白くないな。次の階層に行こうぜ!」

 ドランの興味はもう次の階層に移っていた。俺としては魔眼を酷使せず、楽に進めるならそれでいい。


「う〜ん、数は多いけど、岩は弱いね。次は金属だっけ? 鉄とか銅ならもうちょっと硬いのかな?」

 感想を言いつつ、歩みを止めることなく進み、そして玉座の間という石の椅子が置いてある部屋にたどり着くと、裏に回った。


「これが階段か〜、今までのところよりちゃんと建物って感じだね」

 今までの下層に進む階段は、歩きやすく整えられたものではなかった。幅も高さもバラバラで、大小の石を適当に積んだだけだったんだが、ここは遺跡風の階層から繋がっているからか、きっちりと切り出したブロックを並べて幅も高さも整えられている。


「疲れてないでしょ? このまま次の階層に向かうね〜」

 レオンの言葉に反対する者はおらず、休憩スペースでは休憩を取らず、次の階層へ向かった。


閲覧ありがとうございます。

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