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召喚士アデルの災難 〜なんで!?俺が召喚したのは最強勇者のはずだったのにアホっぽい男がきた〜  作者: 武天 しあん


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第103話 意外な情報源


 アシュレイをパーティーに迎えて、森の中でバーベキューパーティーを開いた翌朝、みんな揃って森を駆けてダンジョン都市に向かった。

 今日も目的はレオンとアリサが好きなカフェオレという飲み物だ。今日の朝食はジャムサンドとチーズサンドだ。

 トロリと溶けたチーズが美味い。アシュレイはやっぱり甘いものが好きなのか、チーズサンドにも蜂蜜をかけている。今日はハニービーの蜂蜜ではなく、その辺のミツバチの蜂蜜だ。ハニービーの蜂蜜は高いからな。

 しかし、でかい壺に入った蜂蜜を買ってアイテムボックスに入れているのを見た。きっとアイテムボックスがレオンからもらって容量の制限がなくなったからだろう。

 昨夜、俺たちが簡易ベッドや布団を持ち歩いていることを知ったアシュレイは、「私も街で買いたいです」と言っていた。だよな。俺ももう地べたに寝袋などでは眠れない。


「アシュレイって、髪ツヤツヤだよね。手入れどうやってるの?」

「それ私も聞きたいわ」

 アリサとココに詰め寄られると、アシュレイは謎の小瓶と布袋に入った何かをアイテムボックスから出した。


「私は糠という穀物の皮を粉にしたものを湯に溶かして洗い、ツバキという木の実のオイルを塗っています」

「え!? 糠!? アシュレイ今、糠って言った?」

 アシュレイの言葉に詰め寄ったのはアリサとココではなくレオンだった。穀物の皮に何か興味があるんだろうか?


「え、ええ……糠です」

「それって米があるってことだよね?」

 アシュレイの胸ぐらでも掴みそうな勢いで詰め寄っているが、コメってなんか聞いたことがある気がするな。なんだっただろう? あれか、島国に行って無いと落胆していたものだ。


「ありますよ。農耕のために飼っている牛の餌ですね」

「牛の餌……マジか〜、でも米があるって分かっただけでいい。とにかくダンジョン探索が終わったら米を見にいくことにする!」

 おいおい、魔王に会いに行くんじゃなかったのかよ。ただでさえダンジョンなんかに寄り道しているというのにどうするんだ?


「レオン、魔王のところには行かないのか?」

「行くよ。でも急ぎじゃないんでしょ〜? 世界の危機ってわけでもないみたいだし〜、それなら俺は先に米に会いたい!」

 まあそれもそうだな。いるかどうか分からない上に、明確な場所も不明なんだ。今まで何もなかったんだから急に何かが起こることもないだろう。どうせ延びるとしても一月かそれくらいだ。それならレオンの好きにしてもいいだろう。


「アシュレイってさ、何歳なの? エルフって長寿って感じだけどもしかしておじいちゃんだったりする〜?」

「私はまだ264歳です。エルフの中では若造だと言われる年齢ですが、人間と比べたら長く生きているかもしれない」

「そっか。じゃあさ、アシュレイは魔王って知ってる? どこにいるかとか、何してるかとか、悪いことしてるとか」

 そうか、ボロボロの勇者の伝記など読まなくても、200歳を超えてもまだ若者だと言われるくらいなんだから、長寿のエルフに聞けば、もっと当時のことが分かるかもしれない。

 俺はコメというのはどうでもいいが、エルフが住む場所に行きたくなった。何か情報が得られるかもしれない。


「魔王ですか……魔界とこの世界の狭間にいると聞いています。会ったことはないので、それ以上のことは分かりません」

「そっか。魔界ってのがあるのも知らなかったから、情報ありがとね〜」

 魔界とはなんだ? もしや、その魔界とやらから魔物を手引きしているのが魔王ということか? それならこの世界の脅威だな。しかし最近急激に魔物が増えたということもない。徐々に蝕んでいるのか、それとも何かもっと大変なことを企んでいるのか、どっちだ?


 勇者の伝記には、魔界なんてものがあるとは一言も書いていなかった。それは書き写される途中で情報が消えてしまったのか? それとも著者が知らないから書かれなかった情報なのか、もしくは消されたのか。

 それはいいが、魔王を倒すだけでなく魔界というところから魔物が来ているのなら、そっちもなんとかしなければならないのか? 大変なことじゃないのか?

 魔界というものが魔物の巣窟のような世界だとしたら……

 背中にゾクリと寒気が走り、俺は考えることをやめた。


 想像だ。これはただの俺の妄想だ。何もないかもしれないし、アシュレイの言ったことが正しいのかも分からない。魔界などないかもしれないし、魔界に魔物などいないかもしれない。見てみなければ分からないことだ。

 知らないことは恐ろしい。知らないから怖いんだ。俺たちはまず知らなければならない。

 レオンを含むこのメンバーなら魔王だって倒せるし大丈夫だと思っていた。

 しかし、もし俺が想像する最悪の事態ならば、この命も無事である保証はない。


「アデルー? 眉間に皺寄せて、怖い顔してどうしたの? チーズ落ちてるよ?」

 レオンに言われて、俺はやっと現実に戻ってきた。

 は? チーズが落ちている?

 手に持ったチーズサンドを見ると、手に力を入れていたせいでパンは潰れ、トロトロのチーズが全て地面に落ちていた。俺のチーズサンド……



閲覧ありがとうございます。

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