第102話 ワイバーンとオーガ
「これは、本当に大丈夫なんですよね?」
アシュレイが引き攣った顔でドランの後ろに隠れている。
無理もない。目の前にはワイバーンの群と、ブラッディオーガのシュアがいるんだからな。
「トト、おかえり」
「シュア、いい子にしてたか?」
「うん。シュアいい子にしてた」
「偉いな」
「うん、シュアえらい」
はぁ〜癒される。見た目は更に怖くなったが、シュアは俺の癒しだ。
「アデルー、ヴァイス呼んでよ〜」
レオンはヴァイスが好きだな。ヴァイスを召喚すると、レオンはヴァイスに抱きついて撫で回している。あまりヴァイスに構いすぎるとポチが嫉妬するぞ。
ポチは今日いい仕事をしたからな。俺が特別な肉を焼いてやろう。
「このパーティーは無茶苦茶ですね。ワイバーンの群にブラッディオーガ、ケルベロスの子どもまでいるなんて」
アシュレイが呟いていたが、ドランが誇らしげに「これが勇者パーティーだ」と言っていた。
まあそうなんだが、ドランが誇るところじゃないだろ。
「レオン、俺はワイバーンたちとポチの肉を焼く。肉を出してくれ」
「りょうか〜い。バーベキューの薪の準備はドランお願いね〜」
今日も俺は安定のワイバーン専用肉焼き職人だ。
次男、俺のシュアを返せ。またシュアを囲いやがって。
ダンジョン産のハーブと岩塩を少々、シュアは昨日、水をガブガブ飲んでいたからシュアのは塩は薄めだ。
「ポチも塩は少ない方がいいか?」
ワッフ〜
これはきっと了解ってことだな。
ポチとシュアは塩は控えめに、少し肉を引き締める程度に使って、外はこんがりと中はジューシーに炙っていく。
「ほら、これはポチのだ」
ワッフ〜
どうやらお気に召したらしい。ワイバーンたちもポチの顔色を窺っているため、ボチに最初に献上しても文句は言わない。
「ほら、待たせたな。こっちはシュアのだ」
ワイバーンたちの肉焼き職人の仕事が終わると、今度は人間たちの食事の準備に加わる。
「それは10階層で詰んでいたハーブですか?」
「そうだ。ワイバーンたち用と、人用でそれぞれ作ってある。うちのワイバーンたちはグルメなんだ」
「ワイバーンがグルメ……」
「俺もあいつらに会うまで知らなかった。生肉も食わないことはないんだが、塩やハーブを振って焼いたものを好むんだ」
普通はワイバーンに餌などやろうと思わないからな。奴らに見つかったら人族なんかは餌を与えるどころか、自分が餌になってしまう。頭から骨ごとバリバリいかれるんじゃないか?
「できたよ〜、ほら見て〜、ダンジョン都市にチーズあったからさ、チーズフォンデュ作っちゃった」
「チーズフォンデュ! レオンやるわね!」
「パンとウインナーと、野菜もあるよ〜」
「あたしは野菜派だな〜、パンもいいけど」
レオンとアリサはまたよく分からない会話をしている。
「アデル、彼らは何を話しているんですか?」
アシュレイが不思議そうにレオンたちを見つめながら話しかけてきた。
「ああ、あの二人は同郷なんだ。この世界とは違う世界からやってきた。だから、元いた世界のことでたまに二人で盛り上がっているんだが、俺たちには何も分からん。質問すると、更に分からない単語を重ねられるから、みんな放置しているんだ」
「なるほど……」
長寿なだけあって、理解が早い。きっとアシュレイは長い年月をかけて色んな国を旅して色んな種族に会ったんだろう。
「レオンとアリサの会話はよく分からないし、時々変ものを食べたりするんだが、大抵は美味しい」
「そうですか。チーズを何かしたものでしたから、不安はありません」
早く馴染んでくれそうでよかった。
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