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振り払った火の粉は燃える 4

 学外訓練という行事は少し先のことで、今は事件が起きる前と同じで、小鳥と龍樹は魔法の授業を受けていた。龍樹は上級以上の魔法の授業を受けた方は身になるのは彼自身もわかっているが、小鳥を一人にはできない。たとえ、ベアトリスが義妹と同じ魔法の授業を受けていたとしても、彼は小鳥と同じ授業に出るだろう。


 彼らが授業を受けているとき、町の暗い路地では、チンピラのようなただのワルぶっているような四人の男がいた。一人は、三人の男たちに対して子分のような振る舞いをしていて、三人の男の内の一人は、不良生徒に怪しい薬を渡した男だった。残りの二人の男は、薬を渡した男と徒党を組んで町でくだらない悪さをしている男たちだ。ワルと言っても、犯罪者集団にしてはかなり目立つ方だ。町での恐喝や強盗を行っているような男たちだ。やっていることは、チンピラと同程度。そのせいで、彼らに対しては、建物で出店している店舗には警備が付いているのだが、リーダー格のその三人の男には、警備も意味をなさない程度の実力があるから、厄介極まりないグループでもあった。


「で、そろそろ聖女さまを攫ってヤリたいんだが?」


 けらけらと下卑た笑いを口に出しながら、男の中の一人がそういった。彼が切り出したところで、他の者も策を考える体勢になった。


「そうだ、その前に紹介したい奴がいるんだったわ。……こっちに来てくれ!」


 男に一人が呼ぶと、暗闇の中からローブを目深にかぶった男が彼らの前に姿を現す。三人の男たちの前に来ると、フードを外して、顔を彼らに見せた。


「こいつは、なんだっけ。あの、ダークスターのメンバーの残った奴だ。どうしても、あいつらに復讐したいんだと」


「は? 使えんの?」


「ああ、こいつの超能力で人攫いなんて簡単だってよ。何せ、テレポート系だからな! なぁ、そうだろ?」


 男がローブにそう聞くと、こくりと頷いた。ローブの男の瞳は黒く濁っており、活力がない。男たちもローブのその目を見て、にやりと笑っている。復讐できるなら、何でも利用するというような眼だ。利害が一致しているなら、これ以上ない味方になると彼らは考えていた。


「なるほどな。こりゃ、心強い味方だなぁ」


「てか、攫うにゃ、持ってこいのモンじゃねぇか。もう、明日にでもやろうぜ!」


 男たちはその一人の言葉にテンションを上げて騒ぎ始めた。




 その日の放課後は何か、騒がしかった。生徒たちが学園の入口の方を見て、何かを離しているのがよく見えた。龍樹たちも騒がしい生徒たちを見ていた。ベルシャインがまた何か不良生徒たちが起こした事件のようなものがある前兆かもしれないと思ったのだ。


 彼の様子を見て、フリューも警戒していた。そして、彼女は誰も見ていないはずなのに、後ろに勢いよくバッと振り向いた。彼女の視線の先にはどこから現れたのか、大柄な男がそこにいた。その男の後ろには黒いローブを目深に被った人間もいる。男は、フリューが気が付いたことには気が付いておらず、小鳥に手を伸ばそうとしていた。男の動きに龍樹が気が付いていて、既に彼の腕は小鳥を守ろうと彼女を自身の後ろに移動させるように動かしている。男がようやく、既に自分の行動に気が付かれていることに気が付いて腕を引いた。そのまま、ローブと共に一瞬で視界からいなくなる。次に現れたのは、今現れた場所とは、小鳥たちを中心にした反対側。男はまた小鳥に手を伸ばして彼女を彼女に触ろうとしていた。それでも、龍樹は相手に狙われていることに気が付いていて、小鳥を守るようにして動いている。男の中ではその時点で、彼女に触れることができている予想だったのだろう。男はそれ以上、いなくなることはなく、その場に留まった。が、すぐに龍樹に攻撃し始めた。それと同時に、ローブがその場から消える。ベルシャインが彼を捕まえようとしていたが、その時には既にローブはいなくなっていた。フリューとベアトリスとファベルが小鳥を中心にして、彼女を守るような布陣に着いた。あの事件から、彼女たちの対応の速さには磨きがかかっていた。あの時のようにパニックになることはなかった。


「なんだなんだ。思ったより、子供じゃねぇってか? だが、無駄だったな。俺たちに逆らうなんて馬鹿な真似するんじゃねぇよ? 聖女サマを出せば、痛いことはしねえからよ」


 男は一人だというのに、彼らに偉そうな態度でそういった。男の言葉に従う者はその中に折らず、全員が男を睨みつけていた。男は睨みつけられていても、特に気圧されたような様子はなく、退く様子もなかった。

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