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振り払った火の粉は燃える 1

 当たり前だが、龍樹たちが巻き込まれた騒動に関しては、彼らはおとがめなし。それどころか、危険なスライムを討伐したことは称賛された。彼らの戦闘は様々な人が目撃しており、彼らと仲良くなろうという人は増えなかったが、彼らを敵視したり、無視したりすることはなくなった。さらに、不良グループを倒したことで、彼らに圧力をかけられていた者たちからは、信仰心のようなものを向けられていた。まるで舎弟のように、その人たちは龍樹たちとすれ違う時には、道を譲り、一礼して彼らが自分たちの前を通りすぎるのを待つほどだ。龍樹たちの背中に視線を向けて、祈りのような感謝を彼らに伝える信心深いものもいた。龍樹のあの戦闘している姿を見れば、その強さに憧れるものもいた。学園生全員が彼らの味方になったわけではなく、彼の戦闘を見ていないものたちは未だに彼がそこまでの戦闘能力を持っているとは思っていないものもいるが、現在は少数派だ。


 そして、今回の不良グループの起こした事件については学園職員の責任になっていた。不良生徒の一部は退学処分で、それ以外の不良生徒は十日ほどの停学処分らしい。思ったよりも軽い罰だと思ったが、それは職員たちがこの騒動を事前に止めることができなかったことも関係しているらしい。職員はこの騒動が起こっていることを知らなかったと言っている。中には知ってはいても、それが当然だと考えていたという者もいた。つまりは、何者かに精神か記憶に干渉する超能力の影響を受けていたという考えが最も有力であるという話で、不良グループにいた生徒にはそういった超能力を持った者はいないため、不良グループに協力した生徒か外部の人間か、職員がいることになるが、それを探すにはさらに時間が必要だった。生物の内面に干渉する超能力が珍しいというわけではないため、探すのにも一苦労というわけだ。


 中でもセレナルは、彼らに罪悪感を覚えているようで、龍樹と小鳥には特にその思いが強いように見えた。龍樹と小鳥は、気にしていなかったが、それでもセレナルは超能力の影響を受けていたとは言え、その前にこの事件の兆候に気が付けたかもしれないと考えている。事前に対処できなかったことを悔やんでいるのだ。小鳥も龍樹も結局は彼の心を変えることはできないなと思い、何かあったらな彼に頼ることを頭の片隅にでも置いておくことにした。今回の事件で、龍樹は自分一人では対処しきれないこともあることを思い知らされたのだ。ベルシャインとベアトリスがいなければ、小鳥が狙われていた可能性が高い。ファベルも戦闘能力はほとんどないにも関わらず、小鳥を守ってくれていた。この三人には感謝している。


(彼らが困っていれば、いや、困っていなくとも助けたい)


 龍樹は、三人への感謝を忘れないようにしようと決意しながらも、彼の中の一番、優先されるべきは小鳥であることには変わらない。




「ツキムラ様。おはようございます。フリューです」


 あの日、別の場所で不良たちは彼女を狙って戦っていたらしい。彼女からは簡易的ではあるが、その話を聞いている。彼女は結局は自分が倒したわけではなく、ハルエラとアレクサンダーがどうにかしてくれたと話していた。腐っていたと聞いていたアレクサンダーはどうやら、腐りきってはいなかったようだと彼は考えていた。あの程度の敗北で、諦めるなら騎士などやめた方がいいと思ったが、今の彼は鍛錬に励んでいるとベルシャインから話を聞いた。


 フリューは毎日というほどではないにしろ、かなり頻繁に龍樹の元に来ていた。最初こそ、何か裏があるのかと思ったが、彼女はただただ自分の役に立とうとしているだけだと思わされた。しかし、彼女とそこまで親しいわけでもなく、彼女に何か願い事があるわけでもない。ただの善意というわけではないだろうが、厚意を向けられると、それを邪険にするのも悪い気がして、断りきることもできないまま、彼女に付きまとわれている。そして、フリューが来ると、一緒にハルエラという少女もついてくる。彼女に救われたと言っているが、見た目からはそこまで強そうには見えない。少なくとも、フリューが話したような、五人を相手に大立ち回りができる人物には見えない。ただの平凡な少女にしか見えないのだ。ハルエラは、フリューのことを見守っているだけで、龍樹や小鳥たちには何も話してくるわけでもない。フリューや他の者といるのを遠くから見たことはあるが、その時はかなり元気な印象だったが、彼らの前では、俯いてしまって元気な様子は少しも見せていない。フリューも彼女の様子を特に気にしていないようなので、彼女は何か知っているのかもしれない。


 数日後、ほぼほぼ休む暇もなく、さらに大きな事件が起きる。

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