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魔法の使い方 4

 小鳥の発動した土の壁の魔法は見事に成功していた。練習場に大中小の土の壁が出来上がっていた。


「お兄ちゃん! 私にもできた!」


 彼女はぴょんぴょんと飛び上がりながら、自分が作り出した土の壁を指さしながら喜んでいた。彼女がそこまで大きく感情を表現することは少ないため、龍樹も一緒に興奮しながら喜んだ。セレナルは二人を微笑ましく見つめていた。


 一通り喜んだあと、セレナルが二人に声をかけた。


「お二人とも、上出来です。土の壁といえど、初心者が魔法を形にするのは難しいのです。子供のころから練習して、十歳を超えるあたりでこういった形のある

魔法を使えるようになるのですから、それをこの短期間で使ってしまえるのは、巣ばあらしい才能ですよ」


 べた褒めされると、小鳥は嬉しそうに龍樹に笑いかけていた。龍樹は妹のその顔をみることができるだけで、幸せだった。そして、その顔には歩めてと書かれいているような気がして、彼女の頭を優しく撫でた。


「では、この土の壁を使って、初球の攻撃魔法を使っていきましょうか。では、まずは見やすい水の魔法から使いましょう」


 彼は再び掌を壁に向けていた。


「水よ。ウォーターボール」


 彼の掌の前に水の玉が出現して、それが水の壁に一直線に飛んでいく。そして、水の壁にぶつかったところで水の玉は消失した。土の壁が多少濡れた程度で、攻撃魔法というにはあまりに攻撃力がない魔法だなと二人は考えていた。龍樹に関しては、それが攻撃魔法に繋がるのだろうとも考えていた。


「これは攻撃魔法を使うための基礎の基礎の魔法です。これを遣えなければ、他の魔気でこういった攻撃魔法を使用するのは危険です。水に威力を持たせるためには、かなりの速度や魔気の密度を高めるという操作が必要になりますので、攻撃魔法はこの威力の低い水の魔法から習うのです。では、二人とも今の魔法を再現してみてください。今度は、今の私の魔法のように土の壁を濡らす程度の威力で魔法を使ってくださいね」


 魔法の威力は魔法に込める魔気の密度によって変わる。土の壁でも魔気の密度がすくなければ、魔法を防ぐことができずに飛んできた魔法が土の壁をすり抜けるらしい。そして、魔法の威力を上げようと思えば、その密度が高くする必要があるが、体内の魔気を多く使用すれば、使用者が死ぬ可能性があるのだ。そのため、最弱の威力で魔法を使用して、魔気を魔法に込める感覚を養うというのも、セレナルが教えようとしていることだった。戦闘ではなくとも、魔法の威力を調整することは絶対に必要になることだ。ここで覚えておかなければ、後々、魔法を使って事件を起こす可能性もある。それはその人がどういう人間かは関係ない。こういう訓練をしていても、自身の魔法に身を焼かれたり、水の中に取り込まれたりということもなくはないのだ。


 セレナルのいうとおりに、龍樹は威力の弱い水の玉を想像すると、詠唱せずとも水の玉が彼の前に出現した。そして、それは彼が作り出した土の壁にぶつかるとその壁を濡らす程度の威力だった。小鳥もそれに続くように、セレナルと同じように詠唱すると、彼と同じように魔法を使うことができた。


「さすがに、才能が有りますね。では、今の魔法で体に疲れは出ましたか? 魔気を多少は失っているので、体が多少は疲れたとは思うのですが、体調の変化はどうです?」


 セレナルの問いに二人は疑問を持った。それはそんなことをどうして聞くというものではなく、全く疲れを感じていなかったからだった。二人はセレナルに、そのことを伝えた。


「なるほど。記録では召喚者たちは例外なく、魔気の保有量が多いようだとありましたので、お二人も魔気の量が多いのでしょう。だからといっても、無限に使用できるわけではありませんので、むやみやたらと魔法を連発しないように。何度も言いますが、体内の魔気がなくなりますと、取り返しのつかないことになりますからね」


 二人は魔法のない世界から来させられたため、その部分に関してはあまり理解していない。例えば、睡眠をとらずにいると死に至るとか、食べ物を食べずにいれば死ぬとか、そういう感覚は直感的に理解できる。そして、おそらく魔気がなくなると死ぬというのもそれと同じようなものなのだろうが、二人には魔気という存在を体が理解していないのだ。つまりは、直感的にこれは死ぬなというのがわからないのだ。だから、彼の言うことを理解したくとも、それを理解するための情報がないというのが一番近いだろうか。そして、それを得るためには、魔法の鍛錬をするしかない。だが、龍樹に関しては鍛錬するまでもなく、既に魔法を自在に操っているのだ。つまりは、彼は本当に魔気を使用しすぎた状態にならなければ、自身の限界というのは理解できない。


 それから、セレナルと二人は他の属性の魔法の練習もした。その練習で思ったよりも時間がたってしまい、その日の授業は終わったのだった。

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