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しょうもないことで 7

 すラインは砂の球の中から、飛び出していた。そのまま龍樹の近くに着地して、着地とほぼ同時に、彼を捕食するように体を広げていた。龍樹はそれを認識してから、土の壁を作り出して、再びその攻撃を防いだ。土の壁に巣ライムの体をくっつけて、垂直の壁を登っていく。彼にはその様子は見えていない。土の壁を越えて、スライムは彼を見下ろすような位置に移動していた。龍樹の視界にもそれは映っているが、土の壁を作ることができるほどのスペースはない。スライムはそこから飛び、彼を捕食するために体を広げた。龍樹はそれに向かって風の魔気を使って刃を作り出した。それも一枚や二枚ではなく、無数と言っていいほどの刃だ。彼も自身のピンチに数の調整などできるはずもなく、彼が作り出した刃がスライムの体をずたずたに切り裂いた。彼もその場から逃げるように後ろに跳んでいる。


 体を切り裂かれたスライムの体の破片が地面にぼとぼとと落ちていた。しかし、その破片が一か所に集まり、再び体を形成していた。体をプルプルと揺らして、また彼を捕捉していた。捕食以外の行動がないのか、それ以外の行動は見ていない。だが、速度と捕食するために広げる体の範囲が大きく、捕食だけであっても、脅威であることには変わらない。さらにスライムが今は、龍樹しか見ていないが、小鳥たちに近づけば、それだけ彼女たちに注意が向く可能性が高くなるだろう。そうなれば、彼女たちを守りながら戦わなければいけないだろう。


 火の魔法も土の魔法も風の魔法も効果がない。水の魔法はまだ使ってないが、見た目からあまり効果がなさそうだと思いながらも彼は高水圧の水鉄砲をスライムに向けて放つ。スライムはよけることすらせずに、それを受けて、全てを自身の体の中に取り込んでいた。敵が吸収した水の分だけ、体が大きくなっている。明らかに水の魔法は使ってはいけないということを理解した。彼の魔法でも対処ができず、物理攻撃は効果がない。


(どうすればいいのか。それとも、単純な魔法だから効果がないとか、そういうことか)


 彼はイメージした魔法が使えるが、今までは四つの魔気から想像しやすい魔法しか使ってこなかった。しかし、それ以外の魔法もイメージすれば使えるというのなら、そこにこの状況を打開できる解決方法があるのかもしれない。しかし、そのイメージと言っても、すぐにイメージすることはできない。セレナルに教わったことから考えれば、この世界の魔法は、彼の元居た世界の人が考えるような、万能の力ではないように考えられる。体を治すにも一瞬で傷を治す魔法はないと言っていたし、それを考えれば死んだ人をよみがえらせるような魔法もないのだろう。


 それでも、火水風土の四つの属性を元にしている減少であれば、魔法で再現できるはずだと彼は考えた。そのイメージは元の世界で得ている。元の世界では科学と呼ばれている現象だが、この世界にもそのイメージは適用できるだろう。


 そう考えて、彼は稲妻をイメージした。手から出る静電気をより強力にしたような魔法だ。ただの静電気ではスライムまでは届かないのはわかっている。だから、彼はより強い電気、稲妻を想像したのだ。彼がそうしている間にスライムは再び彼に飛びかかろうとしている。彼は人差し指をスライムの方へと向けていた。そこから風の魔気が集まり、彼の指先に薄緑色の半透明の球体が出現した。その球は淡く光っていて、それが稲妻を生み出す魔法だと彼にも理解できた。そして、指先よりも大きくなったところで、光る薄緑の球から、何かが一瞬放出されて、それが通る道がピカッと光った。その速度は、熱光線よりも速い。空中を辿り、一瞬で稲妻がスライムに届いていた。バチという音がして、スライムの体表面が細かく揺れて、けいれんしているように見えた。稲妻を食らっている間はスライムは少しも彼に攻撃しようとはせずに、その場に留まっていた。稲妻が敵にダメージを与えているのかはわからないが、動けないという効果は、彼自身の行動に猶予が生まれるという言ことだ。それだけで、状況が動かないよりはましだろう。


 稲妻が成功すると、彼は他にも元の世界での科学で起きる現象をこの世界でも起こせるのではないかと考えた。相手が液体だというのなら、痺れるよりも動きを止める方法があるなと、とある方法を思いつく。元の世界では当たり前にあるものだが、この世界ではそれに似た物も見たことがない。おそらく、それはそういった魔法をイメージするのに、結果にたどり着くための過程が想像できないからなのだろう。彼はこの世界では珍しいであろう魔法をイメージした。

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