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しょうもないことで 2

 不良のリーダーは龍樹を殴り続けていた。その攻撃も最初から意味はなく、彼にダメージは未だに入っていない。それでも敵は、彼の顔や腹を入念に殴っている。


「いい加減にしたらどうだ? 何があんたをそこまでさせるんだ。いくら殴っても蹴っても効かないのはわかっただろ」


 龍樹はリーダーには攻撃しなかった。不良たちのことはうざったいと感じているし、彼らをっ殺しはしなくとも、再起不能になる程度には痛めつけたいとも考えている。しかし、不良と何度も戦ったことがあったせいで、不良たちには戦う理由があることが多いことを知っていた。中には威張りたいとか、ワルであることを格好良く感じているとか、そういうやつも多かったが、それでも、現実の理不尽と戦っていたり、友人や兄妹のためにそうするしかなかった者も少なくなかった。周りと仲良くできなかった、仲間外れの人たちを集めて居場所を作っていた者もいた。彼らがそういう目的があって、こういうことをしている可能性もなくはない。だから、彼は不良だからという理由で、敵に理由を聞いてしまったのだ。


「……は? なんだよ、それ。まぁ、そうだな。自分が攻撃される理由くらいは知りたいか。いいぜ、教えてやるよ。……俺たちがお前たちに攻撃する理由。それはな、お前たちが気に食わないからだ。それに俺たちが負けたとかいう噂が広がってるし、最後にはダークスターを壊滅させたなんて話もある。そんな目立ってるやつが気に食わねぇんだ。だから、お前を倒せば、俺たちの方が強いってことになるだろ? だからな、早くやられてくれ」


 彼はそんな理由かと思った。本当にそう思うだけで、それ以外の感想がなかった。そして、その薄っぺらい理由に負ける可能性は一つもなく、今、目の前にいる敵の強さは大したことがないことも分かった。彼はこの敵に遠慮する必要はないなと考えた。熱光線を放つなんてことをせずとも、彼を戦闘不能にするのはおそらく難しくないのだ。難しくないどころか、簡単なことであろう。敵は自分が攻撃しているからこそ、相手からの攻撃は来ないと思い込んでいるのかもしれないが、相手からの拳が届くということは、彼の拳も相手に届くということである。


 殴られ続けられるのもいい加減、飽きてきたため、彼は相手の拳を受け止めた。そして最後の忠告をする。


「ここで引けば、痛い目を見ずに追われるが、まだやるか?」


「馬鹿にっ、すんなっ! お前をぶっ飛ばすまでやめるかっての!」


 彼の落ち着いた問とは反対に未だに、いや、最初から彼が激高したままそういった。それからは、一方的だった。先ほどまで敵の攻撃をノーダメージで受け続けていた彼が今は、彼に連続でただたた左と右のパンチを繰り返しぶつけ始めたのだ。そこには技術はなく、単純に殴りつけるだけの攻撃。相手は何とか彼の拳を手で受け止めたり、腕で受け流したりしているが、防御に徹することしかできていない。そこで相手も今まで彼が攻撃ができないほどの攻撃を与えていたわけではなく、攻撃してなかっただけだと知った。それでも、相手は自身の口から出した言葉を飲み込んで、その言葉をなかったことにはできなかった。だから、必死に抵抗しようとしていたのだが、それでも攻撃することはできなかった。防御に徹していたせいで、腕に痛みを感じてくる。連続パンチの威力を完全に受け流しているわけではないのだ。積もっていくダメージが少しずつ、少しずつ表に出てきていた。


 龍樹もそれをわかっていながらも、途切れることなく攻撃を続ける。彼の拳には全くダメージはない。魔法で防護しているのだから、パンチをしても彼の拳にダメージは入らない。


「そろそろ、終わりにしようぜ。じゃあな」


 一撃だけ、腕に力を込めて、敵を殴りつけた。相手の腕にバコッというような音がして、相手の腕が敵の後ろに下がった。その腕はかろうじて動くのだが、その状態で攻撃も防御もできないだろう。そして、龍樹はもう片方の無事な方を腕を狙って拳をぶつけた。


「っ!」


 吹き飛ばされていた腕の方にばかり意識が向いていたせいで、相手はその腕の痛みは意識の外からのもので、相手はその痛みに顔を歪ませた。そして、相手の両手はもはや、戦闘には使えない。動かないというほどではないものの、動かせば痛みがあり、他のものに強く触れて衝撃があれば、痛みが走るのだ。


 そんな状態だというのに、相手は龍樹を睨んでいた。龍樹には彼が先ほどの理由だけでそこまで戦えるものかと理解に苦しむ。敵にはその理由に命を賭けるだけの価値があると考えているのだろうか。

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