表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/179

しょうもないことで 1

 ベルシャインが戦い始めた隣で、龍樹たちは既に戦っていた。いや、戦っていたという表現があっているかどうかはわからない。見た目には彼が一方的に攻撃を受けているような状態だ。敵は不良のリーダーと仲間二人。リーダーこそ、武器を持っていないが、他の二人は武器を持っていた。男の方は、木製のバッドよりは少し太めで、棍棒というには細いというような見た目のもので、もう一人の女の仲間の方は、杖で頭の部分が植物のぜんまいのようにぐるぐると渦巻状になっている。バット使いは彼を殴り、杖使いは魔法で彼に何度か攻撃していたが、いずれも龍樹のダメージを与えるには至っていないのだ。そして、リーダーの拳さえも彼にダメージを与えることはできていない。


 その状態でも、リーダーは攻撃し続けて、現状を打破しようとしていた。攻撃し続けていれば、いずれはダメージが通るというような考えで、攻撃し続けているが、拳で戦っている敵は自身がダメージを追っていることに気が付いていた。バッドも全力で殴り続ければいずれ折れるだろうし、魔法に至ってはいずれ魔気が切れるだろう。龍樹はそれを待ってもいいと思っていた。しかし、どうしても鬱陶しいとは感じてしまう。彼は自身の防護の魔法を使い続けたまま、バッドを手で受け止めた。


「なにすんだっ!」


 バット使いはバットを彼の手から放そうと後ろに大きく引いた。彼はバットを特に執着して掴むこともなく、簡単に離した。そのせいで、相手は大きく後ろに体を沿って、バランスが取れなくなって、しりもちをついていた。彼はそれに冷ややかな視線を送りながら相手の魔法を受けていた。もちろん、彼にダメージはない。


「てっめぇ、ふざけんなよっ。なめやがってよぉ……」


 バット使いはバットを杖にして立ち上がる。敵はそれを肩に乗せて、彼を睨んでいるが、彼にはそれすらなんとも思っていないかのような態度で、それが敵の逆鱗だったようだ。バットを大きく振りかぶり、彼を殴りつけようとしていた。しかし、それは叶わない。敵が彼に向かってバットを振るったのだが、先ほどよりもバットが圧倒的に軽かった。そして、振りぬいたバットは彼に当たっていない。敵は目を大きく開けて、自身が振るったバッドの先を見ていた。そこにはあるべきものが全くないのだ。そして、敵の背中側でカランカランと音がしている。敵が音がした方に視線をやるとそこには、バットであったものが輪切りになって地面を転がっていた。あまりのことに、敵は龍樹に視線を送るほどだ。そこには驚きしかなく、敵意すら感じない。


「なんだよ、これ。ふざけんな……」


 敵はそれだけをぽつりと言うと、バットの握っていた部分を地面に落とした。敵はキッと彼を睨むと、手の強く握り、拳で彼を全力で殴りつけた。ドゴッというような、打撃音が二人の耳に入っただろう。そして、敵の拳からは血が垂れている。それでもなお、相手はか彼を殴り続ける。どうあっても、彼に物理的なダメージを与えることはできなかった。やがて、敵の拳は痛みによって殴ることもできなくなっていく。心は彼に敵対心を持っていても、体がそれについてこないのだ。


「ふざけてるのはあんたたちだろ? 人に危害を加えようとしておいて、反撃は許さないって? なめてるのはあんたらだよ」


 彼は腰を軽く落として、拳を腹の横から後ろに引いた。その間も、彼には他の二人からの攻撃は加わっているが、彼にはそのダメージはない。拳を前に出すと同時に、一歩、力強く前に足を踏み込んだ。体重を勢いに加えて、相手の腹を殴りつけた。バット使いにはその攻撃がゆっくりに見えた。しかし、その攻撃は回避できないことをわかっていた。それは確実に自身の負けに繋がる攻撃で、それを回避する方法を頭の中で無意識に探しているが、無意識にその攻撃を回避する方法を持っていないとも考えていた。そして、思考している間に彼の拳が腹にめり込んでいくのが視界に入っていた。ゆっくりと鈍痛が、自身の体に浸透していく。痛みが持続して、ある一定のところを超えると、その速度も通常に戻った。殴られて相手は二、三歩、下がった。そこで、膝をついて口を大きく開けて、何かを吐こうとしていたが、何も出てこない。目からは涙が少し流れていた。声も出すことができず、彼は四つん這いになっていた。龍樹はそれ以上攻撃しようとはしなかった。動くことができないと判断して、彼は残りの二人に一度だけ視線を送っていた。その視線に杖使いは射竦められて魔法が中断された。リーダーはその視線くらいでは何とも思っていないのか、攻撃をやめる気配がないどころか、さらに攻撃が激しくなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ