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悪とも呼べない 5

 不良たち五人との距離を詰める。今度はリーダーも一緒に近づいてくる。先ほどのように囲むわけではなく、八人全員が真っ向勝負をしようとしているようで、まっすぐに向かってきた。


「この数なら、俺の魔法はいらないよな。解除するからな」


 龍樹はベルシャインとベアトリスを守っていた魔法のイメージをやめた。見た目には変化はないが、二人にさ気ほどのような防御力はなくなっている。二人は、彼の言葉を聞いて自分に防御力がなくなったことを理解した。彼も戦うのだから、当然のことだろう。ベルシャインは奪った剣を構えていた。手には馴染まないが、武器がないよりはましだというところだろうか。ベアトリスは武器を使う心得はないため、魔法で応戦するしかない。ベルシャインが抑えている敵に対して援護するような戦い方が基本になるだろう。ファベルは不良たちにおびえてはいるものの、小鳥のことを守ろうと彼女の近くにいた。小鳥に関してはあまり態度を変えていない。龍樹がこの状況から守ってくれると心の底から信じて疑っていないのだ。


 八人の内、五人をベルシャインたちがひきつける。一撃だけ入れて、注意を引いている。ベアトリスも彼が攻撃した相手に対して、弱い魔法を使って、嫌がらせのような攻撃方法を取っていた。まるで、魔獣の注意を引くかのような行動だが、それでも単純な不良たちは少し攻撃されただけで、イラっとして彼らに注意を向けてしまっていた。残りの三人が龍樹と対峙していた。その三人はリーダと見た目には大人しそうな女子とリーダーと似たようなガラの悪そうな男子だった。リーダーは武器を何も持っておらず、大人しそうな見た目の女子は殴るようではなさそうな、先が植物のゼンマイのような形をした杖を持っている。不良男子はバットのような細い棍棒を持っている。木製で細いとは言え、それで殴られればそれなりの怪我を負うものだ。もろに当たるのは避けなければいけない。


「やっと、ぶっ飛ばせるぜ。お前のことは、大嫌いだからな。俺たちの名を汚して、聖女様の付き人だぁ? 笑わせてくれるぜ、嘘をつくなら、もっと小さい嘘をつくべきだったな。そんなことだから、俺たちがお前は終わっちまうんだ!」


 龍樹はよくしゃべる奴だなと思った。龍樹は攻撃してこなければ、自分から攻撃しようと思っていない。だからこそ、これだけ話していても先制攻撃を受けることがなかったのだ。もし、龍樹のような戦闘に頓着しないものでなければ、彼はこの戦闘に敗北しているだろう。しかし、彼以外が話さないのはどういうことなのかとも思う。彼だけがおしゃべりで、他の二人は口を開かない。彼の話は何か、攻撃の準備の時間なのかもしれない。彼は警戒しつつも、態度は変わらない。


 彼の話の途中で、不良男子が動き出した。彼はバットを片手で振りかぶって、龍樹を殴りつけようとした。龍樹はガードしようともせずに、バットを額で受けた。しかし、彼にそんな攻撃は通らない。先ほどの魔法を見ていなかったのかと龍樹は思ったが、そもそもあの魔法が龍樹の発動しているものだとは不良たちは知るはずもなかった。バットを当てた敵は彼が全く動じていないことに驚いていた。すぐに手を引いて、彼と距離を開けた。相手が距離を開けた瞬間に敵の女子が魔法を詠唱して彼にファイアボールをぶつけようとしていた。名前の通りに火でできた球を対象にぶつける魔法だ。彼はそのファイアボールすらも、見た目にはノーガードで受けていた。彼には全く効果がなく、彼の着る衣服にすら火がついていないのだ。二人は狼狽しているが、すぐにリーダーが前に出た。


「何、なんでもねぇ見てぇな顔してんだよ。ほんとに効いてねぇのか? おい!」


 彼は言葉と共に龍樹を殴りつけた。しかし、その拳が彼にダメージを与えることはなかった。それどころか、龍樹の視界の中に敵三人はいるが、彼の意識は常に小鳥が無事かどうかにしか向けられていない。不良たちも自分たちが眼中にないことがわかっていて、それがさらにリーダーをイラつかせていた。




 龍樹たちが戦闘を開始したのと同時に、ベルシャインたちも戦闘を開始した。彼らの敵は、剣を武器にするものが二人。短剣二本を持った敵が一人。木を切るような片刃の斧を持ったものが一人。長い棒を持った者が一人。長い棒を持つ者が一番攻撃範囲が広いのだろうが、集団戦には向かない武器だろう。だが、リーチの長さは確実に警戒しなければいけない武器でもあった。しかし、射程だけで考えれば、確実に魔法の方が長いだろう。しかし、二対五という戦力差は、そう簡単には埋められないのだ。

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