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悪とも呼べない 1

 不良三人とアレクサンダーが対峙する。不良生徒は既にフリューのことが視界には入っておらず、アレクサンダーを倒すことが最優先だった。


 アレクサンダーは既に剣を片手で構えて、不良たちに向かって歩いていく。不良たちは彼に向かって走っている。三人が愚直に真っすぐに彼に突っ込んできている。彼は相手に合わせて、走り始めた。その距離が先ほどより早く縮まる。


「おらっ!」


 戦闘を走っていた不良がアレクサンダーを殴ろうとしていた。しかし、剣を相手に、一人で拳で挑んだところで意味がないだろう。近づいてくる不良生徒を相手に、彼は剣を振るう。予想通りというか、拳だけで挑んでくるはずもなく、相手は剣を軽く回避する。剣の長さを見て、一度振れば、そのあとに隙ができると考えたのだろう。剣を回避して、相手のスキができると思い、拳を振るった敵は再び彼に拳を伸ばした。しかし、その拳が彼に届くことはなかった。


 相手の拳を剣の面でガードしていた。そのまま相手の拳を弾き飛ばして、相手の体勢を崩す。その隙を狙おうとしたが、彼の周りには既に残りの二人の敵が、彼を挟むような位置に移動していた。アレクサンダーは二人が攻撃するために近づいてきているのを視界の端に収めていたが、その前に三人の敵の内の一人を倒すことにした。彼が拳をはじいた男子生徒は拳を弾かれて、腕を上げて腹を彼に見せてしまっていた。その大きな隙に、彼は剣を横に薙いだ。相手の体に剣がぶつかった感触が手に伝わってから、剣を両手で持って、相手の体を持ち上げた。そのまま相手の体を宙に放って、自分に近づいてきている敵を意識の中に収める。その時には既に攻撃が向かってきていた。どちらもやはり、拳で攻撃してきている。


 たった二人の挟み撃ちでアレクサンダーを下すことができると思って伊野だろうか。フリューは前とは違い、自身のなさげな彼を見ていたにも関わらず、そう思った。彼が努力を重ねてきているのは体や技術を見ていればわかることだ。自信がなくとも、積み上げてきたものは体や頭に残っている。それを、ただの不良生徒二人で超えることができるはずがない。


 アレクサンダーは敵を吹っ飛ばした剣を右側の相手に向けて、空いている左手ではもう一人の敵の拳を抑えた。その手には力が入り、敵が腕を振るっても抜けることができなかった。腕を掴まれていない方にはその状況が見えていない。右手側の敵が敵は彼に向けて既に拳を突き出している。その拳は剣に抑えられたが、相手はすぐに手をひっこめた。反対の手で彼の剣を握る。多少血が滲むものの、刃が鋭くないせいで、簡単に掴まれた。相手が剣を彼の手から引きはがそうとしていた。


 反対の敵は手を握られたまま、相手の足を攻撃しようと足を延ばして、彼の足をかけようとしていた。彼はその動きを見て、その場に軽くジャンプする。足は回避できたが、ジャンプしたことでもう一人が彼の剣をさらに強く引っ張る。空中ではさすがに、バランスはとれず、引っ張られた方向に体が傾いた。傾く体よりも先に足が地面に着いた。ダンという音がして、彼は足を地面に打ち付けるようにして立った。しかし、体勢は崩れて、剣も相手の攻撃を防ぐことができるような位置にはなくなっていた。さらに掴んでいた拳も話してしまっている。


 彼に大きな隙ができていて、不良たちもそれを認識していた。その隙を逃すはずがないと言わんばかりに蹴りが彼に近づいてくる。その高さが体勢を崩しているのもあって、顔の辺りに当たる軌道だ。しかし、軽く視線が下に下がっている彼にはそれが視界には入っていなかった。彼が視線を上げた時には既に蹴りが目の前にあり、アレクサンダーであっても、それを回避することはできずにもろに蹴りを顔面で受けてしまった。彼は少しよろめいて、後ろに二、三歩下がる。片手で顔を抑えて、痛みと熱を感じる鼻に手をやると、手には血が着いていた。それが鼻血だとわかっているが、血を見ると痛みが増したような気がした。彼は、鼻血がすぐには止まらないとわかっていながら、手で鼻の下を擦った。血のぬるっとした気持ち悪い感触がする。


 彼のそんな姿を見て、不良二人はにやりと口角を上げた。その一撃を入れただけだというのに、彼に勝てると確信したことだった。鼻を擦る彼に続けて攻撃を仕掛けるために敵二人は近づいていく。彼は鼻血がどうしても気になっていたが、相手が近づいてくるとそれに気が付いて、敵を視界の中に収めた。


(油断したわけじゃないんだが。……稽古をさぼった罰か)


 彼は内心でそんなことを思いながら、剣を持った。

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