無関心は蔓延るばかり 1
依然として、五人と二人に対する存在無視が続いていた。教師は学園の様子がおかしいことには気が付いていたが、何がおかしいのかまでは気が付けない。授業だけはいつものように進んでいくため、どうしてもそれに気が付けないのだ。
セレナルはその中でも、五人の様子を見ることがあった。彼らが他の生徒に話しかけられないというのは、いつもの光景であった。龍樹と小鳥がそこに来る前からベルシャインとベアトリスは敬遠されていた。そこに聖女様とその付き人様となれば、余計なことに巻き込まれて、責任なんて取らされる可能性を考えると、そのグループに声をかけるなんてこともできなかった。
二人が学園に来てからは、授業の時は軽く話すことはあっても、生徒の休み時間などでは会いに行くのも難しい。教師には次の授業の用意したり、その学問についての知識を改めたりしなくてはいけない。そうなると、彼らに会いに行くというのは難しかった。王宮に行くというのも彼の仕事の範疇であったため、彼らに会いに行き、他愛ない話をすることもできたが、多人数を相手にする授業では彼らだけの理解度を気にしていればいいわけではなくなっています。そうなれば、龍樹と小鳥に付きっ切りというわけにはいかなかった。
(王子様が着いているので大丈夫だとは思いますが、この空気感。彼らが何かトラブルに巻き込まれないといいのですが)
セレナルがそう思っている時には既に、不良たちをフリューから助け出してしまった後で、彼の心配は既に的中してしまっていた。
「よっしゃ、そろそろ仕掛ける!」
「ちょっと待って、すぐには無理よ。ストルエンの令嬢をどうにか無力化できる方法を見つけないと」
「そんなの悠長に待ってられないだろ! 行こうぜ、なぁ。賛成の奴っ!」
不良グループの男子の一人がそういうと、集まっていた不良男子生徒のほとんどが手を挙げていた。そこに集まっている不良生徒はいつもの四人だけではなかった。男子だけでも二十人近く。女子を合わせて、三十人を少し超えるくらいだろうか。女子は血の気が多いわけではなく、ただただ周りの礼儀作法を学ぶ女子の間に馴染めなかった人達だった。そのため、喧嘩がしたいわけではないのだ。男子の場合は、筋力を鍛えて喧嘩するのが目的だ。この学園の授業にある格闘術はどうしても型の中にはまったものばかりだ。そういうのは彼らの求めているものではなかった。そうして、集まったものも多くいる。あとは、学園に入ったものの、授業というスタイルが会わなかったものもここにいる。そうして、集まったのが彼ら不良グループ。龍樹たちが元居た世界の不良グループとは違い、この学校の不良グループは一つしかない。それだけ不良になる人が少ないのだ。だからこそ、一つの方向に向かった時のエネルギーは凄まじく、そのエネルギーが今、解放されようとしているのだ。
ベルシャインはフリューからの警告から学園にいるときは常に警戒していた。曲がり角の先や、照明が当たっていない場所など、視界が届きにくい場所や届かない場所では、他の人の目になっていた。その不審な様子も周りのものは一切気にせず、生活している。すでに彼らに向けられる視線はなく、いないものとして扱われている。幸いなのは、一人だけでそれを耐える必要がないというところだった。さすがに一人で今の状況を耐えることはできなかっただろう。
視線を集めていた前の時よりも行動はしやすいが、人々が明らかに自分たちを避けているのがわかるのは少し心に来る光景だ。しかし、小鳥はそれについては特に気にしている様子はなかった。彼女にとって重要なのは龍樹の存在だけだ。最近はベアトリスもその中に入りつつあるが、彼女がいなくとも彼女が不安になることはない。龍樹も彼女が今の状況を気にしていないというのなら、それ以外はどうでもよかった。ベアトリスも特に現状を憂うことはない。直接攻撃されることがなくなっただけましだと考えている。自分たちのことを嫌っているというか、関わり合いになりたくないと考えている人が多くいるのは元からであるため、現状が前と変わらないという認識だった。
現状に焦っているのはベルシャインとファベルだった。この状況がよくないものだと理解している二人だ。いくら王族や聖女と言えど、無敵ではない。不意を突かれて、心臓を疲れれば死ぬだろう。強力な魔法を撃ち込まれれば、死なずとも大怪我をすることも間違いない。それを防ぐためにベルシャインは皆の目の代わりをしているし、ファベルは後ろを警戒しながら歩いていた。学園内でいきなり攻撃を仕掛けてくる可能性すらあるのだから、学園にいる間は気を抜くことができるわけがなかった。




