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悪と正義は入り込む 3

 龍樹に殴られ続けていた男子生徒は彼の拳が振り下ろされる前に上半身を勢いよく起こして、彼を思い切り突飛ばした。彼は次の拳を前に出す前に、彼の上から降ろされた。その間に彼は龍樹の下から抜け出した。


「あーあ、俺を殴っちまったな。お前のせいで、これからこの学園で喧嘩が起きるぜ。それもでけぇ喧嘩がな。その時にお前もそこの女も終わりってわけだ。それじゃあな。次に会うときこそ、お前の終わりだってこと、覚えておけよ!」


 彼は龍樹に指さして、そういうと今来た廊下から消えていく。これだけのために彼は来たというのか、そう思えばかなりバカバカしい奴だとは思うが、ベルシャインは彼らのことを知っていた。この学園の不良生徒は彼もベアトリスもある程度は覚えているのだ。そして、今の不良生徒はこの学園でもトップと言ってもいいほどの問題児。ベルシャインの使いの者は既に彼が、犯罪者組織のどこかに属しているという情報を持ってきているほどだ。その証拠はないが、この学園に入るときに、犯罪歴を調べられているが、この学園に入った後に、犯罪者組織に入っても、それを調べることはなかった。彼が実際に、この国の法に触れるようなことをしたと表に出なければ、学園から追い出すことはできない。




 それから、数日。学園内は日に日に、何か悪いものが広がっていくような感覚が龍樹にあった。それは授業を受ければ、他の生徒がいつもの奇異からくる視線ではなく、明らかな敵意を向けてきているのだ。そうでなくとも、自分たちに向けられた視線が不愉快な感情が含まれているのを感じていた。そして、そういう透明なだけの悪意が色を持つ。最初は授業で使うはず者が彼らの分だけ用意されていないというものだった。教師に確認すれば、そのものが出てくるが、元から用意されていたはずの、彼らの分はなくなっていたのだ。


 自身の周りにある空気が徐々に張りつめていた。彼らに関わることが悪いことになっている。鈍感な小鳥でさえ、今の状況をおかしいと感じるほどだ。それはつまりは、彼らの周りにいる者、ほとんどがそういう態度を取っているということになる。直接的な攻撃はなくとも、その薄い悪意が彼らに届いている。


 そして、ベアトリスに直接攻撃してくるものも現れた。殴ったり、蹴ったりというわけではないが、彼女の持ち物とを地面に叩き落としたり、偶然を装って彼女に水をかけようとしたり、と被害が少しずつ大きくなる。何とかベルシャインが彼女を守っているが、明らかに龍樹と小鳥から離すための行動なのだろう。だが、彼らがそれで聖女と付き人の味方をやめることはない。


 なぜか、ファベル個人を狙った攻撃はなかった。しかし、彼女は二人を守るために何度も自らベルシャインやベアトリスの盾になっていた。


「なんとも陰湿な攻撃方法ですね」


「そろそろ、わたくし、我慢の限界ですわ!」


 ベアトリスもそうだが、ベルシャインも学園の生徒を敵に回したような状況がとても気に食わなかった。おそらくあの不良生徒のせいだろうが、それでも学園のほとんどの人を味方につけているとなると、それは犯罪組織と関りがあるという証拠が増えそうな話だ。裏で他の生徒を脅して、その話が広がって、彼らに従っているということだろうか。従うまではいかずとも、彼らに関われば酷いことになるとわかれば、あまり知らない、目立つだけの彼らを助けようとは思わないだろう。誰だって、友達でもない赤の他人よりも自分の生活の方が大切だ。


 しかし、ベアトリスが激高しても、この状況を引き起こしているであろう、あの時の不良生徒たちがどこにいるのかわからないのだ。さらにこの現象を止めようにも、これだけの人数が相手では簡単に止めることはできなかった。




「なんか、嫌がらせもあんまり効果なしだな」


「いや、考えてたよりあいつらに攻撃する奴が少ない。味方ではないけど、攻撃はしない見てるだけの人が思ったより多い」


 不良たちは日の当たらない校舎裏の誰も来ないような場所に集まっていた。不良は何も頭の悪い馬鹿な男だけというわけではない。最初にフリューに詰め寄っていた女子生徒もそこに交じっていた。そして、彼女は不良生徒でありながら、そうではない生徒とも友人であった。もちろん、その人たちに不良だとはばれていない。彼女はそれだけ隠しごとが上手いのだ。そして、そんな彼女は噂を広げるのも得意だった。彼女が広めた噂は、彼女の想定ではすでに、あの五人が耐えられないほどの陰湿な攻撃が向けられているはずだったが、今もいじめは彼らの心をへし折るほどの強いものはない。直接、攻撃するような人がいたなんて話は聞かないのだ。


「……なんでだ?」


「フリュー・ストルエンと一人の友達のせいかな。二人が、なんか彼らに攻撃しないように裏で何かしてるってこと」


「また、あいつかよ。ほんと気に入らねぇ。もういいや、こんな攻撃に意味なんてねぇよな。そろそろ、直接殴りに行こうぜ!」

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