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学園に行けるのか? 5

 セレナルの紹介の後、それぞれが二言三言話して、三人の紹介を終えた。三人はそのままベルシャインたちの座っている机に移動した。その後に、セレナルの短い話を聞いて、ホームルームが終わった。セレナルはアイコンタクトを小鳥と龍樹に送ったが、小鳥は特に理解していないようだった。龍樹はそのアイコンタクトを、頑張ってという意味に捉えていた。


 龍樹の予想では、ホームルームが終われば誰かしら話かけに来るものだと思ったが、誰も話しかけに来ないどころか、各々教室から出ていく。それが少し拍子抜けだったが、改めて考えれば、教師に様付けで呼ばれているのだから、ただの一般人だというわけがない。つまりは、一般人であれば、彼らに着易く話しかけられるとは思えない。自分に置き換えれば、高校に海外の王子様が来るようなものだ。物語のように積極的に話かけにいく勇気はないだろう。それも、その王子がすでにいる王子と共にいるところに話しかけに行くなんてことはできないだろう。そう考えると、すぐには友人のような人はできないと考えるべきだろう。ベルシャインとベアトリス、ファベルがいるため、そこまで気にならないが。


 それから、二人はベルシャインとベアトリスに着いて行って、講義を受ける。午前中の講義は全て座学で、セレナルから教わっていなければ何を言っているのかわからない授業ばかりだった。だが、王宮の図書館で既に得た知識のみの授業もあり、その間は小鳥が眠そうに目をこすっているのを眺めていた。


 午前中の授業を終えて、昼の時間。生徒たちは食堂に行って、食事を取るのが基本のようだった。この学園には大きな食堂が二つほどあり、全校生徒が同時に食事できるように設計されているらしい。それだけの大きさがあっても、食事を受け取るカウンターは、八つほど。そうなれば、列ができるのも仕方のないことだろう。テーブルはすいているように見えるが、カウンターには長い列がある。しかし、五人はそこに並ぶ必要はなかった。王子だからというわけではなく、単純にファベルが弁当を用意していたからだ。弁当は一人一つのようで、中身はそれぞれで違うものが入っていた。ベルシャインとベアトリスの好みはわかっていても、龍樹と小鳥の好みを理解して弁当を作ってきていた。付き合い自体は短くとも、食事の回数は少なくはなかった。その中でファベルは食事中は必ず、皆の近く待機していたのだ。小鳥は好きなものがわかりやすかったが、龍樹の表情を読むのには多少苦労したが、そこは侍従となるほどのメイドであるファベルは器用に彼の表情と行動を呼んで好きなものを理解していた。そのため、そこにいる全員が、それぞれにあった好きなものが入っているはずだ。好きなものだけではなく、バランスの良い食事がとれるような食事になっている。


「申し訳ございませんが、私もご一緒してもよろしいでしょうか」


「もちろんですわ! ファベルと一緒に食事できるなんて、わたくしとても嬉しいですわ!」


 ファベルは普段はメイドであるため、主人や仕えると一緒に食事することは全くないが、この学園の中にいるときに必要以上にメイドのようなことはしないようにと言われている。ならば、弁当はいいのかといわれると微妙なところではある。しかし、ファベルは四人に弁当を作りたかったのだ。初日だけと自分で決めて、この日だけは作ったのだった。


 彼らは様々な生徒や教師の視線を集めていた。それもそのはずで、この国では真っ黒な髪を持つ者はいないため、二人は目立つのだ。そして、同じ席に美男であるベルシャイン、美女であるベアトリス。淑やかなファベル。そんな面々が集まっていれば注目を集めてしまうのは仕方のないことだと思う。だが、ベルシャインとファベルはあまり目立つようなことは避けたかった。だからといって、この場で見るなといえば、彼らを攻撃対象に見てしまう可能性が高い。この学園に通っている生徒の多くはまだ十代。大人のように我慢する力は薄く、ベルシャインのように理性が強く働く方が珍しいと言えるだろう。龍樹や小鳥もどちらかといえば、ここの生徒の大多数と同じくらいの年で、その理性も周りと大差はないだろう。


 食事を終えて、ファベルがさっさと皆の弁当を回収した。注目されているのもあまりいい気分ではないため、すぐに食堂を後にした。食堂から出れば、視線の数は多少はましになったが、それでも見られていることは変わりない。それから、次の授業を受けるために教室に移動した。




「気に食わない。何なの、あれ。王子様だからって、あんなに人の目を集めて、堂々とご飯食べてるなんて。それにあの編入生も、ちっさいのは周りなんて全く見てなかったし。守られているだけじゃん」


「あー、まぁな。だからって、何かできる相手じゃないだろ? 相手は王子様なんだし」


「わかってる。だけど、ちょっとくらいなら何かしたって良くない?」


「俺は忠告したからな。やめとけってな」


「……そう? なら、やめとくわ」


 学園内で五人のことが気に食わない者たちが、初日から出てき始めていた。

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