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学園に行けるのか? 2

「ファベル。呼び出してしまってすまない。お願いがあったから来てもらったんだが」


「承知しております。学園でのお二人のフォローですね。メイドを連れていくことは可能と聞いてはいますが、大丈夫でしょうか」


 いつもの皆が食事している部屋に、王様がいた。その前にファベルが立っている。ファベルは多少頭を下げて、王様にかしずくようにしている。


「いや、すまないが、学園性として二人をフォローしてほしいんだ。メイドとしていくとやはり目立ってしまうからね。まぁ、二人は君がメイドとしてついていかなくとも目立ってしまうとは思うのだが、できるだけその要素は減らしておきたい。申し訳ないのだが、メイドではなく生徒として二人を手伝ってやってくれないか」


「……仰せのままに」


 彼女はただのメイドではなく、王様の侍従である。今は特別に聖女についているが、本来なら王の近くにいなければいけない人であった。そして、それだけの能力があるということは、学生に交じって勉強するような年齢ではないのだ。彼女は見た目こそ若いが、その実年齢は三十。学園は年齢問わず、勉強する熱意がある生徒を受け入れているが、基本的には十代の者しかいない。彼女がそこに交じって勉強するというのは中々恥ずかしいことでもある。さらにメイド服で活動できないため、学園の制服を着ることになるだろう。制服を着る義務はないが、生徒は基本的に制服だ。男女問わず上半身は赤を基調とし、金色のボタンに胸のあたり学園のマークが金色で入っている。下は男子はズボンで、女子はスカートだ。それも上のベストに合わせた高価そうなもので、どちらも赤とオレンジのチェック柄。そんな服を普通の三十を超えた女性が着れば、どうしても場違い感が出るもので、彼女もそれが恥ずかしいとは思っていた。しかし、それは彼女がそう思っているだけで、周りの者が制服を着た彼女を見ても、ただの生徒としか思わないだろう。それほどまでに彼女の見た目は若いのだ。


 羞恥心はあれど、やはり彼女は王様の侍従である。彼女にとっては王様のお願いだろうが、命令だろうがあまり意味は変わらず、それに従うしかないのだ。だから、彼女は自らの恥ずかしさを飲んで、二人のフォローに回るしかない。だが、ファベル自身も二人のことは心配だったため、近くで二人を手伝うことができるなら、彼女の望んだことでもあった。想定外だったのは制服を着なくてはいけないということ言うことだけだろう。




「明日から、小鳥たちと一緒に学園に通えるんですわね」


 ベアトリスは日記を前に、そんなことを呟いていた。今日の日記にはあまり今日のことは書かれておらず、どちらかといえば、明日小鳥と一緒に学園へ行ける楽しみの方が多く書かれている。彼女にとっては初めての友達。どうしたってわくわくしてしまうのは仕方ないことなのだろう。小鳥とあれをしたいこれをしたいと頭に浮かべては口角が上がってにやけてしまう。


「あーっ、楽しみですわっ」


 彼女は日記を閉じて、ベッドにダイブする。淑女のすることではないという自覚はありながらも、彼女は明日の楽しみを全身で表現していた。


「明日に備えて、そろそろ寝ましょ」


 彼女はそういうと、ベッドには寝転がって瞼を閉じたのだが、明日以降小鳥としたことを想像するとどうしても眠れない。しばらく、彼女とのことを考えていると徐々に意識が遠くなり彼女は眠った。




「聖女様が許してくれたから、二人と一緒に行動することができるんだけど、それで浮かれてはいられない。わかってるな、僕」


 彼は自室の鏡を見ながら、自分にそう言っていた。彼は小鳥と行動できることよりも信仰心に近い思いがある龍樹の助けになれることが嬉しかった。だが、祖のせいで浮足立って、彼にまた迷惑をかけるわけにはいかない。学園の外で犯罪者と戦うなら彼に勝る力はなく、彼に頼られるこ戸はないだろう。だが、学園の中で行動するなら、多少は彼よりも慣れているため助けることができる機会が多いはずだと目論んでいた。


「もちろん、聖女様も助けるけど……。いや、むしろ聖女様を助ける方が彼にとっては役に立ってると思ってもらえる? でも、ベアトリスを不安にさせるのはなぁ。ベアトリスにも手伝ってもらえれば、聖女様も助けられるかな。多分、彼女も協力してくれるだろうけど」


 彼は学園に二人がいることを考えると、そこには期待と不安があった。王子という立場であるがために、彼には冷たい仮面をつけて生活することが多い。学園ではベアトリスがいるため、少しその傾向も薄れることはあるが、それでもやはり学園では近寄りがたいと言われているのが彼だ。それでも彼は学園では優秀なものの一人ではあった。彼には自分にフォローするだけの自信がなくとも、多少龍樹たちをサポートすることはできるだろう。

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