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始まりの末 2

 町の中には、すぐにコスタたちがいなくなったことは広がっていった。町の人たちは町で大きな顔をしていた迷惑集団が一つ壊滅したというだけで、嬉しいことであった。これで少しでも治安が良くなればいいとは思うが、まだ犯罪者集団は町の中に潜んでいるのだ。




「院長先生。ダークスターが壊滅したそうです。これで少しは子供たちが安心して町を歩けるようになりますかね」


「この勢いのまま、そうなるといいのですけどね。私たちでは犯罪者たちはどうすることもできませんからね」


 この町では一風変わった建物の中、神父のような恰好をしたやせ型の、鐘楼の男性と、シスター服のようなものを着た女性がそんな会話をしていた。建物は木造でこの国の外側に位置する場所にそれはたてられていた。二人のいる部屋の窓の外には子供たちが楽しそうに騒いでいるのが見えていた。二人は子供たちを見て、この町がさらに安全になることを心の底から望んでいた。


 外で遊んでいる子供たちが何かに気が付いた。その視線の先にいる人が誰かがわかると、子供たちはその方向へと一直線に走っていく。その子供たちを見て、院長は部屋を出て行った。


 外に出ると、そこにきた青年に子供たちが群がっていた。青年は細身ではあるが、筋肉があるのがわかり、明らかに鍛えているのがわかるだろう。子供を両腕に六人ほどぶら下げていても、腕が震えることもないのだから、そのパワーは考えるまでもないのかもしれない。


「カイさん。お疲れ様です。わざわざ、こんな端まで来てもらってありがとうございます」


「あ、院長。いえ、いいんですよ。僕が好きでやってることですから!」


 カイは快活な笑顔で院長にそういった。彼は背中に彼の上半身ほどの大きさがあるかごを背負っていた。その中には野菜や肉がぎっちり詰められていた。院長はそのかごを受け取ると、かごを自身の右肩にかけて、中に戻っていった。受け取った食料を保存庫において、その分の代金とかごを返すというのはいつもそうしているので、誰も院長が去って行っても何も言わない。子供たちもその間、カイが暇になることはわかっているので、彼に遊ぼーと言いながら彼の元に集まっていく。シスター服を着た女性がその光景を見て笑っていた。




「コスタが死んだってよ!」


「いやぁ、いい気味だぜっ。ずっと死んでほしいと思ってたからな」


「これで、俺らが一番だろうな。コスタよりもっといろんなことしてやろうぜ!」


 暗い路地の中、下品に笑う三人の男たちがいた。コスタよりも落ち着きがなさそうで、彼よりも若い三人だ。彼らは口々にダークスターが気に食わなかった理由を大声で話していた。


「だがな、これからは俺たちの時代がくるぜ! あいつらよりももっと派手にやってやるんだ。王宮でも襲うか!」


 一人が調子にのってそんなことを言っているが、他の二人もそれに賛成するようなことを言って、さらに大声で笑っていた。


「あー、そういえば、聖女ってのがこの国に来てるらしいんだが」


「確か、召喚とかいうやつだろ。他の世界から国を救うために力を借りるってやつ」


「というか、聖女ってかわいいんだろ? かわいくなくても美人なんだろ、たぶん。そうだな、コスタは攫ってきたりはしてなかったよな?」


「お、もしかして、攫っちゃう? 攫っちゃう?」


「いいな、それ。さすがにすぐにゃできないだろうけどよ。成功したら、ヤリ放題だぜ」


 下品な会話は途切れることなく続く。三人が会話していると、彼らの仲間が集まってきて、その計画が本当に形作られていく。しかし、ダークスターのような強い絆などなく、組織を運営するための頭の良い人は一人もいない。そうなれば、作られる計画は杜撰なものになっていくが、彼らはそれに気が付くことはできない。




「ダークスターは落ちたらしいな。これで俺の契約はなしってことでいいのか?」


「ああ。そもそもダークスターに本気で協力する気はなかったしな。終わるなら、一番最初だと思っていたしな」


 国のどこか、そこにベルシャインと戦った暗殺者ともう一人の男がそこにいた。二人は特にコスタにいい印象がなかったため、彼らが壊滅したことに関しては特に気にしていなかった。それよりも、暗殺者一人を殺されたことの方が問題だ。まさか、聖女の暗殺にすぐに乗り出すとは思わなかったが、あのタイミングで暗殺者が逃げ帰ることすらできなかったということに驚いたのだ。暗殺者という職業である以上、同業が死んでも感情が大きく揺れることはないし、恨むという感情も湧きあがらない。だが、その暗殺者を殺すほどの実力があるものが召喚されているというのは覚えておかなければならないだろう。その情報も知らずに、聖女の暗殺の依頼を受けると痛い目を見るというだけでは済まない可能性があるということだ。この国の王子は暗殺者を退ける程度の実力があるという情報も持っていなければいけないだろう。これまでは、ただの予測であった。王族である以上は自ら危険を振り払うだけの能力があるという常識だ。だが、今回のことではっきりした。聖女を含めた王宮の人物にはおいそれと手は出せないということだ。

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