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力任せな悪 2

 龍樹は自身に向かってくる男たちに対して怖気づいた様子はなく、それどころか、男たちが近づいてくるのを冷静に見ていた。連携が上手いことは先ほどの戦闘で理解している。先ほどのように拳であれば、一撃程度であればこらえられるか可能性を考えることもできるが、刃物となれば話は別だ。一撃食らえば、良くて致命傷といったところだろう。彼はそれを冷静に考えていた。そして、冷静だからこそ、相手の攻撃の軌道を見ることができていた。


 最初に来たのは大剣で大きな振り上げて、それを彼の頭上に振り下ろす。視界の中には二刀流の男が控えているのが見えた。回避した先で攻撃するつもりだろう。だが、いるのはその男だけではない。おそらく、どこに回避したとしても追撃がすぐに来るのは当然だろう。相手に防御以外の行動をさせなければ、それだけで攻めている方が負ける可能性を低くできるのだから。だが、それはお互いに物理的な攻撃ばかりを使っているときだろう。魔法はそういうものではなく、たとえ連撃を受けていても魔法を使うことはできるのだ。


(だが、攻撃をつけ続けてやる必要はないな)


 彼は大剣に向けて、風の塊を側面からぶつけた。大剣使いは大剣の勢いに負けて、そのまま横にそれる。二刀流の男が彼に急接近してくるも、相手の足元から土の柱が出現して、相手は攻撃を諦めるしかない。背面からとびかかってくるのは斧使いだった。しかし、斧は彼のところまで届かない。彼の背後にはいつの間にか水の壁ができていた。この世界の水の魔法は防御には向かないとされている。火の魔気を使って氷を作り出したり、土の壁を作る以外の防御の方法を取る魔法使いは少ないだろう。しかし、相手の斧はそれ以上進まなかった。目の前にあるのは水だというのに、斧が入っていかない。土の魔法の壁より硬いような感触すらする。斧使いはその自身の常識外の魔法に退くしかない。


 コスタは戦闘態勢になっていたはずだが、彼に突撃してこない。三人の連携を見守っているのか、いつでも戦闘できるような構えをしているが、攻撃はしてこないのだ。高みの見物というわけでもないだろうが、彼の考えていることはわからない。


 そして、さらに二刀流の男が仕掛けてくる。二本の剣を構えて、彼に突っ込んでくる。時間差で他の二人も彼を囲むようにして攻撃してこようとしているのだろう。だが、彼にはそれは効果がないということを学んでいないようだった。


 再び風の魔気を作り出して、衝撃波を放つ。魔法とは言え、同じ魔法だ。さすがに男たちはそれに耐えることができていた。彼の魔法が終わるのと同時に、二刀流の剣の一本が彼に体を二等分にしようと振るわれた。しかし、彼の体にその刃は少しも入ることはなかった。まるで、鋼鉄を着るような感触で、少しも手ごたえがなかった。それでも二刀流である相手は流れのままにに撃目を振るう。だが、結果は同じだった。


「くそ、魔術師にしても、なんで攻撃が通らねぇ」


「力で押すぞ」


 斧使いが斧を振り上げ、大剣が彼の脇腹を狙って攻撃しようとした。だが、そんな大振りの攻撃が彼に当たるはずもなく、彼は簡単に回避した。そして、相手の武器が地面に着いた時点で、相手の武器を地面から飛び出た泥にまみれさせて、その場に固定した。その泥が成長するかのように武器を飲み込み、それを握る手までも泥の中に飲み込もうとしたせいで、彼らは武器から手を離してしまった。


 男たちは馬鹿ではあるが、無謀ではない。獲物がないと勝つ可能性がないということを理解することはできるのだ。その時点で二人の戦意が喪失していた。しかし、龍樹はまだ、相手が攻撃してくる可能性を考えて行動する。


 残るは二刀流とコスタの二人だけ、コスタが三人と協力していれば、多少は彼に傷をつけることができたかもしれないと考えていたが、今思えば、コスタはできる限り、自分の実力を隠したいのかもしれないと思った。それとも、共闘できないほどの技術か戦法を持っている可能性がある。


「兄さん……。こいつやべェすよ、魔術師なんて敵じゃねえって思ってましたが、そんなレベルじゃねえす」


「わかってる。今まで見てきたからな。だから、ここからは俺一人で大丈夫だ。手をだすんじゃねぇぞ」


 コスタがようやく、龍樹の前に立った。彼は龍樹を睨みつけて、その中に恨みと殺意が他の誰よりも込められていた。


「ようやく、ボスのお出ましか? コスタにーさん?」


 前よりもさらに馬鹿にして相手の名前を呼ぶ。彼だって、小鳥の暗殺者を仕向けるなんてことをされてキレているのだ。ただただ殺すなんて、全く私刑にはふさわしくない。屈辱を与えて死んでもまだ足りないと考えている。だからこそ、そこまで馬鹿にしているのだ。

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